Project/Area Number |
22K01421
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07030:Economic statistics-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川久保 友超 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (80771881)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 小地域推定 / ベイズ推定 / 所得分布 / グループデータ / 混合効果モデル / 変数選択 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,小地域推定における諸問題を解決するための統計学的手法を開発し,その理論的性質や数値的なパフォーマンス,および実データへの応用可能性を明らかにしていく。小地域推定の諸問題の中でも特に,「小地域推定で用いられる混合効果モデルの変数選択」および「複数のデータソースを用いた小地域推定」の2つの問題に具体的に取り組んでいく。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,小地域推定における諸問題を解決するための統計学的手法を開発し,その理論的性質や数値的なパフォーマンスを明らかにすることを目的としている。 市区町村別や町丁字別など,母集団をより小さな部分母集団に分割し,各部分母集団の特徴量(平均所得,貧困率,疾病リスクなど)を推定しようとする際, 部分母集団によってはサンプルサイズが小さすぎたりゼロであったりする。このとき,部分母集団内のサンプルのみを用いて,部分母集団ごとに構成した推定量は非効率(推定が不安定)である。こうした問題に対して,混合効果モデルと呼ばれる統計モデルを用い,部分母集団の特徴量(小地域パラメータ)を混合効果として適切にモデリングすることで,小地域パラメータを安定的に推定することができる。それは,混合効果モデルに補助変数や地理情報を組み込ませることによって,周辺地域の情報を借りながら推定しているためである。 こうした混合効果モデルを用いた小地域推定問題に対し,当該年度は,大きく分けて以下の2つの具体的な問題に取り組んだ。 1つ目は,個票を用いた市区町村ごとの所得分布推定である。各世帯の所得が混合効果モデルに従っているという仮定のもと推定を行うが,ここで得られている個票は所得の実数値ではなく,どの所得階級に属しているかのみが観測されている状況を想定する。推定においては,標本調査のデザインのバイアスを考慮し,各世帯の情報にウェイトをかけて推定を行い,バイアスを補正する工夫を行う。 2つ目は,制約付きベイズ推定にもとづいたベンチマーク法の応用研究である。各小地域パラメータの推定値の荷重和が,より大きな集計単位の直接推定値に一致するように推定量を構成する方法は,ベンチマーク法と呼ばれている。この手法を一般化エントロピーと呼ばれる所得の不平等度の指標の分解の推定に応用する研究を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で説明した2つの具体的な研究テーマにおいて,それぞれ以下のようなかたちで研究が進捗しているが,1つめの個票を用いた所得分布推定の研究において,解決できていない課題が発生している。 個票(各世帯の所得情報)を用いた所得分布推定においては,調査デザインのバイアスを考慮するために,各世帯に対する調査ウェイトで重みづけを行った擬似尤度にもとづいてベイズ推定を行っている。調査ウェイトとは,ある世帯が標本調査によって標本として選ばれる確率(包含確率)の逆数に比例した量であり,その世帯が母集団のいくつの世帯を代表しているかを表す。包含確率が小さい世帯は,多くの世帯を代表をしているため調査ウェイトは大きくなり,逆に包含確率が大きい世帯は,少ない世帯しか代表しておらず調査ウェイトは小さくなる。調査ウェイトを対数尤度にかけた擬似尤度を用いることで,調査デザインに起因するバイアスを除去する効果が期待され,実際に数値実験ではその効果を確認することができた。しかしこの手法を住宅・土地統計調査の実データに適用すると,調査ウェイトの変動が数値実験で想定していたよりも非常に大きく,このことが要因で不安定な推定結果を生むという問題が生じている。 2つ目のベンチマーク推定の応用研究については,学会等で研究発表を行い,現在国際査読誌への投稿準備中である。 また,前年度までに進めていた地域別度数分布データ(地域レベルのグループデータ)にもとづいた小地域推定法に関する研究は,今年度国際査読誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はまず,「研究実績の概要」で記した研究をより進展させ,国際査読誌への掲載を目指していきたい。特に,提案手法の問題点が解決できていない個票を用いた地域別所得分布の推定の研究については,実データに適合するよう提案手法を改善していきたい。 さらに,小地域推定における新しい研究テーマへの着手も進めていきたい。小地域推定におけるベンチマーク法としては,制約付きベイズ推定にもとづいた手法が多く研究されており,本年度進めた一般化エントロピーの分解の推定問題においても同手法を応用した。しかしながら,制約付きベイズ推定法は点推定に関する議論であり,その不確実性を定量化することは難しい。そこで,ベンチマーク制約を満たすように事後分布を修正することで,修正された事後分布から点推定および区間推定の両方が行えるようなベンチマーク法の枠組みを構築することを計画している。
|