Project/Area Number |
22K02012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08020:Social welfare-related
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
齊藤 順子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30288443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 律子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (00172461)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | セーフティネット / 支援困難事例 / 予防的アプローチ / コミュニティケア / オランダ / 伴走型支援 / 比較研究 / 日本 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ソーシャルワーカーが地域共生社会の実現に資する「伴走型支援」と「地域住民の気にかけ合う関係性」の視点をもった支援を実践することにより、セーフティネットが構築され、支援困難事例への予防にもつながる可能性を探る実証的研究を目的にしている。 2022年から3年間の研究で「伴走型支援」と「地域住民が気にかけ合う関係性」の視点をもつソーシャルワーク実践と地域住民の参加が、セーフティネット構築だけでなく、支援困難事例予防となることを日本とオランダの調査から明らかにし、得られた知見からモデルを開発し、研修プログラムの提示を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究者が各々ソーシャルワークの視点から、高齢者福祉とコミュニティケアの視点から研究を行ってきた立場を活かしインフォーマル・フォーマルなネットワーク形成がなされることによって支援困難事例の予防的アプローチになると着目した研究である。 支援困難事例に対して1950年代から要因分析とそのアプローチが研究、開発されてきた。支援困難事例は、対象領域をまたいだ形で表出され、複数の要因が重複して発生するため、領域を超えた連携とアウトリーチ機能の強化が強調されている。しかし、支援者が困難感を抱くと、クライエントへの接近のハードルは上がり、支援者自身の孤独感、クライエントの孤立が深まる傾向がある。一方、研究者が20年間関与している支援者の有志の事例検討会では、クライエントが孤立せずに、支援者が一人で抱え込まず、支援困難化せずに実践している。インタビュー調査を行った結果、フォーマルなネットワークだけではなく、民生委員等、地域住民などのインフォ―マルなネットワークを活用し、仕組みづくりを行っているとわかった。また、オランダでは、福祉国家から市民参加型福祉の移行を目指し、2015年の社会支援法の改正では基礎自治体は市民のネットワーク作り支援と市民からの相談にSociale Wijkteams (社会近隣チーム)を編成し、地域で生活する高齢者や生活課題を抱えている人への総合的なケアを実施する政策に転換した。それらの実践が地域でセーフティーネットの構築が構築され、支援困難事例への予防的アプローチにつながるのではないかと考えている。 日本とオランダでの行政、支援者、ボランティア、民間非営利団体、当事者に支援に関するアプローチに対するインタビュー調査を行い、比較検討を行い、インフォーマル・フォーマルなネットワーク形成がなされることによって支援困難事例の予防的アプローチの開発を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は3月にオランダ・リンブルグ州ルモント市において視察調査を行った。その内容は、地域でセーフティーネットが構築されることによって、支援困難事例の予防につながるのではないかとの視点に基づき、市民参加型の福祉国家を形成しているオランダの中で、認知症の人にフレンドリーなコミュニティつくりを実践しているリンブルグ州・ルモント市に着目し、行政、専門機関、民間非営利団体、当事者等への視察調査を行った。それらの成果をもとに日本におけるセーフティーネット構築による支援困難事例への予防的アプローチに対する示唆について論じ、「セーフティーネット構築による支援困難事例への予防的アプローチ‐オランダ・ルモント市への聴き取り調査から‐」と題し、『淑徳大学研究紀要』第58号(2004)に報告を行った。 オランダ・リンブルグ州ルモント市の視察調査で得られた知見を基に兵庫県豊岡市の対人援助職の事例検討会に参加し、2つの市での実態を基に「認知症」「独居高齢者」「複数の課題のある障害者」の3つの模擬事例を作成して、2024年度に向けた準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
セーフティーネット構築による支援困難事例への予防的アプローチ」をテーマに2023年3月にフォーマル・インフォーマルなネットワークを形成し、認知症に対するフレンドリーなコミュニティ作りを行ってきたオランダ・リンブルグ州・ルモント市において、行政、支援者、ボランティア、民間非営利団体、当事者に視察調査を行った。その結果、ルモント市の副市長から、認知症に対象を絞ることを通して、他の対象者へも広がるとの考えから、現在「孤独、孤立」の問題へ取り組んでいる実態を把握できた。オランダ・リンブルグ州・ルモント市で得られた知見をもとに、日本でも「地域共生社会」に向けた取り組みが始まっていることに着目している。そこで、2024年1月に兵庫県豊岡市において、対人援助職の有志が定期的に開催している事例検討会に参加し、インフォーマル・フォーマルなネットワークを形成しながら支援を行っている実践を聞いてきた。2つの市での比較検討を行うために、現在、「認知症」「独居高齢者」「複数の課題のある障害者」の模事例を作成し、兵庫県豊岡市とオランダ・ルリン・リンブルグ州モント市において、行政、支援者、ボランティア、民間非営利団体、当事者に模擬事例を活用し、支援に関するアプローチに対するインタビュー調査を行い、比較検討を行う予定である。
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