Project/Area Number |
22K01445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮澤 信二郎 法政大学, 経営学部, 教授 (30523071)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 寡占 / 資産代替 / 金融契約 |
Outline of Research at the Start |
寡占市場では,企業の財務構造が当該企業およびライバル企業の行動を変化させ,結果として社会的厚生にも影響を及ぼす。多角化企業の場合,ある市場での変化は,他の市場での変化ももたらすが,従来の関連分野の研究では,単一の市場の分析にとどまっている。本研究では,多角化企業の戦略と他の企業の戦略の相互作用についてゲーム理論のモデルで分析し,財務構造が各市場における取引量と社会全体の厚生に及ぼす影響と,これらを左右する要因について解明し,新たな理論仮説と政策的示唆を提供しようとする。分析にあたっては,数理モデルの解析的分析に加えて,数値シミュレーションの手法を用いる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、企業の財務状況が2種の財市場での競争結果と社会的厚生への影響を分析することで、産業組織論と企業金融論の両分野において新たな理論仮説を提供するとともに、競争政策と企業再建に関する新たな政策的示唆を提供することである。 令和4年度は、財務状況を外生とするときの各財市場の競争結果と、財務状況の変化がその結果に及ぼす影響について、解析的に分析を進めた。さらに、当初の財務状況の下での資金調達について内生的に考慮した上で、各財市場の競争結果がどのようになるのか、当初の財務状況の変化がその結果にどのような影響を及ぼすのかについて、Mathematicaを用いた数値シミュレーションという手法で分析を進めた。 論文の完成には至っていないものの、現時点での分析結果により、倒産の可能性のある企業は、需要リスクの無い(低い)財の生産を減らし、需要リスクのある(高い)財の生産を増やすこと、この結果は資金調達について内生的に分析しても同様であることなどが示された。以上の結果は、従来の理論研究の結果と実証研究の結果の間の不整合を解消する内容であり、また、潜在的には結果を左右しかねない資金調達の問題を明示的に分析することによって、理論の頑健性を高めるものである。 今後はさらに、各財市場の結果が社会的厚生に及ぼす影響と、この結果に影響を及ぼし得る各要因(需要の規模、弾力性、企業数、ボラティリティなど)について、分析を進めていく。これにより、企業の財務状況への介入といった企業再建の取り組みが競争政策上どのような意味を持つのかを解明していく。この分析は、リーマンショック後に発生し、昨今再発が懸念されている金融危機の際の企業再建支援の在り方に関する理論的裏付けを提供するという意義を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画に反して、令和4年度中には論文の執筆が実現できていないため、進捗はやや遅れていることになる。これには、大きく分けて、研究遂行上の理由と研究環境上の理由がある。研究遂行上では、まず、最適資金調達に関する分析について、解析的な分析に拘り過ぎたことがあげられる。当初から、数値シミュレーションを用いて分析することを想定していたにも関わらず、より一般的な解析的分析によって定性的な結果を示せる可能性を追求するあまり、結果として、研究の進捗を遅らせてしまった。また、数値シミュレーションによる分析についても、並行してMathematicaに関する知識習得を進める必要があったことから、計画よりも時間を要してしまった。 上記以上に影響が大きかったのは研究環境上の理由で、令和4年度に大学院の専攻副主任という執行業務を担当したことである。これにより、研究立案時の想定した量を大幅に超えた学内業務に多くの時間を取られ、研究の時間を十分には確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の理由により、やや進捗が遅れているものの、研究の内容面では、当初計画に沿う形で進められており、方向性がはっきりしている。また、令和5年度は、1年間のサバティカルを取得しており、研究に専念できる状況にある。以上のことから、研究遂行のスピードアップも期待できる。 今後は、数値シミュレーションを用いた分析を完成させ、論文にまとめた上で、その公刊を目指す。そのため、早い時期から、各地で開催される研究会や学会にて口頭報告を行い、レビューを受ける。また、各地で開催される学会に参加し、関連する研究動向に関する情報を収集し、意見交換を行う。
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