Project/Area Number |
22K01506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
斉藤 都美 駒澤大学, 経営学部, 教授 (00376964)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 公共財 / スポーツ施設 / 外部性 / プール / 市場の失敗 / スポーツ / 健康 |
Outline of Research at the Start |
日本には多くの公営スポーツ施設が存在する。だがなぜスポーツ施設を公的に供給すべきか、現状の公営スポーツ施設は地域間格差や効率性の面で適切に供給されているか、されていないとすればその原因は何か、より良い公営スポーツ施設の供給はどうあるべきか、といった基本的な問いに対する答えはほとんど得られていない。本研究では、経済学的視点・手法を用いて公営スポーツ施設の役割を明らかにし、現状分析から課題を発見し、それを解決するための政策提言を行う。分析に当たっては、回帰分析などの標準的なアプローチに加えて、GISを使った分析を行い、具体的な課題提示と政策提言を最終目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の研究を行った。 第一に、前年度に続いて先行研究のサーベイを実施した。具体的には、施設の最適立地に関する研究、公的・私的スポーツ施設の役割に関する研究、スポーツ施設への公的補助についての研究、についてサーベイを実施した。 さらに関連研究として、ボロノイ図の概念や作図方法を勉強した。詳細は【現在までの進捗状況】で述べるが、ボロノイ図が本研究目的に活用できるのではないかと考え、その概念や統計ソフトによる作図方法、応用例について学習した。だが結果として、ボロノイ図に人口や所得といった経済社会的な要素を組み込んで本研究に活用することは、主に技術的複雑さから、現時点では思うように進捗していない。 第二に、公営と私営の水泳プールの立地にどのような違いがあるかを定量的に分析した。 文部科学省に申請して提供を受けた「社会教育調査」の個票データを用いて、施設の住所からGISを用いて地図上にプロットし、公営と私営で立地にどのような違いがあるか分析した。その結果、直観的にも明らかではあるが、私営プールは人口密集地にのみ立地するが、公営プールは人口密集地に加えて人口が希薄な地域にも多く立地していることが確認された。さらにこうした立地パターンがどのような要因によって発生しているかを検討するため、人口密度や自治体の財政状況などのデータを追加で収集するとともに、これら社会経済的要素とスポーツ施設の立地についての関係を分析するための分析手法を学習した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は結果的に2つの要因により若干遅れが生じることになった。 1つはボロノイ図が活用できるのではないかと考え、その理解やMatlab・Mathematicaによる作図方法の習得に一定の時間を費やした。ボロノイ図は施設の最適配置問題のアプローチとして紹介されるため、本研究の研究目的に有用ではないかと考えたのである。 だがボロノイ図は、簡略化された設定の下ではしっかりとした分析の枠組みが整い、描画のための統計ソフトも整備されているものの、現実的な要素を取り込んで実証分析に活用しようとすると非常に複雑になることがわかった。具体的には、居住者の移動コストのみを取り込む程度のことは可能であっても、人口構成や居住可否などの地理的特性、交通網、自治体財政状況、スポーツ施設の特性といった要素をボロノイ図に組み込んで分析することは、現時点では技術的に困難であると判断せざるを得なかった。 また実証の背後にある理論モデルの構築を目指し、公営組織と民間企業が混在するホテリングモデルについての先行研究について確認した。だがこれらの理論研究から本研究課題の関心に沿った実証仮説として採用できるものが見つけられていないのが現状である。 以上2点について取り組んだことで、ボロノイ図や混合ホテリングモデルについての理解が深まったものの、いずれの試みも結果的に研究テーマの推進に資するものではなく、進捗状況にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の2つの方策で研究を進める予定である。 第一に、引き続き公営スポーツ施設の立地パターンを理解するための定量的な分析を行う。すでに文科省より公営プールの個票データの提供を受け、各施設の住所からGISにより地理的な立地パターンを可視化し、年間利用者数に公営・民営でどのような違いがあるかを分析した。今後はこの立地パターンや利用者数の違いがどのような要因によって説明可能かを分析する。具体的には、新たに人口密度や自治体財政状況などのデータを追加し、公営施設と民営施設で立地パターンや利用者数との関連性にどのような違いがあるかを分析する。また可能であれば、新たに公営プールができたり閉鎖したショックを利用して、周辺の民営プールの利用状況にどのような影響を与えたかをdifference-in-differenceの手法を用いて分析することを予定している。 第二に、本研究課題のまとめとして、より広い観点から公営プールがその目的に照らして最適に立地・運営されているかについての政策的判断を実施する。具体的にはケース・スタディを通じて、公営プールの設立目的や財政状況を確認し、公営プールの現状についての知見を広める。その上で公共財や外部性の観点から、公営プールが最適に立地・運営されているか、されていないとすればその要因は何か、どうしたら公営プールがその本来の目的を果たすことができるかについての政策提言を行う。
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