トリプル・カチオンアパタイト粒子を用いた布の高機能UVカット加工法の開発
Project/Area Number |
22K02153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
安川 あけみ 弘前大学, 教育学部, 教授 (70243285)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | UVカット / アパタイト / 亜鉛 / チタン / 布加工 |
Outline of Research at the Start |
夏物衣料にはUVカット性と涼しさが求められるが,両者は被覆面積の点で矛盾する。これまでカルシウムアパタイトの陽イオン交換特性の研究で得た知見を基に,本研究では生体親和性の高いCa2+,UVBを吸収するTi4+,UVBを吸収する第3の金属イオンを含有するトリプル・カチオン含有アパタイト固溶体粒子を合成し,布に担持し布のUVカット加工を施す。繊維の種類と布の構造を変えて,布の通気性,吸水性,吸湿性,透湿性等を制御し,UVカット性と快適性を兼備した布を創出する。この新規技術は健康で快適な暮らしを実現でき,さらに,用いる金属を変えることで種々の高機能物質に応用でき,多くの分野への波及効果が期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
イオン交換性の高いカルシウムヒドロキシアパタイト(CaHap)のCaの一部を,UVカット性を持つ他の陽イオンと交換した固溶体粒子を合成し,UVカット性を持つ粒子を新規に作る研究を進めてきた。太陽光のうち波長400 nm以下がUVであり,波長によりUVC(-280 nm),UVB(280-320 nm),UVA(320-400 nm)に分類される。UVCは我々のDNAに影響を与え極めて有害であるが,オゾン層に吸収されて地表にはほぼ到達しない。UVBはUVCほどではないものの,皮膚ガン,白内障など重大な害を与えるが,地表に到達するUVの数%である。そして,我々が浴びるUVのほとんどはUVAであり,UVAも皮膚の老化や日焼け等の障害を引き起こす。したがって,我々は浴びる量は少ないが影響が重大なUVBと,影響は比較的軽微ながら浴びる量の多いUVAを防御する必要があると言える。1年目の結果を元に,2年目の昨年度は,UVBをよく吸収するチタン(Ti)とUVAをよく吸収する亜鉛(Zn)を両方含有する亜鉛-チタン-カルシウムアパタイト(ZnTiCaHap)固溶体粒子を合成し,ZnおよびTi含有量とUV吸収能との関係を調べた。その結果,Zn含有量が多くなるとHapに別の結晶相が混ざること,Zn含有量とともに一旦UVA吸収能は向上するが,その後減少することがわかった。ZnとTiの含有量の異なる種々の粒子を合成して比較したところ,Zn/(Zn+Ti+Ca) = 0.25,Ti/(Zn+Ti+Ca) = 0.03のZn25Ti3粒子が布のUVカット加工に最も適していることがわかった。最終年度である今年度は,このZn25Ti3粒子を種々の布に担持し,布のUVカット加工を試みる。加えて,担持布の耐洗浄性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,1年目のZnCaHapのUV吸収能についての成果が,国際誌Colloids and Interfaces, 7, 70, (2023). Doi: org/10.3390/collods7040070, MDPI, I.F.:2.4)に論文掲載された。また,(一社)日本家政学会第75回大会で口頭発表により報告した。本研究の成果の公表および情報発信が確実になされているものと言える。実験面では,ZnとTiの両方を含有するZnTiCaHap固溶体粒子を合成し,UV吸収能を調べた。Zn/(Zn+Ti+Ca)が0.30まで,Ti/(Zn+Ti+Ca)が0.05までの種々の含有量のZnTiCaHap粒子を合成し,結晶相をXRDにより,形態をFE-SEMにより,原子比率をEDS分析により,UV吸収能をUV-vis(反射法)により調べた。3種類の陽イオンを含有する場合は,ZnCaHapやTiCaHapなど2種類の陽イオンを含有する固溶体とは含有限度が異なったが,純粋なHap結晶が得られる条件を調べられたことや,ZnおよびTi含有量と粒子のUV吸収波長との関係を調べられたことは大きな成果と言える。総合的な判断として,Zn/(Zn+Ti+Ca) = 0.25,Ti/(Zn+Ti+Ca) = 0.03のZn25Ti3粒子を布のUVカット加工に最適な粒子と2年目に決定できたことは,本研究の順調な進行状況を示している。加えて,得られたZn25Ti3粒子は,これまでの研究で布への担持に適しているとされたナノメートルオーダーの粒子であり,最終年度の布のUVカット加工とその評価に向けて十分準備が整っていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の結果を元に,Zn/(Zn+Ti+Ca) = 0.25,Ti/(Zn+Ti+Ca) = 0.03のトリプル・カチオンアパタイト粒子Zn25Ti3粒子をUV吸収体として,振とう法により種々の布に担持する。分散媒,分散液濃度,温度,時間等担持条件を変えながら,最適な担持条件を見出す。さらに,水および洗浄液を用いて粒子担持布の洗浄試験を反復して行い,UVカット性能の変化の有無を検証する。総括として,本研究で得られた知見を関連学会での発表や学術雑誌への投稿論文により公表し,情報発信する。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)