社会的権利要求への冷笑・揶揄・攻撃をめぐる戦後若者史
Project/Area Number |
22K01894
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
富永 京子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70750008)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 対抗文化 / 消費社会 / 私生活主義 / 若者 / 安定成長期 / 若者文化 / 社会運動 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、現代若者文化における、さまざまな社会的権利要求に対する「冷笑・揶揄・攻撃」がどのような歴史的経緯を経て現在に引き継がれたのかを明らかにする。具体的には、日本社会において若者の政治的関心が大幅に低減する1970年代から1980年代に、人権保護・社会的権利請求のための社会運動や問題提起に対して行われた揶揄・攻撃的言説を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における社会的権利要求への冷笑・揶揄・攻撃が生じた歴史的経緯を明らかにする。具体的には、「政治に無関心とされる1970-1980年代の若者たちは、各種社会課題に対してもやはり「無関心」だったと言えるのだろうか?」また、「なぜ当事者であるにもかかわらず、マイノリティの擁護言説に対する冷笑・揶揄・攻撃を行ったのだろうか?」という主題のもと、若者の政治的関心が大幅に低減した、 1970 年代から1980 年代における人権保護・社会的権利請求のための社会運動・権利要求に対する揶揄・攻撃的言説を分析する。研究手法として、社会運動への冷笑・揶揄・攻撃が明確に現れ、また現在も関係者が数多く文化・社会領域で活躍する若者向け雑誌『ビックリハウス』(1975-1985)を検討する。雑誌記事の文字起こしとコーパス分析と、元編集者・投稿者への回顧的インタビューを中心に行った。 先行研究は対抗文化の喪失や消費社会化といった観点から、1970 年代以降における若年層の政治忌避・社会運動忌避を研究してきた。本研究は、無関心や不参加より更に積極的な、権利要求への冷笑・揶揄・攻撃という、今もなお日本社会に根強く残る現象を論じることで先行研究に貢献するとともに、1970年代から現代に根強く引き継がれる社会的権利要求への忌避感がなぜ生じたのかを解き明かすことを試みたが、むしろ見えてきたのは単純な「冷笑」や「揶揄」に回収されない、複雑な政治関心のありようであったように考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
刊行成果は『1970年代文化論』所収論文と『ソシオロジ』査読論文、またメディア学会での報告にとどまったものの、先行研究の渉猟が幅広くなり、自分なりにボトルネックになっていた部分のブレイクスルーができたことが大きい。社会学の先行研究を一旦止め、NHK放送文化研究所や統計数理研究所をはじめとする安定成長期のデータ、経済史・政治史の先行研究に渉猟したところ、1970-80年代を論じてきた消費社会論・若者論における問題点がクリアになってきたように考える。『ビックリハウス』に携わった人物への聞き取り調査が可能となったのも大きな進歩だった。 テキスト文字起こしは1984年まで進んでおり、本年度前半にはほぼ完了すると考えられる。これによってデータセットが完全なものとなるため、コーパスによる分析を進め、今後テキストマイニングの研究会の人々にご教授いただきながら更にデータの検討を重ねる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究プロジェクトに関しては論文投稿を行わず、単著書草稿完成に尽力する。同時代史学会関西研究会、戦争社会学研究会といった場で報告を行いながら、本研究を歴史学的に見たときにどのような示唆があるか、方法論としてどのような点を学べるのかを意識しながら、再度雑誌の渉猟に取り組んでいきたい。そのためには再度データに立ち返る必要があり、雑誌の文字起こしを継続的に取り組んできた作業補助者との連携をより一層緊密にする必要があるだろう。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)