Project/Area Number |
22K01386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
堀江 正伸 青山学院大学, 地球社会共生学部, 教授 (70806819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 良成 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30647318)
山田 満 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50279303)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 国際 / 難民 / 平和構築 / インドネシア / 東ティモール / 西ティモール / ティモール / 開発支援 / 人道支援 / 国際協力 / 折衷的な平和構築 / 人道・開発支援 |
Outline of Research at the Start |
ティモール島の東側では1998年の独立を問う住民投票以来、国際社会による平和構築や関連支援が行われてきた。一方同島の西側の低開発や、国境を跨いで広がる住民の関係性は注目されてこなかった。現在の平和構築に関する議論は、ガバナンス構築に代表される自由民主的なものから、より持続可能な平和樹立のためは伝統的社会への配慮が必要があるとする折衷型へ移行している。であれば平和構築では国内のみを論じるのでなく、国境の外側に広がる伝統社会を捉える必要がある。本研究では、東ティモールの平和構築が、国境を挟んだ両側の社会におよぼした影響を明らかにし、折衷型平和構築の国境を跨いだ事例への適用の有効性と問題点を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、ティモール島国境地帯のインドネシア側において複数回のフィールドワークを実施した。国境付近の複数の村を訪問し、元難民たちに聞き取り調査を行った。彼らをサポートしてきたローカルNGOにも調査に参加してもらい、住民投票直後から現在に至るまでの住民の具体的な生活について情報を収集した。 また東ティモール側においては、独立後20年が過ぎて平和構築がどのように進捗しているか、また新たな経済、社会問題は何なのかについて政府役人やNGOへのインタビューを行った。 東ティモール独立時にインドネシア側へ避難した元難民はそれぞれの生活基盤をすでに築いていた。インドネシア側で当然これからも生活を続けていこうと考えており、帰還するという選択肢は意識すらされず、調査者側の「なぜ今も帰らずにいるのか」という問いがほとんど意味をなさないことがわかった。 その一方で、ティモールに存在する伝統的な慣習や儀礼は現在も色濃く残り、国境に関係なく両国を横断して実行されている。さらに土地に関しても、慣習法に基づき管理されているため、インドネシア側の人が、東ティモール側の土地を管理する権利を有するなどの事例があった。つまり、伝統的慣習と親族関係のネットワークは確かに維持され続けていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インドネシア領である西ティモールと、東ティモールの双方で調査をしている。東ティモールでの政府、NGOレベルで予定していた調査は終了したが、西ティモール側住民(元難民)と親戚関係や慣習法で繋がる氏族関係にある人々に関する調査が終わっていない。しかし、それはむしろ研究が進捗する過程で調査が必要な事項として浮上したものでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も予定しているフィールド調査を軸に、研究を進めていきたい。 調査内容としては、元難民たちが東ティモール側からインドネシア側に移動してからの苦悩と自助努力、ホストコミュニティ住民との協力と軋轢、合意形成において慣習が果たした意味についてさらに聞き取りを行う。インドネシア側での彼らの生活が安定するまでの過程を、難民支援の一般的な議論とのギャップに注目しつつ明らかにする。またローカルNGOからは、東ティモール側でインドネシア側との「和解」の取り組みが改めて始まったという情報があり、こうした現在進行中の新しい動きにも注視する。また、和解のプロセスにおいて、前年までの調査で確認できた慣習が果たす役割について住民とのディスカッションも交えて考察していきたい。 住民たちは、東ティモール側に戻って暮らすことは考えていないが、彼らが重視している慣習に基づく儀礼のためであれば、厭うことなく国境を越えて移動している。また、東ティモール側の村に残した自分の土地や家は自分のものであり続けていると語っている。彼らにとって、国家に帰属するということと、慣習に基づく親族関係を維持していくということがどのような関係にあるのか、またこれに関して土地や家屋の所有についての彼らの認識がどのようなものなのかを明らかにする。
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