海上旅客運送人の旅客人身損害に対する責任―海上運送特有リスクによる分析
Project/Area Number |
22K01262
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
南 健悟 日本大学, 法学部, 教授 (70556844)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 海上旅客運送人の責任 / 堪航能力担保義務 / 海上人命安全条約 / アテネ条約 / 旅客・船員に対する安全配慮義務 / 海上旅客運送契約 / 船舶安全法 / 船員法 / 安全配慮義務 / 旅客運送契約 / 旅客運送人の損害賠償責任 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、海上旅客運送の特殊性から、旅客の人身損害に対して、どこまで旅客運送人が過失推定責任を負うべきか、という点を明らかにするものである。すなわち、①海上旅客運送の特殊性を踏まえたうえで、②旅客人身損害に対する海上旅客運送人の責任分配ルールの適用範囲について、海上運送特有のリスクという視角から考察するものである。その方法として、アテネ条約・イギリス法・アメリカ法における議論を踏まえ、比較法的考察から海上運送特有リスクを明らかにした上で、適切な海上旅客運送人の責任分配ルールを明らかにするものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績として、第一に、海上旅客運送人が小規模閉鎖会社であることが少なくないことから、小規模閉鎖会社法制との関係を検討した(南健悟「東京地裁立川支判令和4年9月9日判批―株主間の不和と事業継続が不透明である場合の会社解散請求」金融・商事判例1675号2頁)。第二に、海上旅客運送だけに限らず、船舶が県警する事故に伴う法的責任に関する裁判例も検討した(南健悟「東京地判令和3年9月13日判批―保険契約上のコンテナ約款と元地回収船荷証券」ジュリスト1589号134頁)。 2023年度の研究実績として結実しているわけではないものの、2023年度においては、海外の研究者と一緒に、船内の「人(乗客・乗組員)」を船舶安全法制との関係でどのように保護していくべきか、ということにつき検討を始めることとした。従来、船舶安全法制はハードの側面、すなわち船舶それ自体の堪航性等に焦点が当てられてきたが、近時、ソフト面に対しても規制の動きが見られ、海上旅客運送人の損害賠償責任との関係を見据えながら、2024年度以降研究を行うこと等を話し合った。同研究では、本研究課題の分析視角である海上旅客運送にはどのようなリスクが船内にあるのかを明らかにしたうえで、それを第一に、船舶の堪航性との関係を検討し、さらに、ソフト面でどのような対応が法的に可能であるのかについての端緒となった。また、本研究課題と直接関連する英米法における海上旅客に対する海上旅客運送人の損害賠償責任の成立要件についてもアテネ条約と合わせて研究を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、主として船舶の安全規制というハード面に対する研究を行っており、本研究課題と直接関連する海上旅客運送人の損害賠償責任の成立要件等については研究成果が少ない。しかし、本研究課題に関して海外の研究者との共同研究を行う見込みが新たに出てきたこと、さらに英米法における海上旅客運送人の損害賠償責任に関する研究資料が充分渉猟されてきており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究実績及び現在までの進捗状況にも記載したが、今まで通り、海上旅客運送人の損害賠償責任の成立要件に関する研究資料が充分渉猟されてきており、それらを日本法と比較検討しながら、海上リスクに応じた責任の範囲について研究を行っていく。加えて、海外の海事法研究者等との意見交換や共同研究を通じて、船舶内の「人(旅客・乗組員)」をどのように保護していくべきなのかを考察することで、より多角的な視点で、本研究課題に取り組む予定である。 例えば、船内において旅客や乗組員に対するハラスメント行為等があった場合、そもそも旅客との関係では海上旅客運送人として損害賠償責任を負うのかという問題が生じ得る。また乗組員との関係では使用者である船舶所有者として損害賠償責任を負うのかという問題が生じ得る。これらは船内における「人」の生命身体に対する損害という点では共通しているものの、前者との関係では、「運送のために」生じた損害といえるのかは必ずしも自明ではない。そこで、このような行為が発生することを想定し、その防止策及び事後的にどのような責任を海上旅客運送人・船舶所有者として責任を負うのかを検討することを通じて、本研究課題を推進しようと考えている。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)