「地域づくりに向けた支援」に焦点化した地域アセスメントの学際的アプローチ
Project/Area Number |
22K01991
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡田 哲郎 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (00816829)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 玲 東京通信大学, 情報マネジメント学部, 准教授 (30597183)
坂本 美枝 東京通信大学, 人間福祉学部, 教授 (60454196)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | 地域アセスメント / 地域づくりに向けた支援 / コミュニティワーク / 地域福祉 / 経済人類学 / ジェンダー学 / 学際的アプローチ / 民俗としての福祉 / 重層的支援体制整備事業 |
Outline of Research at the Start |
2021年4月施行「重層的支援体制整備事業」の三要素(「相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」)のうち、「地域づくりに向けた支援」はソーシャルワークにおいて「コミュニティワーク」として体系化されているものの、その支援過程における「地域アセスメント」(活動に先立つ地域社会の事前評価)の視点・方法が日本において十分に深められていない現状がある。本研究は、「地域づくりに向けた支援」に焦点をあてた「地域アセスメント」の視点・方法を、地域福祉(社会福祉学)を基礎とし、経済人類学、ジェンダー学との交わりのなか、学際的アプローチにより開発する試みである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「重層的支援体制整備事業」(社会福祉法第106条の4)の一要素である「地域づくりに向けた支援」に焦点をあてた地域アセスメントの視点・方法を、地域福祉(社会福祉学)を基礎に、経済人類学、ジェンダー学との学際的アプローチにより再考する試みである。その方法として、二つの研究対象地域を設定し、事例研究を行う。当地の実践者(コミュニティワークを行う者)が地域住民と創り出す地域アセスメントを、研究者が伴走的に支えつつも客観的に評価する。また、研究者がもつ客観的知見を、適宜実践者を介し地域住民に還元する。 当該年度の研究実績として、まず、本研究の理論的基盤となる岡村重夫「民俗としての福祉」概念を深化させた。自己調整的市場の問題を論じたカール・ポラニーの著書『大転換』の視座に照らし、既存の「社会福祉」を補完する「民俗としての福祉」概念の位置づけを明確にした。 また、事例研究として、令和4年度に行ったプレ調査の成果を土台に、東京都江東区でのフィールドワークを行った。研究代表者が関わる「第5次江東区地域福祉活動計画策定委員会」「江東区高齢者地域見守り支援事業:地域で見守り支え合いセミナー」等を通じ、地域アセスメントを協働で進める実践者(江東区社会福祉協議会職員)との信頼関係を深め、実践者が日常的に行っている地域アセスメントの考え方と方法を把握した。 さらには、第5次江東区地域福祉活動計画策定作業と連動した「まちづくり話し合いひろば」(4か所・全12回)と「第9回江東区地域福祉フォーラム:江東区の地域福祉活動の課題を探る」(江東区助け合い活動連絡会・江東区・江東区社会福祉協議会共催)に参画したことが、地域住民と研究者(岡田哲郎・髙橋玲・坂本美枝)とのつながりを直接結び、研究者がもつ客観的知見を地域住民に直接還元する機会となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」記載の通り、地域アセスメントを支える理論的基盤を固めた。これは当該年度中に計7回行った「地域と福祉研究会」(岡田哲郎・髙橋玲・坂本美枝)の成果と言え、同研究会を通じ、研究メンバーはそれぞれが依拠する学問的基盤への相互理解を深めていった。 また、事例研究は、令和4年度に引き続いて東京都江東区を対象に行った。「まちづくり話し合いひろば」(4地区×3回=計12回)への参画を通じ、研究代表者と研究分担者が共同で参与観察・フィールドワークを実施した。調査を進める中で、研究者それぞれの視点と立場の「違い」が際立ち、地域アセスメントにおける学際的アプローチの意義が確認された。また、適宜行われた研究分担者からのコンサルテーションは、研究代表者の当該地域へのアプローチに影響を及ぼしたと言える。 「第9回江東区地域福祉フォーラム:江東区の地域福祉活動の課題を探る」では、研究代表者(岡田哲郎)による「基調講演」「グループワーク」、研究分担者(髙橋玲・坂本美枝)による「コメンテーターからのコメント」を通じて、本研究の内容を地域住民に向けて広く発信する機会を得た。そこでは「まちづくり話し合いひろば」への参画を通じて認識した地域の特性と課題を共有した。 当初は「一地域につき概ね二年」の調査期間と想定していたが、令和5年度の関わりによって「実践者を介した地域アプローチ」の土台がようやく形成された段階である。そのため、令和6年度以降も東京都江東区へのフィールドワークを継続する予定である。 さらには事例研究二か所目の研究対象地域を選定した。本研究のパートナーとなり得る実践者に協力を打診し、令和6年度よりフィールドワークを開始する予定である。以上から、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
江東区社会福祉協議会の組織改革・機能強化の一環として、令和5年度中に地域福祉推進のための拠点「サテライト城東北部」と「サテライト城東南部」が開設された。また、地域福祉推進の要となる「地域福祉コーディネーター」が増員された。令和6年度も継続する東京都江東区の事例研究として、上記の拠点を足場に、増員配置された「地域福祉コーディネーター」と協働し、「実践者を介した地域アプローチ」へと展開する推進方策が考えられる。地域の自治力・福祉力ないし共同する力の向上に寄与する「地域づくりに向けた支援」(方法論としてのコミュニティワーク)の一環としての地域アセスメントは、上述のサテライト拠点および地域福祉コーディネーターに日常的に求められる実践であり、実践者(江東区社会福祉協議会職員)の立場と事情を鑑みながら、研究への協力を打診していく。 なお、もう一か所の事例研究の研究対象地域として、東京都江東区とは地域社会の構造(産業構造、地域組織、人口規模、等)が異なり、伝統的な地域社会の面影を残す地を選定した。二つの事例研究を照らし合わせることで、それぞれの地域社会に固有の地域アセスメントの視点・方法を対比的に抽出でき、本研究の学際的アプローチの有効性も際立つと考えられる。 今後は地域アセスメントの理論的基盤をさらに補強する一方、国内外の先行研究から地域アセスメントに有効な方法論を整理し、「実践者を介した地域アプローチ」の中で活用していく予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)