Project/Area Number |
22K01338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
織田 健志 国士舘大学, 政経学部, 教授 (00571796)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 保守主義 / 戦後思想 / 自由 / 雑誌『心』 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、戦後の保守論壇で活躍した竹山道雄と林健太郎の思想を検討することで、1950年代から60年代初頭にかけて、「思想としての保守」が確立してゆく様相を明らかにする。そのさい第一に、竹山と林の発言への反論、および彼らが引き起こした論争にも注目し、「戦後日本」の歴史的コンテクストをふまえた上で「保守主義」の意味を問い直す。第二に、竹山と林が、年長世代の「オールド・リベラリスト」のどこに共感したのか、その思想の何を継承した(あるいは継承しなかった)のかについて検討する。そして第三に、竹山や林が自覚的に選択した「保守」という立場が、政治概念としての「保守主義」に与え得る意味について考察を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に収集した論稿および座談会の読解をふまえ、林健太郎に焦点を絞って研究を進めた。『中央公論』『世界』『文藝春秋』『展望』等の総合雑誌に掲載された林の時事評論を中心に収集・読解を進めるとともに、「保守派」と目された林と「進歩的文化人」と目された丸山眞男の言説を対比し、検討を加えた。同時に、基礎的研究として、保守主義を中心とする戦後思想に関する研究動向を整理し、戦後思想の分析に保守主義の概念を適用する意義と問題点について考察した。 研究成果の一部は、①日本現代思想史研究会(主宰・北河賢三早稲田大学名誉教授)での研究報告(「リベラリズムの苦難――林健太郎と丸山眞男を手がかりに――」2023年7月2日)、②同志社大学人文科学研究所・第14研究「日本保守主義の再検討:「守る」対象の二重構造をめぐって」(代表・望月詩史同志社大学准教授)での合評会の報告(「保守と保守主義のあいだ――宇野重規『日本の保守とリベラル』序章・第1章・第4章・終章――」2023年8月24日)、③「国民国家と日本の「言論人」――常木淳『国民国家とは何か』(東京大学出版会、2023年)に寄せて――」(『政治研究』15号、国士舘大学政治研究所、2024年3月)で公表した。 ①では、1950年代の林と丸山の言説について、講和問題とスターリン批判に即して対比し、共通する論点と見解の相違について考察した。②では、宇野重規『日本の保守とリベラル』(中公選書、2023年)について、保守主義と戦後思想との関連に注目しつつ、論評した。③は、公共経済学者による異色の近現代日本思想史研究である常木氏の著書を対象とした書評論文である。本論文では、とくに「戦後民主主義」に対する著者の批判について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦後思想の分析における保守主義の概念の適用可能性に関する基礎的研究は、2件の書評を通じて進展した。また、政治思想の分野で先行研究がほぼ皆無である林健太郎についても、大まかなスケッチに止まるものの、丸山眞男との比較を通じて、彼における思想の内実について明らかにした。当該年度の研究計画をおおむね遂行できたため、進捗状況は「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は以下の2点に取り組む。 まず第一に、これまでの基礎的研究をもとに、戦後思想を含む近代日本思想の分析に保守主義の概念を適用した研究として、『長谷川如是閑の政治思想――社会・生活・日本と「保守」の心性――』を公刊する。研究成果を広く世に問うとともに、政治思想史・日本思想史の研究者を中心に、意見聴取を行う予定である。 第二に、1950年代から60年代初頭の林健太郎について、丸山眞男らとの比較を通じて、林の思想が如何なる意味で「保守主義」であったのか/なかったのかを明らかにする。前述した単行本の研究成果に関する意見聴取をふまえ、昨年度に実施した予備的研究報告を発展させる形で、同志社大学人文科学研究所の研究プロジェクトにて研究報告を行う。そして最終的には、学会誌または学術雑誌に研究論文として公表したい。
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