Project/Area Number |
22K01303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 亘 大阪大学, 大学院法学研究科, 教授 (40299061)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 少子高齢化・人口減少 / 人工知能(AI) / ロボティックス(RPA) / 標準作業手続き(SOP) / 情報通信技術(ICT) / 垂直補完 / 水平連携 / 行政需要の増加 / 行政への投資不足 / 人工知能(AI) / 情報通信技術(ICT) / デジタル・トランスフォーメーション(DX) / デジタル・トランスフォーメーション(DX) / 組織管理 |
Outline of Research at the Start |
人工知能(AI)やロボティックス(RPA)、情報通信技術(ICT)などの「新しいテクノロジー」の導入の必要性が指摘されているにもかかわらず、なぜ、その導入が本来切実なはずの地方自治体が導入に消極的なのだろうか。
既存の研究の多くがリスクや規制の観点や解決できる課題の観点から議論しているのに対して、本研究は導入するか否かを決める行政内部に着目する。本研究は、市町村内部での新しいテクノロジーへの専門的判断力、独立した情報担当課と業務担当課(原課)との関係、そして国や都道府県といった上位政府との関係の3要因が導入に重要だと考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2019年および2023年の官僚意識調査の対象でもあった財務省、総務省、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省などの中央府省や、都道府県、政令指定都市、農山漁村の市町村の首長や職員にインタヴュー調査を行って、2020年以降の新型コロナ禍での混乱やデジタル化の現状を把握しようと試みた。同時に、デジタル化の効果を検証するべく、少しずつ効果を測る指標についても検討を開始した。 新しいテクノロジーの導入を阻害する要因としては、特に市町村の場合、専門人材の不足・欠如を指摘する市町村が圧倒的に増えている一方で、新しいテクノロジーの導入効果が不明という市町村は徐々に減っていることがここ3年間の傾向として出ていることがわかった。と、同時に、高額な導入コストを指摘する市町村は増えている。つまり、新しいテクノロジーを導入することの有用性については理解が広がっているが、その導入実務を担う人材も予算も不足して苦しむ姿が浮かび上がってきた。このことは、総務省の調査や地方税財政データ、定員に関するデータによって裏付けることができた。 そこで、都道府県による垂直的補完と市町村間による水平的連携、そして両者を制度と財源から支援する中央政府の役割の重要性が改めて浮かび上がってくる。財政力指数にかかわらず市町村長のイニシアティヴと都道府県の斡旋の仕組みがあれば新しいテクノロジーを導入しているといえる。また、市民からの問い合わせのチャットボットについては導入しやすい分野のひとつであるが、庁内問い合わせのチャットボットは導入が困難であるという。この点をもう少し深掘りする必要があると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の成果については、部分的ながらもすでにシンポジウムや講演で研究者や実務家に発表することで還元することができた。また、拙著(共著)『地方自治論(新版)』では、丁寧に環境変化との関係との関係で新しいテクノロジーの導入の成否を分ける要因についても議論をしており、特に「新版によせて」及びコラム「地方自治体の連携と『新しいテクノロジー』」で触れているところである。 地方創生とデジタル田園都市国家構想が全国的に追求されている中で、ますます地方自治体を取り巻く社会経済環境は厳しくなっている。少子高齢化が具体的にどのように日常行政に影響を与えているのかという点についても、行政サーヴィスの供給者たる職員確保の難しさや受給者である高齢者や社会的弱者への窓口対応の困難さに焦点を当てて分析を行った。 その後、内閣府や総務省のデータをもとにして特徴的な地方自治体について調査を行っているところである。特に、処理手続きや業務時間の削減で大きな効果を上げた府県や市町村をターゲットとして調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、本年度に引き続き、次年度も計量分析と事例分析を中心にして、新しいテクノロジーの中でもAIとRPAの導入における組織的なボトルネックを析出し、あわせて克服するための制度的な仕組みの構築について議論を広げていく予定である。特に、「国と地方」ではなく、中央政府、都道府県、市町村の関係をそれぞれ分析していくことになる。 すでに、中間的な成果については各種研究会で発表し、研究者や実務家と意見交換を行っているところである。あわせて、実際に担当者にインタヴュー調査を行う予定である。
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