Project/Area Number |
22K01784
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07100:Accounting-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀口 真司 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10432569)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 宗教法人 / アカウンタビリティ / 会計 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「日本の宗教法人のアカウンタビリティの現在の実態を明らかにすること」を目的とする。これまで主に欧州で先駆的に取り組まれてきた、定量的研究と定性的研究の両方の分析枠組みを日本の文脈へと応用することにより、まず学術面では、非西洋国における非キリスト教組織のアカウンタビリティに関する研究という点で既存研究の空白を埋めることが期待され、また政策面では、宗教法人が日本の脆弱な市民社会組織を代替するための制度的条件を提示することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「日本の宗教法人のアカウンタビリティの現在の実態を明らかにすること」を目的とし、これまで主に欧州で先駆的に取り組まれてきた定量的研究と定性的研究の分析枠組みを日本の文脈へと応用することにより、非西洋国における宗教組織のアカウンタビリティに関する既存研究の空白を埋めることを主眼としている。具体的には、文化庁が発行している『宗教年鑑』の宗教統計から抽出した法人の情報開示状況を、公開情報及びインタビュー調査によって得られる情報に基づいて分析する。 令和5年度には、上記枠組みに基づき、情報を開示する意思があるか否かを問うアンケート調査のための、分析枠組みに関する事前調査を行った。具体的には、イギリスの登録チャリティのうち、キリスト教チャリティ組織とイスラム教チャリティ組織を対象に、信者ら(とりわけ寄付の提供者)に対するアカウンタビリティのための理論とその測定方法について研究しているYasmin et al. (2014)に依拠しながら、その分析枠組みについて検討した。 また、当該分析枠組みが、日本の宗教法人を対象とした調査を実施する際に、有用な枠組みであるか否か、また必要な修正があるか否かについて確認するため、特定の宗教法人における会計担当者に対するパイロット調査を行った。 なお、前者の分析枠組みについては、神戸大学大学院経営学研究科のディスカッションぺペーパー(2024 05)として登録している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、文化庁が発行している『宗教年鑑』の宗教統計から抽出した法人を対象に、公開情報及びインタビュー調査によって得られる情報に基づきながら、日本の宗教法人の情報開示の現状について明らかにすることを目的としている。令和5年度には、上記目的を達成するために、情報を開示する意思があるか否かを問うアンケート調査のための分析枠組みに関する事前調査を行った。 しかし、2022年7月の安倍元首相の銃撃事件を受け、宗教法人と政治家の間の接点が注目され、その後、特定の宗教法人が信者に多額の献金を強要しているのではないかという懸念が世間の注目を集めている。また現時点でも、宗教法人法に基づく文部科学省の質問権行使が行われており、その動向は、宗教法人全体において注目されている。 こうした不測の事態を受け、パイロット調査の対象者や当初からの研究協力者らと協議した結果、今年度に実施を予定していたアンケート調査を再度延期することとした。その理由は、本調査のような開示の意思を確認するようなセンシティブな質問内容については、現在、公正な回答を得ることが難しくなっていることが予想されるからである。そのため、今年度は研究計画の変更を行い、日本の制度環境の記述的分析と、今後実施予定の分析枠組みについての整理に専念することとした。したがって、本研究の現在までの進捗は、当初の計画に比べ「やや遅れている」としている。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の通り、本研究では、文化庁が発行している『宗教年鑑』の宗教統計から抽出した法人を対象に、公開情報及びインタビュー調査によって得られる情報に基づきながら、日本の宗教法人の情報開示の現状について明らかにすることを目的としている。 しかしながら、上記のような不測の事態を受け、研究対象者や研究協力者らとも協議した結果、実施することを予定していたアンケート調査を再度延期することとなった。その理由は、本調査が分析の対象とするセンシティブな内容については、現在の状況を鑑みる限り、公正な回答を得ることが難しくなることが予想されたためである。そこで今年度は、当該制度動向を引き続き注視し、調査回答者にとって回答の際にバイアスのかかりにくい調査方法について再度慎重に検討する予定にしている。 また、それと同時に、宗教法人のアカウンタビリティに関する理論研究についても、併せて進める予定にしている。具体的には、現在日本において、宗教法人のアカウンタビリティのために設定されている制度は、主として(1)公告制度、(2)登記制度、および(3)事務所備付資料の閲覧の3つが想定されるが、とりわけ宗教法人の管理運営について、代表役員(執行機関)や責任役員(議決機関・意思決定機関)が、規則通りに活動しているのか否かについては、信者等の総意に基づいてチェックすることが、必ずしも容易でないのが現状である。その背景には、「政教分離の原則」という考え方があることは明らかであるが、信者ら、とりわけ正当な利害関係を持つ者が、宗教法人の活動を定期的にチェックできるような道をどのように確保するのかという観点から宗教法人のアカウンタビリティを考えるに際して、他国におけるアカウンタビリティについて、理論的な検討を深める予定である。
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