真実と正義を求め続けて:ラテンアメリカ・米州人権システム・グローバルな規範形成
Project/Area Number |
22K01365
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
杉山 知子 愛知学院大学, 総合政策学部, 教授 (90349324)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 冷戦期 / ラテンアメリカ / 米州機構 / 米州人権委員会 / 人権侵害 / チリ / アルゼンチン / 移行期正義 / 人権 / 国際規範 |
Outline of Research at the Start |
過去の軍事政権において人権侵害を経験したラテンアメリカ諸国は、移行期正義(真実・正義・記憶)をどのように求めてきたのであろうか。時間の経過や国内外の政治・社会状況の変化、民主主義の定着と共に、移行期正義はどのように発展していったのであろうか。米州機構(米州人権委員会・米州人権裁判所)は、どのような役割を果たしてきたのであろうか。過去の人権侵害に対し正義を求めるグローバルな動きの中で、ラテンアメリカがどのような影響を与えてきたのであろうか。アルゼンチンやチリの事例を中心としつつ、他のラテンアメリカ諸国やその他の事例を踏まえ、これらの問いを考察していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究実績については、以下3点が主要なものである。第一に、米州人権委員会に関する1次資料及び2次資料をもとに、冷戦期の米国とキューバの対立構図のなかで米州人権委員会が組織されたこと、米州人権委員会設立当初は、キューバ革命後のキューバ人の人権状況の把握、ドミニカ共和国の人権状況の把握といった活動が中心であったこと、1970年代に入ると軍事政権下のチリやアルゼンチンの人権調査を実施し、軍事政権に対し人権遵守を強調するなど、自律的の高い活動を展開するようになったことを考察した。尚、この点を踏まえ、名古屋国際政治研究会にて研究発表をした。 第二に、米州人権委員会現地調査報告(1974年チリ)を検討し、1973年9月のチリでのクーデタから約1ヶ月後に米州人権委員会事務局長がチリを訪問し人権遵守を徹底するように迅速な対応をしたことがうかがえた。また、現地調査報告にある、米州人権委員会とチリ政府の対応から、米州人権委員会の活動は自律的であったといえる。加えて、米州人権委員会が迅速な対応をすることができた背景には、Amnesty Internationalの現地報告、クーデタ直後、チリ国外からの米州人権委員会への情報提供などがある。尚、検討した資料概要は、『総合政策研究』に公表している。 第三に、2次資料をもとに、冷戦期のラテンアメリカの人権侵害については、これまで人権侵害に対する抗議運動として、アルゼンチンの「5月広場の母親の会」という「母親」というジェンダー的視点が研究の焦点に当たる傾向があったが、人権侵害の被害者としての女性というジェンダーの視点も重要であり、人権侵害後の記憶についても、ジェンダーの視点から記憶とその継承が重要である。この点については、日本ラテンアメリカ学会中部日本研究部会において指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績概要に記したように、2022年度の研究では、米州人権委員会HPから入手可能な資料(米州人権委員会1974年チリ訪問)や米州人権システム関連の2次資料を検討し、米州人権委員会発足当初の活動及び、チリの事例に限定されるが、1973年チリクーデタ直後の米州人権委員会事務局長チリ訪問等、米州人権委員会の活動について自律的な特徴が確認できた。2次資料をもとに人権侵害についてはジェンダー視点から検討する先行研究が多々あることが理解できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、特に2023年度の研究について以下のように考えている。冷戦期のラテンアメリカの国際環境と米州人権委員会活動の特徴を中心的に進める予定である。特に、冷戦期のラテンアメリカの国際環境については、これまで冷戦期覇権国アメリカとラテンアメリカ諸国という構図で理解されていたと思われるが、ラテンアメリカ諸国間の関係、国家間レベルでなく、市民レベルのトランスナショナルなレベルのネットワークなどについても検討する。尚、当初2023年度にはチリ及びアルゼンチンにおける人権記憶に関する施設(Ex-ESMA,パr九会でぁMemoria, Villa Grimaldi, Londre 38等)の視察を予定していたが、1970年代及び1980年代の現地調査記録把握資料を重点的に検討するたまえに、現地の施設訪問を行わず、2023年度も1次資料を中心とした研究を継続的に行っていくことを予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)