Project/Area Number |
22K01343
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西川 伸一 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (00228165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 雄太 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (70584423)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 法務省訟務局長 / 判検交流 / 国の指定代理人 / 検察官 / 司法官僚 / 幹部人事 |
Outline of Research at the Start |
近年の官僚制研究は官僚の範疇に司法官僚を加えるようになった。裁判官は司法行政の観点からみれば官僚的存在であるからである。ただ、司法官僚を裁判官に限定していいのか。刑事訴訟には検察官が不可欠であり、彼らは裁判官以上に官僚制的規律に服している。検察官僚も視野に収めれば司法官僚研究はより十全になると考える。 実は裁判官と検察官の間には人事交流があり両者はしばしば入れ替わっている。言い換えれば、裁判官の人事をみるだけではその人事を正確に把握できないのだ。そこで本研究は検察官幹部人事を対象とし、司法官僚として検察官僚を位置づけるとともに、両者の幹部人事を司法官僚として相補的に理解することを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では、研究対象の検察官幹部ポストとして検事総長や高検検事長などプロパー検察官が就く合計65ポストを考えていた。しかし、転官して検察官に身分を変えた裁判官も法務省の枢要ポストに就いている。言い換えれば、代々裁判官出身の検察官が就いてきた検察官幹部ポストがある。具体的には、法務省民事局長、同人権擁護局長、同訟務局長などである。これらも視野に収め、元裁判官を含めた検察官幹部人事を総体的に分析することで、司法における検察の位置づけをより鮮明にできることを痛感するに至った。 とりわけ訟務局長ポストは検察庁と裁判所の結節点をなしており、本研究の問題意識からみて必ず取り上げるべき重要ポストといえる。なぜなら法務省の所掌事務の一つに、国を訴えた住民訴訟において、国の立場から申し立て・主張・立証などを行う訟務がある。その訴訟では国は当然被告となり、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に基づき、国を弁護する「国の指定代理人」が立てられる。ただし、刑事を専門とするプロパーの検察官はこの任に堪えない。よって、民事裁判官を検察官に転官させ、「国の指定代理人」として裁判に臨ませてきた。いわゆる判検交流の一環である。 こうした法務省の活動の責任者が訟務局長ということになる。ところが2022年9月に東京地裁の行政部の部総括判事(裁判長)が訟務局長に異動するという前代未聞の人事があった。国会でも質疑される事態となった。当該裁判官は行政部の部総括判事であるから、その部に係属している国を訴える住民訴訟については知り抜いている。原告のいわば手の内を知った人物が訟務局長として、国側勝訴を目指して「国の指定代理人」を指揮することになる。裁判の公正を疑わせる由々しき人事であった。これについて、日弁連人権擁護委員会第6部会「公正な裁判を受ける権利と判検交流に関する勉強会」で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」で記したとおり、当初の計画より研究対象を拡大したため2022年度は「回り道」をせざるを得なかった。従って、進捗状況としては客観的には「やや遅れている。」とするのが妥当であろう。とはいえ、「回り道」は初期の研究成果をより充実させるために不可欠であった。また訟務局長をめぐる前述のきわめて異例の人事が行われたことは、「回り道」を時宜にかなったものとした。自著『「保守」政治はなぜ長続きするのか? プラス映画評』(ロゴス、2022)の作成に時間をとられたことも「やや遅れている。」の一因である。ただし、同書には黒川弘務・東京高検検事長の定年延長にまつわる検察庁法改正案についても取り上げられている。これもむだな「回り道」では決してなかった。 以上のことから、当初計画のスケジュールに遅延が生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究の推進方策については、当初の計画に立ち戻って検察官幹部の人事をめぐる客観的データ収集と分析に集中して取り組む。具体的には、「研究実績の概要」で示した65ポストに加えて、法務省民事局長、同人権擁護局長、同訟務局長の歴代就任者を調べ上げてリストにまとめる。さらにその一人ひとりについての履歴書を法務省から入手する。すなわち情報公開制度に基づき、行政文書の開示を法務省に請求する。やりとりに相当の時間と費用を要するが、検察官幹部個々の正確な履歴を把握するためにはこの作業は必須である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)