2部門経済成長モデルを使った人口減少と長期経済成長の分析
Project/Area Number |
22K01447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
金子 昭彦 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10282873)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 年金 / 2部門モデル / 内生出生 / 人口減少 / 2部門経済 |
Outline of Research at the Start |
日本を初め多くの先進国で人口成長率の低下により、若年層の割合が下がり、経済成長の低下、インフラの老朽化、年金の持続性など様々な社会問題が懸念されている。本研究では、2部門経済成長モデルにおいて、老年世代と若年世代の行動様式や選好の違いを考慮して、少子高齢化がもたらす産業構造や経済成長および必要とされる対策を分析する。 本研究においては、若年世代と老年世代の財への選好の違いおよび時間選好率の違いを考慮に入れることにより、人口構成の変化がもたらす産業構造の変化やより長期的な経済成長の変化を分析する。さらに2部門経済成長モデルならではの政策提言を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、基本モデルの構築に主な研究時間を当てた。具体的には以下のような2本の論文の執筆を開始した。いずれも2部門モデルである。 まず、2部門モデルを内生出生かつ年金制度の存在する経済に拡張した。2部門モデルでの年金制度の持続性の研究はすでにHamada, Kaneko and Yanagihara(2021)として発表されているが、年金制度の持続性にとって重要な要因である出生率については外生的であると仮定していた。共同研究者であるAntoine Le Richeとの分析により、内生出生と年金制度を同時に考えることで動学的性質が大きく変わることが分かった。具体的には、2部門かつ内生出生のもとでは年金制度の存在により利子率の変動が相対価格に影響を与え、それが出生率に影響を与えるという経路が存在する。したがって、年金制度が拡充した際、相対価格の変化により出生率が上がるようなことがあれば、年金制度の拡充は年金制度の持続性にとって負担にならないということになる。動学経路の分析がかなり複雑になっているので、現状では年金制度の拡充と年金制度の持続性について明確な結果は得られていないが、今後よりクリアな結果を導く予定である。 もう一つのモデルは、同じく2部門モデルにおける内生出生モデルであるが、子育て費用に2種類の財が必要であるという状況を考えている。このことにより、例え子育て費用が増大したとしても、相対価格の変化により、賃金が上昇して出生率が上昇するというパラドキシカルな結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、計画書に記した研究課題1「2部門モデルにおける人口減少と年金維持可能性の研究」について研究を行った。当初の予想とは異なり、内生出生と年金制度を同時に考えることにより動学的性質はかなり複雑になった。その複雑さ故、分析に時間がかかりまだ論文の形にはなっていないが、新たな知見が得られる可能性が出てきた。具体的には、内生出生と年金制度を同時に考えることにより、単純な効用関数の元でも、複数均衡・非決定性が存在する。通常各国の出生率の違いは、子育て政策・費用、経済発展の違いをその原因とする分析が多かったが、本研究では年金制度による動学的性質の複雑化という新しい視点を加えることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、今年度の研究計画をもとに、年金制度の存在による出生率への影響を分析していく。これにより、先進国と発展途上国との間の出生率の違いや、同じ国での出生率の変化に対して新たな視点を持つことができる。さらに、2種類の子育て費用を考えたもう1つのモデルでは、例え子育て費用が増大したとしても相対価格の変化により、賃金が上昇して出生率が上昇するというパラドキシカルな結果を得ることができている。今後は、子育て費用のデータを集めることにより、モデルの妥当性を検証し論文として仕上げる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)