Great Power Competition in the Arctic: linkage between regional and global politics
Project/Area Number |
22K01352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 富士夫 北海道大学, 北極域研究センター, 准教授 (20542278)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 大国間競争 / ウクライナ侵攻 / ガバナンス / 安全保障 / 北極評議会 / アイスランド / NATO加盟 / 北極圏 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、グローバルな国際政治の現象が二国間関係を通じて北極圏という地域の国際政治に伝播する経路を実証的に検証することにより、北極圏における大国間競争の影響を明らかにすることを目的としている。具体的には、北極圏における大国間競争の展開をGIUK‐Nギャップの防衛をめぐる米露間の戦略的競争と、グリーンランド、フェロー諸島、アイスランドに対する影響力をめぐる米中間の戦略的競争という2つの争点に焦点を絞り、関係国の外交関係者、防衛関係者、経済政策関係者に米国、ロシア、中国それぞれに対する二国間関係に対する考え方を聞き取り調査を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、米中間及び米ロ間の大国間競争という「グローバル」なレベルの国際政治上の事象が北極圏という「地域」の国際政治に二国間関係を通じて伝播しているという仮説を実証的に検証することにより、北極圏における大国間競争の影響を明らかにすることを目的としている。大国間競争が北極圏に及ぼす影響の「経路」を二国間関係に限定できた理由は、北極圏国間の多国間関係が安定していたためであった。しかし、2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始したことにより、この前提が消失した。北極域の国際政治への影響は二国間関係のみならず多国間関係にも及ぶこととなり、分析対象の拡大が必要となった。 したがって、1)GIUK-Nギャップの防衛をめぐる米ロ間の戦略的競争、2)グリーンランド、フェロー諸島、アイスランドに対する影響力をめぐる米中間の戦略的競争という二国間関係の争点に加えて、3)北極圏8カ国が参加する北極評議会といった多国間関係の場裡におけるウクライナ戦争の影響、4)フィンランド及びスウェーデンのNATO加盟によってもたらされる北極安全保障への影響を新たな争点として追加した。1)、2)についてはウクライナ侵攻の開始後も北極国際政治の重要な争点として残っている。とりわけ1)は、その重要性は侵攻開始前よりも高まっている。3)に関して、昨年3月にロシア以外の北極圏7か国が北極評議会での活動を停止している。喫緊の課題は、北極評議会の議長国がロシアからノルウェーへの移行が無事に完了するか否かとなっている。4)は、昨年6月末にマドリッドで開催されたNATO首脳会合においてフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請が行われた。これまでにNATO加盟国によるフィンランドの加盟議定書の批准手続きが完了し、2023年4月にフィンランドが正式にNATO加盟国となったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は3)について9月に北極評議会の事務局、北極経済評議会及びトロムソ・ノルウェー北極大学の研究者に聴聞調査を実施した。4)に関連してフィンランドとスウェーデンのNATO加盟についてのロシア国内の論調について2次文献を中心に調査した。加えて、他研究プロジェクトでアイスランドを訪問した際、アイスランド外務省及びアイスランド大学、アイスランド政府研究機関、アイスランド中国北極観測研究拠点において関係者に2)についての聴聞調査を実施した。他プロジェクトとの連携により、ノルウェー、スウェーデン、デンマークの安全保障及び国際関係論の専門家を日本へ招聘してウクライナ侵攻が北極ガバナンス及び安全保障に及ぼす影響について議論した。 上記の調査の成果の一端は、ウクライナ侵攻が及ぼす北極ガバナンスへの影響についての英語論文、ロシア国内におけるフィンランド及びスウェーデンのNATO加盟についての議論を分析した英語共著論文に纏めた。加えて、Arctic Circle Japan Forum (2023年3月4-6日)でGovernance, Order and Security in a Changing Arctic: Geopolitical Implications for Asiaと題するセッション、The 7th International Symposium on Arctic Research (同6-10日)におけるChanging Arctic Strategic and Geopolitical Landscapes: the Impact of the War in Ukraineと題するセッションを企画した。これ以外にも、ウクライナ侵攻の北極域への地政学的影響等について一般向けのセミナーを主催・共催した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上記4つの焦点について文献調査及び聴聞調査を継続していくこととする。1)については、ノルウェー防衛関係者を中心にバレンツ海における軍事活動の進捗をフォローすることとする。加えて、同海域におけるNATO及び米国による海上監視活動及び対ソ脅威認識に関する議論もフォローしていく。 2)については、グリーンランド、フェロー諸島、アイスランドにおいて米中両国の投資の実態について、外交関係者、ビジネス関係者、現地研究者等への聴聞調査を実施していく。現時点では、中国の投資活動は極めて限定的なものにとどまっている一方で、米国の投資が特にグリーンランドで増加する傾向にあるとみられ、その実態を解明する。 3)については、2023年5月に予定されている北極評議会の議長国の交代がどの程度まで北極評議会のマネジメントの改善に帰結するのかについてフォローしていく。加えて、北極評議会以外の場の多国間枠組みについても、大国間競争及びウクライナ危機の影響の実態を調査することとする。 4)に関して、フィンランドが先にNATO加盟を果たしたが、スウェーデンのNATO加盟の手続きはまだその先が見通せていない状況である。両国は加盟以前からNATOの実質的な加盟国と変わらない活動をしてきており、スカンジナビア半島北部における軍事バランスに直ちに変更をもたらすようなものではない。ここでは、ロシアとNATO(及びその加盟国)の間で、北極圏(とりわけスカンジナビア半島北部)において新しいセキュリティ・ジレンマが生成されるのか否かという心理的ないしは政治的な論点について、スウェーデン、フィンランド、NATOの関係者に聴聞調査を実施していく。ロシア国内における調査は現時点では不可能であるので、主にロシア政府公文書、ロシア国内メディア及び外交関係者、研究者が発表する論考についてもフォローしていくこととする。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)