Project/Area Number |
22K01412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西沢 保 帝京大学, 経済学部, 客員教授 (10164550)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | マーシャル / ラスキン / 福田徳三 / 福祉国家 / 良き生 / 持続可能な社会 / 厚生経済 / 環境 |
Outline of Research at the Start |
マーシャル、ラスキン、福田徳三を中心に「良き生(wellbeing)と持続可能な社会」を追究した古典的経済思想の歴史的再構成を目指す。 マーシャルの有機的成長論を、その基礎要件である人の性格・能力、教育、環境とともに著作に即して検証し、マーシャルによる「持続可能な社会」の構想・構成を詳細に究明したい。ラスキン、ホブソン、ピグーについても研究を進め、人の性格形成・能力、そして環境・自然(空気、水、大地)、文化的最低限を包括的にとらえた古典的経済思想の再構成を目指す。そして、厚生経済研究、生存権の社会政策を中心に、国際的な知性史の文脈、グローバルな知性史の中で福田徳三研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
マーシャル、ラスキン、福田徳三を中心に、「良き生(wellbeing)と持続可能な経済社会」を追究した古典的経済思想の歴史的再構成を目指す方向で研究を継続・推進した。マーシャルの経済思想を、有機的成長論、wellbeingとsustainabilityをコアにして、人の能力・徳、環境・自然とともに著作に即して検証し、持続可能な経済社会像の究明に努めた。これは、ESHET(ヨーロッパ経済学史学会、2024年)での報告「Alfred Marshall on Wellbeing and Sustainability」でもその成果が出される。 ラスキン、福田徳三についても研究を進め、富と生、生存権論、人の性格・能力、環境・自然(空気・水・大地)を包括的に捉えた古典的経済思想の再構成を目指した。その成果は、『福田徳三―経済学の黎明と展開』(日本経済評論社、1924年5月)として出版された。それは、マーシャルと福田徳三、『経済学原理』と『経済学講義』、有機的成長と厚生経済論、「聖トマス」への回帰とラスキン的厚生経済学、ピグー『厚生経済学』の批判、福田・ホブソン・イギリス福祉国家、などを内容としている。 これらの一部は、共同執筆中の『経済思想15講』(新生社)の「冷静な頭脳と暖かい心情」、「生こそ富(No Wealth But Life)」、「Wellbeingと持続可能な社会の探究」などの諸章でも検証されている。 マーシャル『経済学原理』の翻訳は、翻訳稿を出版社(岩波書店)に送り、4分冊の第1巻(2つの序文、第1,2編と付録A~E)の校正段階にまで進んでいる。マーシャル没後100年の2024年に第1巻は出版できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福田徳三研究がかなり進展した。『評伝 福田徳三―経済学の黎明と展開』(日本経済評論社)が、昨年5月に出版され、書評等も出て一定の評価が得られた。それを大幅に拡充し、第1部「福田徳三と経済学研究の黎明・初期の展開」、第2部「生存権の社会政策と厚生経済研究」、第3部「福田徳三と東京商科大学の形成」という構成の『福田徳三とその時代』(信山社)が、ほぼ最終校正の段階で、5月中には刊行されると思われる。 また、マーシャル『経済学原理』の翻訳も進み、4分冊の第1巻は校正段階であり、できれば第2巻まで、マーシャル没後100年の2024年に出版にこぎつけたいと考えている。 5月9~11日にオーストリアのグラーツで開催されるESHET(ヨーロッパ経済学史学会)で、”Alfred Marshall on Wellbeing and Sustainability”を報告予定であり、マーシャル研究も一定の進展はしているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
‘Welfare’, ‘Wellbeing’に関わるマーシャルとピグーの比較を念頭に、マーシャルの’Wellbeing’と持続的成長の経済思想を中心に、ESHETで報告し、論文にまとめたいと考えている。 マーシャル『経済学原理』の翻訳が校正段階に進んでいるので、校正を進めるなかで、改訂、注釈、参考文献等のかなり大きな基礎作業が予想されるが、そのような作業を通して、マーシャル研究をさらに深めることを考えている。 『福田徳三とその時代』(信山社)がほぼ最終校正の段階で、5月中には刊行される予定である。それを踏まえて、新たに企画されているシリーズ『福田徳三の世界』では、その一冊として『福田徳三と上田貞次郎』の執筆を構想している。
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