Consumption and Standards of Living in Late 19th Century and 1920s America: Veblen and McMahon

Research Project

Project/Area Number	22K01419
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Allocation Type	Multi-year Fund
Section	一般
Review Section	Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
Research Institution	Osaka Sangyo University
Principal Investigator	加藤健大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (70612399)
Project Period (FY)	2022-04-01 – 2026-03-31
Project Status	Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help	¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000) Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000) Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000) Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000) Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Keywords	消費社会論 / 消費経済学 / T.S.マクマホン / T.B.ヴェブレン / J.R.コモンズ / アメリカ経済思想史 / 生活水準 / ヴェブレン / マクマホン
Outline of Research at the Start	ヴェブレンは，文化人類学と経済学との進化論的統合を試み，顕示的浪費の理論と生活水準という外生的な行為規範の作用との関係を分析した．マクマホンは，ヴェブレンの分析の枠組みを応用し，経済学に社会学的要素を取り入れて社会的・経済的な「消費」の側面から経済を分析するという「消費経済学」を展開した．本研究では，19世紀末から1920年代にかけてのアメリカ社会の大きな変化の中に，経済学をはじめ社会学や社会心理学分野にまで広く横断する内容を持ったヴェブレンおよびマクマホンの消費社会論を位置付け，彼らの消費社会に関する思想を内在的に再構成し，人間の経済的側面および社会的側面からの生活水準の内実を明らかにする．
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は，19世紀末から1920年代にかけてのアメリカ社会の大きな変化の中に，経済学をはじめ社会学分野にまで広く横断する内容を持ったヴェブレンおよびマクマホンの消費社会論を位置付け，彼らの消費社会に関する思想を内在的に再構成し，人間の経済的側面および社会的側面からの生活水準の内実を明らかにすることにある。令和5年度は，夏季休業期間中にアメリカ・ワシントン州にあるワシントン大学図書館特別コレクション（Suzzallo and Allen Libraries）において“Theresa S. McMahon Papers”の調査・把握・収集を行った。このマニュスクリプトは，必ずしも年代別や項目別に整理されていなかったため，マクマホンの主著である『女性と経済進化』（1912）および『社会的および経済的生活水準』（1925），また自伝的回想録『マイ・ストーリー』（1958）に関連する資料を中心に収集し，目下，その把握・解釈に努めている。令和4年度からの作業を通してこれまでに明らかにできつつあることは，以下の2点である。マクマホンは最初の著作である『女性と経済進化』において，20世紀はじめのアメリカ産業主義の展開による工場体制下において，家庭での女性の役割が相対的に低下していたこと，また国際的なコミュニケーション・ツールの発達に伴う新たな欲望や能力の開発が生じたことによって，階級間の障壁の喪失（「民主化・大衆化」）や女性の家庭外での地位が変化していたことを捉えていた。また『社会的および経済的生活水準』においては，こうした女性の立場の変化に伴って，物質的に満たされた生活水準を享受することよりも，むしろ精神的な生活を重視する「簡素な生活水準」こそが「高い生活水準」であるとみなしていた。これらの研究成果の一部は，2023年12月に開催された第25回アメリカ経済思想史研究会にて報告した。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 本研究は，19世紀末から20世紀前半のアメリカ経済思想における「消費社会論の特質」を明らかにすることを目的としている。この「研究の目的」に照らして本研究課題の進捗状況を評価すれば「やや遅れている」といえる。令和5年度は，前年度にコロナ禍のため中止せざるを得なかったアメリカ・ワシントン州にあるワシントン大学図書館特別コレクションでの調査が実施でき，ようやくマクマホンの一次資料を入手することができた。だが，日程や費用等の関係から，ヴェブレンをはじめとするその他の消費経済学者の一次資料についてはまだ十分に把握・収集することができていない。また，マクマホンの『女性と経済進化』や『社会的および経済的生活水準』における主要な論点については，おおよそ洗い出すことができた。しかしながら，こうしたマクマホンの発想の淵源やその変遷を把握することについては，自伝的回想録『マイ・ストーリー』（1958）をも活用しながら今回収集したマニュスクリプトを慎重に読み解く作業を進めているが，まだ一部にとどまっている。
Strategy for Future Research Activity	令和4年度および5年度において実施した準備作業を受けて，令和6年度には，夏季休業期間中などにヴェブレンをはじめとするその他の消費経済学者の一次資料の収集・把握を進めていく。また，今回入手したマクマホンのマニュスクリプトと，『女性と経済進化』（1912），『社会的および経済的生活水準』（1925），自伝的回想録『マイ・ストーリー』（1958）との詳細な照合作業をより一層進めていく。このマクマホンの思想的な展開を把握する作業を通して，とりわけ（1）20世紀初頭アメリカの消費社会における女性の地位やその役割について，また（2）物質的ではなく精神的な消費を軸とした「簡素な生活水準」の内実についてのマクマホンの見解を明確にしていく。こうした作業を通して，ヴェブレンとマクマホンの大衆消費社会に関する思想を突き合わせながら，コミュニティーの行為基準によって判断された個人的な是認の中で，どのように社会的欲望が充足されていくのか，というアメリカ大衆消費社会における「消費が持つ経済学的な意味」の内実をより明確にしていく。これらの研究成果を年末から年度末にかけて開催予定の学会・研究会等で報告し，日本語論文としてまとめていく。同時に令和7年度にHESなど海外の学会で報告するための英文ペーパーの作成も進めていく。