Project/Area Number |
22K01547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07050:Public economics and labor economics-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
安岡 匡也 関西学院大学, 経済学部, 教授 (90437434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 真敏 南山大学, 経済学部, 教授 (10533648)
伊藤 健宏 東北学院大学, 経済学部, 教授 (40364418)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 育児支援政策 / 出生率内生化 / 不確実性 / 出生率 / 育児支援 / 移民 / 少子高齢社会 |
Outline of Research at the Start |
本研究では若年期及び老年期における不確実性を考慮した出生率内生化モデルを設定し分析することによって、所得や政策の信ぴょう性などの不確実性が出生率にどのような影響を与えるかを明らかにする。具体的な分析手法としては、経済モデルを解析的に分析することを通じて長期的な視点での考察を行うと同時にシミュレーション分析を行うことを通じて短期的な視点での考察を行う。 本研究によって明らかにされる点は下記の通りである。 ①不確実性を考慮した出生率内生化モデルの定性的・定量的性質 ②少子化対策と矛盾しない老年世代に対する政策のあり方
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は科研テーマに関連する研究を行い、学会や論文などで発表することができた。初めに、子育て支援政策についてであるが、様々な子育て支援政策がある中で、それぞれの政策の効果を比較することによって、どのような形での子育て支援政策が望ましいかについてシミュレーション分析を用いて定量的な考察を行った。次にラムゼイモデルにおける所得の不確実性が存在する場合の出生率への影響についての考察を、同様にシミュレーション分析を用いて定量的な考察を行った。この考察では不確実性が存在しない場合とする場合の2つのケースを比較しており、不確実性が存在する意義を示すことができた。
さらに、将来の失業が起きる可能性を考慮したモデルを設定し、そのようなモデル設定の下で、失業手当と児童手当のどちらが出生率を引き上げる観点から望ましい政策であるかについて考察を行った。失業に伴う将来所得の不確実性は出生率を引き下げる要因であるが、児童手当ではなく、失業手当によって出生率を引き上げることができるということを明らかにし、いわゆる従来の子育て支援政策とは別の形での政策が出生率を引き上げることを示した。
上記の研究結果はオリジナリティのあるものである。例えば、様々な育児支援政策を考慮して効果について政策同士で比較を行うといったこと、さらにモデル設定については、保育サービスと育児時間から出生率が決定するという関係式をシミュレーションをする上では設定する必要があるが、シミュレーション分析の強みを生かして様々な関数形を考慮した分析という点に新規性がある。また、不確実性についても効用関数の仮定や物的資本蓄積の観点からも考察を行っており、こちらも新規性があると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定した通りの研究を進めることができたため、上記の区分とした。なお、今年度については学会報告したものの、今年度の研究論文としては公表していないものもあるが、それらについては、既に2024年度の段階で公表予定となっている。 来年度は最終年度であるが、出生率内生化モデルを用いた所得の不確実性に関する解析的な考察を行うことで定性的な政策の効果を分析する予定である。この研究こそが本科研テーマにおける最も重要な研究内容と申請時より位置づけているが、これまで順調に研究を進めることができたため、2024年度に無事取り組むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は科研最終年度である。従って、これまで学会やディスカッションペーパーで公表してきた研究成果について査読付き雑誌などへの掲載を進めていきたい。 そして、新たに着手する研究内容として、1つ目としては、ラムゼイモデルを用いた出生率内生化モデルの下での最適な資本所得課税について分析された論文が先行研究として存在しているが、このモデルを元に不確実性を導入して、さらに最適な資本所得課税ではなく、児童手当を導入した分析を行う。 2つ目としては、シミュレーション分析については精緻化を行う。具体的にはシミュレーション分析におけるパラメータの推計をより詳細に行い、育児支援政策の分析を行うことを考えている。 3つ目としては、所得の不確実性だけでなく、育児コストの不確実性や政策の実施についての不確実性を考慮した上で、出生率への影響だけではなく、子どもへの教育投資についても分析していく予定である。失業の場合、時間を労働から育児に振り分けることが可能である。しかしながら、世帯所得が減ることによる育児への影響もある。そのような効果を総合的に考えていくようなモデル設定を考えて考察を進めていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(19 results)