Project/Area Number |
22K01375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
沖村 理史 広島市立大学, 平和研究所, 教授 (50453197)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 気候変動 / 国際制度 / 脱炭素 / 国際環境制度 / ガバナンス |
Outline of Research at the Start |
21世紀の主要なグローバルイシューである気候変動問題に対し、国際社会では官民共に脱炭素の方向に向かい進みつつある。本研究は、各国に自主的な温室効果ガス排出削減目標の設定を求める形で脱炭素を目指すパリ協定のガバナンスと、多様な主体が気候変動や関連する分野で、社会経済のグリーン化をめざすSDGsの取り組みの実態調査を行うことを通じ、パリ協定とSDGsの取り組みの共振関係と、国家の政策目標と非国家主体の活動の相互関係を明らかにする。その上で、実証分析を踏まえた気候ガバナンスのガバナンス・システムの特徴を解明し、国際関係理論への示唆を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、気候変動ガバナンスの中心となるパリ協定とその下で各国が定める政策目標と非国家主体の活動の相互関係を分析することを目的の一つとしている(第二の問い)。また、パリ協定が目標としている2度目標や1.5度目標の達成のために、各国や各主体が脱炭素を目標に掲げるようになってきているが、その実態調査と実証分析を踏まえた気候ガバナンスのガバナンス・システムの特徴を精査し(第一の問い)、グローバル・ガバナンス論をはじめとする国際関係理論への示唆(第三の問い)を検討することも目的としている。 研究二年目となる2023年度は、実態調査に関しては、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に参加し、パリ協定が設定した長期目標(2度目標や1.5度目標)に対する各国が定めた目標の世界全体の進捗状況を評価するグローバル・ストックテイクに関する議論や交渉を参与観察した。また、政府間交渉で議論されている脱炭素への道筋の評価過程、及び交渉における主要国のスタンスについても情報収集を行った。さらに、研究計画調書作成時に想定していなかったロシアのウクライナ侵攻により大きな影響を受けた国際エネルギー市場の動向と脱炭素目標への影響に関する資料収集も行った。 国際関係理論への示唆(第三の問い)については、2022年度から継続して収集した気候変動ガバナンスに関する国際関係理論の先行研究を分析し、実態調査の実証分析と合わせて「気候変動問題における多様化した目標のガバナンス」という報告をまとめ、日本国際政治学会2023年度研究大会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に提出した研究計画調書では、本研究課題の核心をなす学術的「問い」として三つの問いを示した。研究計画調書では、気候ガバナンスの特徴と国際関係理論への示唆を分析する第三の問いの予備的検討に続け、本格的な分析を2022年度に行い、その成果を2023年度に学会で報告すると記載した。2023年度は2022年度から継続して収集した気候変動ガバナンスに関する国際関係理論の先行研究を分析し、実態調査の実証分析と合わせて「気候変動問題における多様化した目標のガバナンス」という報告をまとめ、日本国際政治学会2023年度研究大会で発表を行った。また、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)にも参加し、パリ協定下の気候ガバナンスの交渉と関連アクターの様々な行動について参与観察するとともに、気候変動政策に関する多くの論文を掲載している学術雑誌を購入し、最新の状況について情報収集に努めるなど、次年度以降の分析につながる実態調査や資料収集を進めている。さらに、研究計画調書作成時に想定していなかったロシアのウクライナ侵攻とエネルギー問題・脱炭素に与える影響に関する資料収集も行った。 このように、本研究の申請時に示した適切な調査と成果の発表を行うことができているため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国連気候変動枠組条約締約国会議や国連の会議に参加し、脱炭素に向けた気候ガバナンスの行方をその最前線で調査する。具体的には、政府間交渉の内容を参与観察すると同時に、締約国会議や国連会議に参加している主要なステークホルダーの主張に関する情報収集や文献調査を行う。 2024年度は、昨年度に引き続き、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に参加する予定である。COP29では、各国が定めた目標の世界全体の進捗状況を評価するグローバル・ストックテイクがCOP28で行われたことを踏まえ、各国がどのように脱炭素に向けた対応を強化するかが見え始めてくる。アゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29は参加者が限定されるという情報があり、参与観察できない可能性もあるため、ニューヨークで開催される国連持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)への参加も検討している。SDGsのフォローアップ会議であるHLPFでは、今年は気候変動問題を扱う年であり、政府や民間が脱炭素に向けた取組を発表する機会でもあるため、できれば参加枠を得て参与観察を行いたい。また、同時並行して気候ガバナンスや国内、地域レベルでの脱炭素に向けた取組に関する文献調査も行う。さらに、研究計画調書で研究目的の一つとして設定した、パリ協定とSDGsへの関連性(第一の問い)や多様な主体の実践と国家の政策目標への影響(第二の問い)に関する調査を行い、その結果を学会発表あるいは論文にまとめる予定である。さらに、研究計画調書作成時に想定していなかったロシアのウクライナ侵攻により大きな影響を受けた国際エネルギー市場の動向と脱炭素について一定の見解をまとめる予定である。したがって、研究費の多くは旅費に用いられ、一部は文献調査に必要な書籍、論文購入に充てる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)