Project/Area Number |
22K01874
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
五十嵐 泰正 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80451673)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 道路利活用 / タクティカルアーバニズム / ほこみち制度 / ストリートミュージシャン / 領域横断性 / タクティカル・アーバニズム / 都市社会学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、道路空間/公共空間の利活用が進む中で注目されている、タクティカル・アーバニズム(以下、TU)という手法の性質とそれが現代社会で制度化されていくことの意味を社会学的に検証し、TUをより創造的かつ内発的なものとしていく条件はどこにあるのか、都市社会学の側から考察するものであり、加えて、まちづくり領域における社会学の貢献可能性について検討するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、いくつかの道路利活用社会実験への実践的参画およびその効果を検証する調査に注力した。台東区上野地区においては、仲町通りと中央通りの社会実験に関わった。歓楽街である仲町通りで「ほこみち」を目指した社会実験では、参加飲食店の店舗前および通りの核となる交差点に位置する物販店前にテラス席を配置し、参加店舗からのフードコート的な営業をすることでの通行客の利用実態を調査したが、物販店前の席は客引きが利用してかえって地域環境を悪化させる結果となる等、この状況を打開するには持続不可能なほどの人的・経済的投資が必要と結論付けられた。 中央通りを歩行者空間化する社会実験においては、実施日とその前週に実施エリア近辺における滞留者質問紙調査などを行った。社会実験当日の悪天候により期待された回遊性の向上等の結果は得られなかったが、上野地区を回遊する来街者の属性に関する理解が深まり今後の社会実験に向けたターゲット層が明確化され、また悪天候は措くとしても、見通しがよくガードレールが敷設された中央通りでのプレイスメイキングは難しいことが明らかになった。 一方柏市では、当初さほどの期待をされなかったものの、高校生を中心とした若者に満足度と来訪頻度が非常に高い空間を実現している道路利活用実験の調査を行い、視認性の高さとエッジ効果の両立がプレイスメイキングに有効であるとの結論を得た。 以上のような経験から、現在官民学ともに一斉に目指されている道路利活用について、地域特性の再考と利用者の詳細な検証といった面で、都市計画の場の外部にいる社会学者が貢献可能性についての考察を深めた。 またメルボルン調査では、先進的なBusking許可制度について市当局者やBuskerたちへの聞き取り調査を行うとともに、活発な路上利活用事例を視察し、特に柏市におけるストリートミュージシャンと共生するまちづくりについて大きな示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、都市計画分野の専門家や都市計画関連の地方行政(台東区、柏市)まちづくり関連担当者との協働に基づく研究・実践を通して、都市計画の場の外部から「観察者」として振舞ってきた都市社会学者がなし得る実践的・批判的な貢献可能性について、考察を深めることができた。こうして得られた研究成果を、年度内に学術論文や学会報告とするには至らなかったが、台東区における一般講演「上野広小路ヒロバ化実験および事前対照調査報告―――誰が、どのように上野を「回遊」しているのか」(於・上野まちづくり協議会)や柏市における一般講演「居心地のいい路上空間とは?――脱モータリゼーション時代のまちづくり」(於・柏西ロータリー)において報告したことで、街の主要アクターである経営者層からの有益なフィードバックを得て、2024年度の地域社会学会での学術報告などに生かしていくべく準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の研究成果、すなわち道路利活用を事例としたアーバニズム的実践における都市社会学の貢献可能性については、5月の地域社会学会での研究報告や既に決定済みの依頼学術論文にて報告予定である。 本研究最終年度に当たる2024年度には、昨年度に引き続き上野中央通りでの社会実験を中心に、アクションリサーチ的な効果検証を進めていく。さらに、こうした機会における都市計画分野の専門家および地方行政まちづくり関連担当者との協働や、必要に応じて彼/彼女らへの聞き取り調査を行うことで、全国的に横展開する形で道路利活用社会実験が行われていく機制とそれがもたらす意味について、ブルデュー的な意味での都市計画という「界」に着目して解明していくことを目指したい。
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