Project/Area Number |
22K01862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
澁谷 望 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (30277800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 社会的投資 / 新自由主義 / フーコー / ウェンディ・ブラウン / 自己投資 / 予示的政治 |
Outline of Research at the Start |
本研究は福祉・教育政策において影響を強めつつある社会的投資アプローチ(社会投資国家)を新自由主義的統治の一形態として位置づけ、その含意を明らかにする。社会的投資アプローチは、新自由主義に替わる新しい政策として期待されているが、人的資本への「投資」を軸に社会を再定義する試みであり、新自由主義の一形態であること、投資には「リターン」が期待されるが、リターンの見込みのない人々への「投資」は控えられ、むしろリスク管理の対象となりうることを明らかにする。また社会投資アプローチへのオルタナティブとして、欧州を中心とした都市でインフラの再公営化などを進めるミュニシパリズムの実践を対置しその可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は福祉・教育政策において影響を強めつつある社会的投資アプローチ(社会投資国家)を新自由主義的統治の一形態として位置づけ、その含意を批判的に分析する。昨年度は社会投資国家の理論的分析を中心に研究を遂行した。 社会投資国家ないし社会的投資アプローチとは、一方における従来の福祉国家的な再配分的な社会政策、他方における「小さい政府」を目指す新自由主義の双方を批判し、「人への投資」(人的資本への投資)を志向する社会政策のタイプであり、EUでも2013年に「社会投資パッケージ」を発表するなど、社会的投資アプローチを積極的に受け入れ始めている。しかし、このアプローチは、新自由主義的な統治(ミシェル・フーコー、ウェンディ・ブラウン)との連続性を保持している。初年度の今年度の研究では、この点に着目し、大きく以下の2点の問題を提起した。 第一に、政策レベルの分析から、社会的投資アプローチ政策は、自己投資を慎重に行うことのできるリスク管理の主体を前提とし、こうした主体の形成を誘導する。その結果、この政策は、投資対象の「格付け」実践を伴う。つまり、それは「自己投資」( 自己統治)に「失敗」し、あるいはその可能性の高い者をリスク・ファクターとみなす政策実践を伴う(L.リスター、J.ジェンソン)。 第二に、社会的投資アプローチは、一般的な大衆文化の領域における新自由主義的な「自己投資」言説の拡大と結びつく。「社会的投資」とは、集合レベルでの人への投資であるが、個人レベルでの「自己への投資」とパラレルな関係にある。それゆえ、社会的投資アプローチは、個人が「生産性がある(生産的である)」かどうか、「役に立つ」かどうかを問題にする、優生学的な「能力主義」的な価値観と親和的な関係がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会投資国家についての理論的な整理・分析についてはおおむね順調である。自己投資言説の分析に関しては、現在「人への投資」言説が岸田政権においてキャッチフレーズ的な重要性を与えられつつも、実際の政策への反映については不明瞭なため、当初の見込みよりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
【A】投資言説の文化の分析: 引き続き本研究は、社会投資言説を支えるものとして、ポピュラー文化における「自己投資」言説の広がりに注目し、「アントレプレナー」および「自己啓発」言説と社会投資の親和性を分析する。 また、社会投資国家の理論的分析も継続する。 【B】ミュニシパリズム型統治の形成過程の分析:新自由的な統治へのオルタナティブとして、2011年のオキュパイ運動の流れのなかで、反新自由主義を掲げる自治体都市によるミュニシパリズム的統治が出現し、水道の再公営化など「コモンズ」と「パブリック」を結びつける政策実践が実現している。この実践は、「プライベート」と「パブリック」を結びつける社会投資国家とは対照的であり、本研究はこの観点から、社会投資国家へのオルタナティブとしてミュニシパリズム統治を位置づけ、その形成のプロセスを理論的・歴史的に分析する。また上記Bの分析を補完するものとして、「コモンズ」の創出を志向する社会運動の実践の分析を行い、理論的な検討を加える。
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