洋式消費財産業の展開とアジア間貿易圏――「中小商工業者」の政治経済的役割
Project/Area Number |
22K01614
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
渡辺 千尋 東洋大学, 経済学部, 講師 (50812731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光 中央大学, 経済学部, 准教授 (00713017)
佐々木 淳 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10244766)
今泉 ひとみ (宝利ひとみ) 東京都立大学, 経営学研究科, 助教 (80804187)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 稲岡工業株式会社文書 / 洋式消費財産業 / 輸出雑貨工業 / 戦間期日中関係 / 在来綿織物業 / タオル製造業 / アジア型近代商品 / 中小商工業者 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、戦間期日中関係史における政治的アクターの一つ「中小商工業者」の経営実態の解明を通じて、彼らの経済・外交政策に対する言説を捉えなおそうとするものである。 第一に「中小商工業者」の従事した洋式消費財産業の展開をアジア市場に即して解明する。分析対象としてタオル製造業稲岡商店(兵庫県加古川市、1891~1961年)を取り上げ、「稲岡工業株式会社文書」を用いて、その経営展開をアジア間貿易圏の展開の中に位置づけつつ明らかにする。第二に、以上を踏まえて商業会議所等での「中小商工業者」の言説を検討する。以上から「中小商工業者」が日中関係・日本経済において果たした政治経済的役割を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(一)昨年度に引き続き「稲岡工業株式会社文書」を利用した洋式消費財産業の展開の検討を進めるとともに、(二)「オンライン版 全国商工会議所関係資料」の大阪商業会議所の部分(M8)を購入し、中小商工業者の経済・外交政策に対する言説の解明に着手した。 (一)については、前年度に引き続き「稲岡工業株式会社文書」の(1)整理、(2)史料調査、(3)同文書保存会のイベントの共催を行った。(1)整理については今年度は目録集の印刷には至らなかったが、目録の作成自体は順調に進んでおり、2024年度に新たに作成した目録を『「稲岡工業株式会社」目録集(二)』として印刷する予定である。(2)ほとんどのメンバーが年に2回から4回の史料調査を実施しており、3月に中間報告会を実施した。佐々木、西向、および田中・渡辺(共著準備中)は、科研費基盤(C)「戦前期日本における洋式消費財産業の展開―タオル製造業 稲岡商店の事例に即して」(代表:佐々木淳)での成果を投稿準備中であり、これを踏まえて本共同研究の調査を進めている。田中は佐々木科研および本科研での成果をもとに、「近世在郷商人から近代的起業家へ-兵庫県印南郡稲岡商店による輸出向タオル製造の事例」『経営史学』2023年9月を発表した。宝利は稲岡商店の基本財務データの整理を開始し、分析対象時期を戦時期まで拡大して検討を進めている。(3)イベントについては保存会が2023年1月14日に保存会活動10周年を記念したイベント「わたの里の「記録」」を開催し、講談師の旭堂南海氏をお招きして『稲岡工業ものがたり』を演じていただくとともに、保存会員と科研メンバーによる座談会を開催して、140人の参加者を得た。 (二)については渡辺が『大阪商業会議所月報』をもとに、第一次大戦期から戦間期にかけての日本政府の経済外交を大阪商業会議所がどのように見ていたかを理解するための史料の読解を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は四年間の科研費共同研究の二年目にあたり、一年目に引き続き「稲岡工業株式会社文書」の史料調査を進める計画であり、それぞれ2回から4回の史料調査を実施した。また計画通り2023年度の終わりに中間報告会を実施し、近世の在来綿織物業からタオル製造業への転換期から戦時経済を経て戦後までの稲岡家および稲岡商店のあゆみをメンバーが分担し、それぞれ検討が進んでいることを確認することができた。保存会と共同で進めている「稲岡工業株式会社文書」の目録化については、今年度は10周年記念イベントの開催のため印刷が遅れたが、目録の作成自体は順調に進んでおり、2024年度に印刷する予定である。 なお、稲岡工業株式会社文書保存会と科研費共同研究メンバーによる文書の整理・保存・活用のあゆみを松岡資明氏が「地域住民が守る企業資料」として『Records&Information Management Gournal』ARMA東京支部、第57号、2024年1月にまとめて発表してくださった。また『日本経済新聞』2024年4月25日にも保存会の活動に関する記事が掲載される予定である。私たちの活動を関心のある方に広く知ってもらうきっかけになるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は3年目にあたる。研究計画では3年度目に論文の投稿を目指した報告会を実施する予定であったが、今年度の中間報告会にてにメンバーが佐々木科研の成果に本科研の成果を合わせた論文の投稿を準備していることが判明したため、次回の研究会では論文が発表済みとなっている可能性もある。次回研究会ではそうした状況も踏まえて、今後の方向性について検討したい。 また、中間報告会にて1920年代の稲岡商店の状況を知るための史料があまり見つからないことも明らかになった。本共同研究は稲岡商店の創業から戦後までの歩みを明らかにしつつ、戦間期を主たる検討対象として経済政策との関連性を分析するものであるため、1920年代の史料が豊富にないのは困ったことである。保存会の方々に整理・保存の過程で同時期の史料がないかどうか気にかけていただけるようお願いするとともに、科研メンバーも鋭意史料の捜索を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)