外国人住民に対する意識研究における「地域コミュニティ仮説」の構築と検証
Project/Area Number |
22K01892
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Hokuriku Gakuin University |
Principal Investigator |
俵 希實 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授 (60506921)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 外国人住民に対する意識 / 地域コミュニティ |
Outline of Research at the Start |
都市社会学における外国人住民に対する意識についての量的研究では,日本人住民の地域コミュニティへの意識や関わりが外国人住民に対する意識に影響を与えるという「地域コミュニティ仮説」を提示し検証している研究や,「地域への愛着」や「地域行事参加」といった地域に関する変数が投入されている分析はほとんどみられない。そこで,「地域コミュニティ仮説」を構築し,その仮説を石川県金沢市を調査対象地として調査票調査を実施し検証,そして「地域コミュニティ仮説」の有効性を検討し,外国人住民に対する意識研究に新たな仮説として付与し得る可能性を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,都市社会学の観点から,①コミュニティ研究で注目されてきた地域コミュニティへの意識や関わりに改めて着目することから新たに「地域コミュニティ仮説」を構築し,②その仮説を石川県金沢市を調査地として調査票調査を実施し検証する,③そして,「地域コミュニティ仮説」の有効性を検討し,外国人住民に対する意識研究に新たな仮説として付与し得る可能性を示すことである。 2022年度は,①について研究を進めた。まず,次の3点に着目し先行研究を整理した。ⅰ)都市社会学におけるコミュニティ研究の近年の動向,ⅱ)外国人住民に対する意識研究,特に「地域への愛着」や「地域行事参加」といった日本人住民の地域コミュニティへの意識や関わりに関する変数が用いられている量的調査研究,ⅲ)日本人住民の地域コミュニティへの意識や関わりと外国人住民に対する意識の関係性を描いた質的研究。ⅰについては,地域コミュニティは対面での関わりが重視されてきたが,コロナ禍によって新しい地域コミュニティのあり方に焦点をあてた研究もみられた。ⅱについては,日本人住民の地域コミュニティへの意識や関わりが外国人住民に対する意識に影響を及ぼすといったような仮説は構築も検証もほとんどなされていなかった。このような仮説がほとんどみられないことから本研究の着想に至ったが,改めて先行研究を整理したところ,これまで検証されてきた「ネットワーク仮説」や「居住地効果仮説」の中で近隣や外国人比率等への言及にとどまっていることが確認された。ⅲについては,「町内会に深く関わっている人は外国人に対して肯定的である」といったような研究を整理した。 以上の先行研究を参考に「地域コミュニティ仮説」を複数構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目である2022年度は,先行研究を整理し,新たに「地域コミュニティ仮説」を構築,そして,それらを検証するための調査票を作成することを予定していた。先行研究を整理し,「地域コミュニティ仮説」を構築することはできたが,調査票の作成が途中となっている。 金沢市における郵送法での調査票調査は5度目である。コロナ禍に突入して3年連続で行っているが回収率が低い。抽選でアマゾンギフト券をプレゼントするなどいろいろと工夫しているが上がらないのが現状である。現在,回収率を上げるために調査票を検討中である。設問数や回答方法,ワーディングなど工夫すべき点は多々ある。夏に衆議院の解散総選挙が行われる可能性があることから選挙人名簿を抽出枠とした選挙管理委員会でのサンプリングは夏の終わりに,そして実査は2023年秋を予定している。実査までに少し時間があるため,2023年度の夏までさらなる工夫を重ね調査票を完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目となる2023年度は1年目で検討した「地域コミュニティ仮説」を検証するために調査票調査を実施する。対象者は石川県金沢市に居住する18才から90才未満の男女1,000人とする。確率比例抽出法を用いてサンプリングを行い,モードは郵送法とする。金沢市を対象として郵送法で調査票調査を行うのは5度目となる。特に,2020年度,2021年度,2022年度と続けて実施していることから,調査実施手順は十分に把握しており,予定通りに行うことができると考えている。 調査対象地を金沢市に限る意義は3つある。 1つは,地方都市の平均的な傾向を把握することができる点である。金沢市は外国人住民比率がそれほど高くない外国人の非集住地として区分される。日本の地方都市のほとんどは外国人住民の非集住地域であるため一般化しやすい。2つ目として,調査地を限定することで全国データと比べ,地域の歴史的背景や文化風土等の媒介変数となり得る変数の影響を可能な限り排除できるという利点を挙げることができる。3つ目は,経年比較が可能な点である。過去に4度にわたって金沢市で調査票調査を実施し,その中で市民の外国人住民に対する意識についてたずねてきた。これらの調査結果と本研究の調査結果とを比較することで金沢市民の外国人住民に対する意識の変化を,より深く考察することができる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)