Project/Area Number |
22K01356
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
阿部 悠貴 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (70588665)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 国際関係論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は日本とドイツは「反軍事主義」規範に着目し、その性質の違いを明らかにすることである。東西冷戦の最前線に面していた(西)ドイツでは再軍備は避けられず、「反軍事主義」はこの現実と妥協を強いられることになった。しかし、この妥協によりその関心は軍の活動を監視するシビリアン・コントロール(文民統制)の強化に向かっていくことになった。他方、ドイツに比して冷戦の脅威認識が弱かった日本では、再軍備は戦前への回帰という不安を引き起こし、また国内からの批判を避けるべく、公の議論を避けて再軍備が行われたため、軍事活動への不信感に基づく「反軍事主義」が形成されることになった。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は国際関係論にて議論されている「規範の論争」に焦点を当て、その帰結の相違を説明することである。これまでの研究において規範は論争を通じて中身がより洗練され、定着を促すという主張されることもあれば、対立が激化し、やがて衰退に向かうという見解も示されてきた。この規範の論争の「帰結」を分ける原因は何であるのか。この点について本研究は考察している。 この点を考察するために、本研究はドイツと日本の再軍備過程を通じて形成された「反軍事主義規範」について研究している。これまで(西)ドイツの再軍備過程における反対運動について、包括的に文献を渉猟してきた。また夏季にはドイツにて調査のために渡航した。最初にフライブルクの連邦公文書館を訪問し、多くの一次資料を入手した。その後、前年に在外研究にて滞在していたデュイスブルク・エッセン大学を訪問し、附属図書館で関連文献を入手することができた。 その後、論文の執筆作業を続け、ドイツにおける再軍備反対運動、とりわけプロテスタント教会の運動について考察を深めてきた。その結果、同教会からは強い反対の声が上げられた一方で、再軍備を不可避と考え、新たに創設される軍の民主化を訴える一派もいたことがわかった。政府はこの集団との交渉を重ね、従軍牧会の整備、聖職者の兵役免除などを整備し、再軍備への支持を取り付けていったのである。現在、この点をまとめた論文を執筆中ある。 また同時に市民社会における様々な再軍備反対運動、その隆盛と衰退についても考察を行ってきた。この点についてもまとめて論文として執筆する準備が整ってきた。これが終了次第、日本との比較研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、現在は再軍備反対運動の中でもプロテスタント教会の議論をまとめている。その後は再軍備反対運動を展開した様々な市民運動、労働組合における反対運動を考察していく予定である。この作業は同時に行っており、随時論文としてまとめていく。もちろん予想しなった事実や修正を迫られる点もあったが、順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究成果を2024年5月に行われるグローバル・ガバナンス学会の研究大会にて報告する予定である。この報告は主に理論部分の考察が中心になる。 その後、夏季にドイツにて資料収集のための調査を行う。今回もフライブルクにある連邦公文書館を訪問する。昨年訪問したことで、資料の閲覧方法、取り寄せ方法などに慣れることができた。今年度も事前に準備し、資料を準備してもらった状態で渡航する良い手である。 また10月には日独社会科学学会にて報告を行う予定である。それに向けた準備も行っていく。
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