地域生活に関連する活動主体の立地パターンと,家庭内意思決定との相互作用の分析
Project/Area Number |
22K01483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
近藤 広紀 上智大学, 経済学部, 教授 (30324221)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 都市経済学 / 家族の経済学 / 空間経済学 / 新しい経済地理モデル |
Outline of Research at the Start |
居住する地域の経済特性,特に,女性の就業機会や,内部の経済主体の立地…企業と家計のみならず,保育・教育施設,および介護施設の立地…は,就労形態や,子供の育児・教育,親の介護等の形態を規定することを通じて,家庭内の意思決定や経済厚生を,大きく左右する. 本研究では,地域間分業と,地域内部における経済主体の立地パターン,および,家庭内意思決定が,相互に関連し合いながら,どのような動向をたどるのかについて,理論的に分析する.成立しうるパターンが複数ある場合には,それぞれが,経済成長のダイナミズムと,就労や生活,教育などの利便性をどこまで引き出せるのかを検討しながら,望ましいパターンを探る.
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Outline of Annual Research Achievements |
私の研究目的は,地域間分業(都市圏と地方圏の分化,産業集積,および都市の内部構造)と,家族の姿(人々の働き方や,家庭内分業,育児や教育,介護のあり方,地域間移動の頻度や同居・非同居の選択など)が,相互に影響し合いながら,どのように変化していくのかについて,関連する政策の影響も考慮しながら,理論的に考察していくことにある. 令和4年度は,シンプルな地域間分業の一般均衡モデルにおける,若年世代の教育や,老齢世代の介護などに関連した社会保障政策の影響を分析した. 教育補助政策:まず,地方政府が補助を決定し実行する場合を考察した.地方圏においては,この政策は支持を得られず,実行されない.都市圏においては,政策は支持され実行に移される.したがって,より一層,都市と地方の分断が深刻となる.中央政府が行う場合には,補助が実行され,教育投資は活発になるものの,一極集中のもとでは,より集中が極端なものとなる. 老年世代を対象とした社会保障政策:老年世代が子世代に依存する必要性が低くなるために,子世代を豊かにするための教育投資の誘因が削がれると思われる.しかし,実際にはその逆に,教育投資の誘因が強くなる.子世代がどこに居住しようと,あまり問題ではなくなることと,子世代が豊かになることによる親世代の便益は小さくなるものの,追加的便益(子世代が生まれた地域にとどまる場合の便益との差)は大きくなるためである. 以上の結果は,論文"The Impacts of Social Security on Family Decisions in an Economy with Urbanization"にまとめられている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は,シンプルな地域間分業の一般均衡モデルにおける,若年世代の教育や,老齢世代の介護などに関連した社会保障政策の影響を分析した.より具体的には,経済全体が,「都市圏」と「地方圏」に分化していくプロセスが完了しているというシンプルな状況のもとで,社会保障政策の効果を分析した.また,一極集中のケースと,多極集中のケースを分けて分析を行った. 私のこれまでの研究において,「地方圏」においては,親世代が子世代に高度な教育投資を行っても,子世代は遠く離れた都市へと移動するために,親世代の便益は小さくなる.そのために教育投資は行われず,結果として「都市圏」と「地方圏」の分断が深刻となることを,理論的に解明してきた.教育投資は,教育政策のみならず,その他の社会保障政策の影響も受け,その結果,社会的な分断が緩和される可能性もある. 本研究では,まず,企業の意思決定や,家庭内の意思決定が,その地域の経済的特性にどのように規定されるかを明らかにし,その後に,逆に,企業や家庭内の意思決定が,地域間分業に影響を与えることで,地域の経済特性をどのように規定するのかを分析し,そして,これらを総合して,地域間分業の一般均衡モデルを構築する,という順序を想定していた.そして,その次の段階として,このモデル内における社会保障政策の効果を議論していくことを予定していた. しかし,まずはじめに,上述のとおり,私がこれまでの研究で構築してきたシンプルな地域間分業の一般均衡モデルを用いて,社会保障政策の効果を分析することとし,モデルの各部分の精緻化は,その後に行うこととした.そうすることで,モデルを精緻化しながら,社会保障政策の効果をある程度予測し,分析を進めていくほうが,より効率的と考えたためである. 以上の通り,分析手順は入れ替わっているものの,総合すると,おおむね計画通り進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
各経済主体の意思決定について,より精緻化した形で,地域間分業の一般均衡モデルに取り込みたい.そのために,令和5年度は,企業の意思決定や,家庭内の意思決定(家族の成員の働き方や,家庭内分業,育児や教育,介護のあり方,地域間移動の頻度や同居・非同居の選択など)が,地域間分業が進む中での当該地域の経済的特性(産業集積パターンや,その地域が都市か地方か,地方の場合は都市までの距離,女性の就業機会の充実度や,保育・教育施設,介護施設,その他関連するインフラの充実度と立地)にどのように規定されるかを明らかにしたい. これまで,「家族の経済学」や「労働経済学」の分野において,雇用の種類,男女間の賃金格差,また,家庭内生産の一部(家事や育児,介護など)が一定程度市場から調達できるか否かが,女性の労働供給や,子世代や親世代への保育,教育,および介護の在り方を規定すること等が分析されてきた.ただし,これらは,居住地域の経済特性に大きく規定されると考えられる.居住地域が,産業集積を持つ都市圏か,それを持たない地方圏か,地方圏でも都市圏とどのような位置関係にあるのかが,居住地域の上述の特性を大きく規定している.しかし,これらが「家庭内意思決定」に及ぼす影響を扱った分析は,これまであまりなされていない. 逆に,家庭内の意思決定が,地域間分業に影響を与え,地域の経済特性を変化させていくことについては,来年度以降分析対象となるが,教育投資や,それによって生じる高学歴層の人々の地域間移動が,都市化のプロセスを加速したり固定化していく可能性について,予備的な分析を開始したい.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)