Project/Area Number |
22K01852
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 俊樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10221285)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | ウェーバー / ルーマン / 合理的組織 / 組織システム / 近代資本主義 / 自己産出 / 比較社会学 / 組織システム論 / マックス・ウェーバー / ニクラス・ルーマン |
Outline of Research at the Start |
Niklas Luhmannらによって整備された組織システム論、とりわけautopoietic organization theoryの枠組みを使って、Max Weberのいう「自由な労働の合理的組織」の内実を理論的に明確にする。それを通じて、Weberの多様で横断的な研究が「合理的な組織」の成立と普及という一貫した視点をもつことを示して、組織社会学者としてのMax Weberを再評価し、その理論および実証の現代的意義を明らかにすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究がめざす主な成果は以下のものである。 [1] Max Weberが最晩年の『宗教社会学論集1』(1920)で近代資本主義の決定的特徴とした「自由な労働の合理的組織」を、Niklas Luhmannらによる組織のコミュニケーションシステム論(以下「組織システム論」)を用いて再定義する。[2] [1]をふまえて、Weberの研究が博士論文『中世の商事会社の歴史』(1889)(以下『商事会社』)から、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の『精神』」(1904-05)(以下「倫理論文アルヒーフ版」)やいわゆる「支配の社会学」を経て『宗教社会学論集』まで、「合理的な組織」の成立と普及という一貫した視点をもっていることを示す。[3] [1][2]をふまえて、Weberの比較社会学の枠組みが宗教倫理だけでなく、会社組織や司法制度のちがいも統合的にとらえられることを明らかにする。それによって、多岐にわたるWeberの研究を、学説研究の専門家以外にもわかりやすく再整理する。[4] [1]~[3]をふまえて、Weberの社会学が最近の比較史などの研究にも繋がることを示し、その現代的up to dateな意義を明らかにする。あわせて、日本語圏では不正確な紹介がまだ多い20代のWeberの研究と伝記的事実に関して、一般的に利用できる形で知識を提供する。 このうち、23年度は[3]と[4]を主に遂行した。具体的には、佐藤俊樹『社会学の新地平 ウェーバーからルーマンへ』(岩波書店)を2023年10月に刊行した。本書は新書版で専門家以以外にも手に取りやすく、内容面や書き方も、特に社会人として組織で働く人たちにも読みやすいように工夫した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述のように、23年度は当初の計画のうち、 [3] [1][2]をふまえて、Weberの比較社会学の枠組みが宗教倫理だけでなく、会社組織や司法制度のちがいも統合的にとらえられることを明らかにする。それによって、多岐にわたるWeberの研究を、学説研究の専門家以外にもわかりやすく再整理する。[4] [1]~[3]をふまえて、Weberの社会学が最近の比較史などの研究にも繋がることを示し、その現代的up to dateな意義を明らかにする。あわせて、日本語圏では不正確な紹介がまだ多い20代のWeberの研究と伝記的事実に関して、一般的に利用できる形で知識を提供する。 を遂行した。研究作業の進展によっては、24年度に繰越になる可能性もあったが、幸い勤務先での学務負担が少なかったため、当初は24年度に予定していた新書版の一般向け&専門家向けの新書を刊行できた。幸い、すでに1万部以上刊行されており、おおむね好評を得ていると考えられる。特に[4]の点で、日本語圏の従来の知識を、明らかに間違っているものもふくめて、大幅に更新することができた。これは日本語圏の社会科学全般に対する大きな貢献であると考えている。 これらの点で、当初の計画以上に親展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度にあたる。当初の計画では、 [3] [1][2]をふまえて、Weberの比較社会学の枠組みが宗教倫理だけでなく、会社組織や司法制度のちがいも統合的にとらえられることを明らかにする。それによって、多岐にわたるWeberの研究を、学説研究の専門家以外にもわかりやすく再整理する。[4] [1]~[3]をふまえて、Weberの社会学が最近の比較史などの研究にも繋がることを示し、その現代的up to dateな意義を明らかにする。あわせて、日本語圏では不正確な紹介がまだ多い20代のWeberの研究と伝記的事実に関して、一般的に利用できる形で知識を提供する。 に主に携わる予定であったが、23年度に計画以上に大きな進展があったので、それをふまえて、よりその成果を拡大することを図る。また、結果的に24年度には時間的な余裕ができたので、 [1] Max Weberが最晩年の『宗教社会学論集1』(1920)で近代資本主義の決定的特徴とした「自由な労働の合理的組織」を、Niklas Luhmannらによる組織のコミュニケーションシステム論(以下「組織システム論」)を用いて再定義する。[2] [1]をふまえて、Weberの研究が博士論文『中世の商事会社の歴史』(1889)(以下『商事会社』)から、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の『精神』」(1904-05)(以下「倫理論文アルヒーフ版」)やいわゆる「支配の社会学」を経て『宗教社会学論集』まで、「合理的な組織」の成立と普及という一貫した視点をもっていることを示す。 に関しても再検討を進め、より高い学術的水準の成果を今後もあげられるように、その基盤づくりにも努めたい。
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