Project/Area Number |
22K01248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 博康 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (90323625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 民法 / 契約法 / 契約条項 |
Outline of Research at the Start |
我が国においては、契約の解釈や補充などによって契約内容を形成するに際しては、売買・賃貸借・消費貸借といった契約類型ごとにその内容や構造を把握するという方法が採られてきた。しかし、契約の解除に関する規定や不可抗力による免責に関する条項など、様々な契約類型を横断して一定の構造を示す契約条項が存在していることを踏まえると、契約内容の類型的把握は、各種の契約条項の特徴に基づいた分類およびその構造把握を踏まえつつ行われなければならない。本研究は、そのような問題意識を基礎として、「各種の契約条項に関する一般理論」の構築を目指した総合的研究を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続いてイングランドにおける契約解釈をめぐる研究を実施し、特に近時のイングランドにおける判例法の展開として注目されている「関係的契約における黙示条項としての信義誠実義務の組み込み」についての検討を行った。その研究の成果として、自身も編者の一人である『契約法の基礎と革新』(東京大学出版会から出版予定)に「関係的契約と信義誠実義務」と題する論文を寄稿した。黙示条項としての信義誠実義務の組み込みに際して関係的契約の概念に依拠する近時のイングランドの下級審裁判例の動向につき、法に基づく黙示条項の組み込みに際してその法理の適用範囲を限界付けるために一定の契約類型に含まれることを要求すること自体は合理的なものであったと解されるものの、その際に関係的契約の概念に依拠することは、その概念の不明確性ゆえに黙示条項の法理の法発展のあり方としては批判も少なくない。また、関係的契約の概念の意義を黙示条項の要件論に解消してしまうことは、関係的契約の概念が元来有していた理論的含意の多くを削ぎ落してしまう結果にもなり得る。本論文によって示されたそのような様々な理論的課題を踏まえつつ、関係的契約における信義誠実義務の組み込みをめぐる問題については、引き続き検討を行っていく予定である。 以上の他、法制史の分野における研究の成果として、ローマ法以来の契約法の発展について概説する「契約」と題する論文を、小川浩三=松本尚子=宮坂渉編『キーコンセプト法学史:ローマ法・学識法から西洋法制史を拓く』(ミネルヴァ書房,2024年2月)に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施した関係的契約における信義誠実義務に関する検討は、本研究課題に関しても重要な検討対象の一つであり、この点について論文にまとめることができたことは、研究進捗状況の順調さを示すものであると解される。今後の研究の発展方向についてはなお検討中であるものの、本研究課題に関する作業としては、おおむね当初の予定通りに進捗しているものと評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度における研究成果の一つとして、いわゆる交渉促進規範論について検討した論文「普遍主義的討議理論としての交渉促進規範論 ―山本顯治「契約交渉関係の法的構造についての一考察(1)~(3・完) 私的自治の再生に向けて」―」(法律時報95巻11号)があり、その研究を通じて、契約法の基礎理論や法解釈方法論にまで降り立って検討することの重要性を改めて認識することとなった。本年度では、本研究課題に関するより基礎的な検討作業として、日本の民法学における法解釈方法論をめぐる理論状況についての検討も進めていきたいと考えている。
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