Project/Area Number |
22K01470
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
河原 伸哉 立正大学, 経済学部, 教授 (50447207)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 環境税 / 炭素価格政策 / 国際貿易 / 独占的競争 / 国境炭素調整 / 不完全競争 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、国際貿易の不完全競争の枠組みで、国境炭素調整の実施が、企業間の競争や製品差別化の程度にどのような影響を与え、その結果、当該国がより厳格な環境政策(高い炭素価格)を維持する誘因を与え得るのか、さらには、政策の実施は、他国における炭素価格にどのような影響を与えるのかといった問題を考察することで、国境炭素調整措置の有効性について包括的な視点から考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究期間を通じて用いる分析の基盤となる理論モデルの構築の準備段階として、「研究計画書」に記載した文献資料等を用いて、国際貿易論・環境経済学等の各分野における貿易政策と国境炭素調整に関わる既存研究を検討した。その上で、国際貿易の独占的競争モデルにおいて、財生産に伴う環境の外部性と環境政策(環境税)を組み込む形でモデルを拡張し、分析を行った。具体的には、一国における環境税の賦課が当該国において生産される差別財のバラエティ数や価格水準に与える影響について特徴付け、一国における最適な環境税の水準について検討した。分析によって得られた結論は、以下の通りである。まず、正の環境税の存在は、各国および世界全体で生産される差別財のバラエティ数を減少させることを示した。また、均衡における差別財のバラエティ数によって決定される価格水準は、当該国の環境税率の引き上げによって上昇し、また、他国による環境税率の引き上げによって下落することを示した。さらに、独占的競争下における最適な環境税の水準は、効率的なピグーの水準から、税収・所得効果および交易条件・価格水準効果という2つの効果によって乖離することを示した。すなわち、環境税率の上昇が当該国の税収・所得を増加させる場合、最適な環境税率は効率的水準を上回り、また、環境税率の上昇が当該国の価格水準を上昇させる場合、最適な環境税率は効率的水準を下回る方向へ作用することを示した。以上のような研究成果を“Production Relocation and Optimal Environmental Policy under Monopolistic Competition”として論文にまとめ、立正大学『経済学季報』誌へ公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、国際貿易の不完全競争の枠組みで、国境炭素調整の実施が、当該国および他国が選択する炭素価格政策にどのような影響を与えるのかについて理論的に検討することである。本年度の研究実施計画は、研究期間を通じて用いる分析の基盤となる理論モデルの構築とモデルにおける国境炭素調整政策の導入と分析であり、そのような目的はある程度達成されたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
先述のとおり、本年度においては貿易政策と環境政策の関係性に関わる既存研究の包括的なレビューを通じて幅広い視点から検討を行った。今後は、研究計画にも記載した通り、前年度に構築したモデルにおいて、国境炭素調整措置を導入し、同措置の導入が、高炭素価格国が厳格な環境政策を維持するのに十分な誘因を与えるのかといった点を明らかにしたい。その際、モデルにおいて可能な限りさまざまな形での簡潔化を試みることでより明確で直感的な分析結果を導出すること目指したい。さらにはカリブレーションによる数量分析の実施についても検討を進めたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)