Project/Area Number |
22K01664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
渡部 博志 武蔵野大学, 経営学部, 教授 (40612461)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | フォロワーシップ |
Outline of Research at the Start |
企業を主な対象として中間管理職に焦点を当てて、上司の下で組織目標に向けて取り組む行動やその時の特徴(フォロワーシップ)が、その部下にいかに継承されていくのか、あるいは継承されないのかを明らかにしようとする研究である。特に、これまでであれば背中を見るかたちで上司の行動(フォロワーシップ)を目にする機会のあった部下が、リモートワークの機会が増え直接対面する機会の減った中においては、いかにして上司の立ち居振る舞いから学ぶのかという、今日的な課題も念頭に置いた研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、事業組織における中間管理職に焦点を当てて、上司の下で組織目標に向けて取り組む際のフォロワーシップが、その部下に継承されていく条件について明らかにしようとするものである。 本研究を構想していた時点では、コロナ禍によってこれまでとは異なる働き方を余儀なくされ、上司と部下の接触機会そのものに変化が生じていると考えられたが、昨年度(2022年度、本研究課題の初年度)実施した質問票調査からは、組織のマネジメントを任されている中間管理職の大半にとって、コロナ禍以前と比べて上司との接触機会の数では変化がほとんどなく、全体としてはむしろ増えていることが明らかになった。上司と部下が互いに「見えている」とすれば、上司のフォロワーシップ行動を部下が目にして真似て継いでいくという機会が失われたわけではないと考えられる中で、まずは中間管理職の立場にある人物に対する組織における評価に焦点を当てた分析を行った。分析の結果からは、部下に対して発言を促す変革型リーダーシップを発揮するほど組織からの評価が高まるものの、そのようなリーダーシップを発揮している中間管理職が上司からの指示命令の通りに忠実に行動するフォロワーシップ行動をとるほど評価は下がるという調整効果が存在することが統計的に示された。このことは、中間管理職が担うリーダーとフォロワーの両側面での行動における整合性が評価に影響をもたらすことを示唆するものだと考えられる。 最終年度に向けては、中間管理職のフォロワーシップ行動が、その中間管理職の上司がさらに上の立場の人物に対して取るフォロワーシップ行動と類似・継承しているのか、継承している場合にはどのような条件の下で生じているのかについて、今後の研究で分析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでに実施した研究の一つに、フォロワーシップとリーダーシップのいずれをも発揮する立場にある中間管理職を対象に、その両者の関係を分析したものがある。これは、上司から部下へと継承されるフォロワーシップの存在を検討するにあたっての所与となる、部下の側のリーダーシップに関する分析である。リーダーシップが発揮される際に見られる行動と整合性のないフォロワーシップ行動をとる場合は組織からの評価が低くなるという知見は、中間管理職を考えるからこその論点を示したといえる。すなわち、フォロワーシップを発揮する人物がリーダーとしての期待もされるからこそ、今後の研究の中心となるフォロワーシップの継承に焦点を絞る際に、考慮すべき一側面としてリーダーシップの影響があることが示されたと言えよう。 もっとも、フォロワーシップが上司から部下へ継承されるか否かということ自体が、本研究の主たる論点であり、これまでの研究をふまえた実証分析を本課題の最終年度に実施していく。コロナ禍を経ても上司と部下の接触機会はコロナ禍以前から大きく様変わりしたわけではないことをこれまでの調査で確認した中で、組織内でフォロワーシップ行動が上司から部下へと継承される状況を明らかにするための質問票調査を2023年度末に実施しており、現在のところ進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、2023年度末に実施した質問票調査の分析を進めることから取り組んでいく。 組織目標に向けて取り組む際のフォロワーシップ行動が上司から部下へと組織内で継承されるのかを主たる問いとして、質問票調査を通じて部下のフォロワーシップ行動に影響を及ぼす要因を分析していく。その中でも、本研究で焦点を当てている中間管理職だからこそ生じうる、フォロワーシップとリーダーシップを併せ持つことによる影響について考察を深めていく。あわせて、これまでの2年間で実施してきた質問票調査において同一人物を対象として実施している部分があることから、時間の経過と共にフォロワーシップ行動に変化を及ぼす要因の有無についても分析を行うことで、フォロワーシップを経時的に捉えた研究も推進する。 質問票調査による量的研究のみからでは十分に捉えきれない部分があると考えられるため、インタビュー調査を行うことで補足することも検討している。統計分析の結果を解釈する際に、その妥当性を質的研究の結果から検討できるように、フォロワーシップの実態を深く理解することを試みる。 また、本課題の最終年度として研究全体のまとめを行うと同時に、残された研究上の課題を明確にすることも心がけ、本研究の貢献と限界を真摯に示していく。
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