Project/Area Number |
22K01341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小谷 賢 日本大学, 危機管理学部, 教授 (00780537)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 戦後日本政治 / 外交史 / インテリジェンス / 安全保障 / 官僚制度 / 戦後日本政治史 / 資料収集 |
Outline of Research at the Start |
本研究は戦後日本のインテリジェンス史に関わる基礎資料収集を主眼としている。これまで同分野では公文書や回想録等の資料は全く整備されていない。そのため戦後日本のインテリジェンス史について、一次資料に基づいた国内研究は皆無の状況であるが、近年、海外では同分野への関心は高まっており、幾つかの研究も発表されている。 他方、最近になって日本国内に元実務家による記録や公文書が私蔵されていることが判明した。本研究の目的はこれらの貴重な資料を体系的に収集して目録を作成、さらには内容をデジタル化して、世界中の研究者からのアクセスを可能にし、将来的にはこれら資料に基づいた学術研究を行っていくことを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後日本のインテリジェンスについての学術的調査を進めることにあり、具体的には、①戦後日本のインテリジェンスに関わる資料の収集と整理、②資料に基づいた戦後日本のインテリジェンス史の学術的研究の促進にある。国内外における諸研究は基本的に二次文献と元実務家へのインタビューに頼っているため、資料の整備は海外からも注目されるものと思慮している。 ①の資料収集については、元内閣情報調査室主幹の故志垣民朗氏と元ジャーナリストの故吉原公一郎氏がそれぞれ自宅で保管していた内閣情報調査室の一次資料をご家族から一時的に貸し出してもらい、それを専門の業者に業務委託してデジタル化、資料集として公開することを進めている。 ②の戦後日本のインテリジェンスに関わる研究については、これまでの日本における同分野の研究が、法学研究やイデオロギー的な偏見による「諜報」研究、もしくは資料に基づかない研究、に留まっていたのに対して、本研究の主眼は一次資料に基づいた、欧米流の政治外交史研究や国際関係学の観点からのインテリジェンス史の研究を行うことにある。それらは例えば、情報組織論、情報の収集、分析、活用までの機能的研究、情報組織に関わる根拠法や監視体制等であり、これらの視角からの検討によって、戦後日本のインテリジェンスの実態を明らかにし、それらがどのように運営されてきたのか、またその特徴や欠点について明らかにしていくものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の骨子は、故志垣民朗氏と故吉原公一郎氏の所蔵していた一次資料のデジタル化であり、各年度ごとにそれぞれの資料をデジタル化していく計画である。資料は段ボール4~5箱分とかなりの量があり、それぞれの資料を自宅から搬出し、目録を作成、デジタル化していくための時間が必要となる。 令和5年度は、主に志垣氏の内閣情報調査室の資料のデジタル化に注力した。氏の自宅から資料の搬送、目録の作成を経て、その後のデジタル化の作業については、株式会社インフォマージュに依頼した。同社は国の重要文化財など,歴史的資料を様々な方策によって電子化し保存する技術を有し、官公庁、大学等間との実績も豊富である。志垣氏の資料は、古いものは1950年代資料であるため、当時の紙質の悪さから資料に劣化も見られたため、取り扱いには慎重かつ多くの専門技術知識を必要とすると考え、デジタル化の作業を同社に委託した次第である。デジタル化された資料はハードディスクに収めたデータとして納入してもらった。公開については丸善雄松堂から「オンライン版 内調資料」として昨年11月にリリースされている。同資料には志垣氏とその資料についての解題を寄稿している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、ジャーナリストである故吉原公一郎氏の資料のデジタル化作業に着手したい。氏の資料は内閣情報調査室から流出した原資料で、その一部は同氏の『謀略列島』(1978年)にも使用されたものであるが、その多くは未使用のまま保管されてきたようである。既に令和4年度にご家族の了承を得て、同氏の資料は日本大学の研究室に搬入済みであるので、令和6年度は目録を作成し、業者を選定してデジタル化の作業を粛々と進めていきたい。デジタル化が完了すれば、何らかの形で資料の公開も考えているが、その手段についてはまだ未定である。そして資料のデジタル化が完了すれば、志垣資料も用いて、戦後日本のインテリジェンス史に関する学術的研究を始めることも想定してる。その際、広く研究者を集め、資料を基にした研究会のようなものを立ち上げられればとも想定している。 ただし令和6年4月から10月まで、サバティカルのためロンドンに滞在しているため、その間の作業は進まなくなる。恐らく作業再開は帰国後の10月以降になると想定しているが、そこからだと年度末までにすべてを完了させることは難しいと考えている。そのため、同計画を延長して、令和7年度にも引き続いて作業を行うことも検討している。
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