Project/Area Number |
22K01441
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
|
Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
佐藤 敦紘 北海学園大学, 経済学部, 准教授 (70735323)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 信用財 / 相対利潤 / フィールド実験 / 評判 / 競争度 |
Outline of Research at the Start |
情報の非対称性が深刻な信用財市場で消費者に対して専門家が虚偽を働くインセンティブを理論と実証の両面で考察する。まずは従来の信用財分析のモデルに相対利潤アプローチを導入して、市場の競争度と虚偽インセンティブの関係について理論的な分析を行う。得られた知見をもとにフィールド実験を行い、現実の信用財取引において専門家がどのような場面で虚偽を働くか、様々なシナリオで比較検証を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は理論分析を中心に行った。市場の競争度を連続的に考察可能な相対利潤アプローチを信用財のモデルに導入するために、まずは従来のモデルで明示的に考察されてこなかった利潤を定義する必要がある。そこで、d'Aspremont et al(1979)による立地モデルを用いて需要関数を定義し、それにより供給の経済主体である専門家の利潤を定義した。消費者は表示された価格と立地に応じて専門家を選び、専門家は消費者の状態に応じて請求と処置を決定する。消費者の移動費用の大小は専門家へのアクセスの容易さを表すと解釈可能なため、それを市場の競争度を表すパラメータと考えることで、以下の結論を得た。 信用財研究に付随する4つの仮定(同質的経済主体、コミットメント、立証可能性、法的責任性)のうち法的責任性を除く仮定の下では、専門家の虚偽行動は過大処置または過小処置に限定される(立証可能性の仮定の下では請求における虚偽は解消される)。そこで市場が競争的であれば、2人の専門家が消費者に対して適切な診断と処置を選択する均衡に加えて、重大な処置が必要となる確率が低いほど過小処置を選択する均衡が存在することが明らかになった。従来の理論研究では同様の仮定の下で後者のような虚偽行動が均衡として導出されず、一方でラボ実験による既存の実証研究では虚偽行動が相当の頻度で観察されている。つまり、本研究の結論はこれまでの理論研究と実証研究の結論の間の乖離を部分的に埋めるものになっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
相対利潤を含まないモデルを用いて分析を行った。その理由は、立地競争から得られる需要関数を用いた相対利潤のモデルでは、寡占から完全競争の競争度を考察することは可能であるものの、寡占から独占の考察が困難であると判明したからである。また、現状のモデルでも競争度の大小を測ることは可能であり、積極的に相対利潤を含むモデル構築に至らなかった。新たな帰結を得られたとはいえ、当初の計画どおりに進められていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
たとえ市場の競争度を部分的にしか考察できずとも、相対利潤を導入したモデルのもとで理論分析を進め、競争度をパラメータとした比較静学を行う。それにより市場の競争度と虚偽行動のインセンティブとの関係をより一般的に考察できるからである。ただし、本年度のように必ずしも相対利潤にこだわらない考察も継続する。現状モデルの一般化、専門家の異質性の考察、専門家の評判を考慮した長期的な信用財取引などがそれにあたる。とくに現状モデルの一般化として、立証可能性の仮定を緩和し、過大請求や過小請求の可能性を探る。 また、次年度は理論分析とともにフィールド実験の準備を進める。関係各所との事前調整や協力者の募集などの調整を円滑に進めることで、できる限り早く実行したい。
|