Project/Area Number |
22K02214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小野 雅章 日本大学, 文理学部, 教授 (70224277)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 教育勅語 / 戊申詔書 / 国民精神作興ニ関スル詔書 / 修身科 / 学校儀式 / 教授細目 / 国定修身教科書 / 国定教科書編纂趣意書 / 青少年学徒ニ賜ハリタル勅語 / 教育関係詔勅 / 国定教科書 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、これまでの天皇・天皇制と教育との関係史研究で、必ずしも正面からとらえることのなかった、学校現場(教育実践)における教材、あるいは教育内容としての教育関係詔勅に焦点をあてて、国定教科書(児童書・教師用書)、国定教科書編纂趣意書、学校日誌・教授細目・教案などの学校所蔵文書、教育関係雑誌などを主な史料として、教育勅語発布党所から国民学校までを通史的に検討するものである。教育関係詔勅が教育実践のなかで教材・教育内容として、どのように理解されて、授業実践でどのように教育していたのかとの「問い」のもと、関係史料の調査、収集と史料目録を作成のうえ、主要史料を掲載する報告書を作成を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでの先行研究で必ずしも正面からとらえられることのなかった、学校現場(教育実践)における、教材、あるいは教育内容としての教育関係詔勅に焦点をあて、これらが具体的にどのように授業や学校行事等で扱われ、教授されていたのか、この点をあきらかにすることを目的にしたものである。 今年度は全体計画3年のなかの2年目にあたるが、具体的な研究実績しては、1.教育関係雑誌(初等教育研究会『教育研究』、『大日本教育雑誌』、『教育時論』)における、教育関係詔勅の修身科授業や学校行事における取扱いに関する記事の抽出、2.旧開智学校、上諏訪小学校所蔵資料中、修身科教授細目や学校日誌などにおける教育関係詔勅の扱いに関する記載の抽出、およびエクセルへの入力、3.上述両校の所蔵資料中の教育関係詔勅関係の教案の調査、4.修身科の答案中、教育勅語および戊申詔書、国民精神作興ニ関スル詔書関係の答案の調査、などを実施した。なお、1については、明治期に関しては、資料の確認と整理がほぼ終了したため、公開できる状況に至っている。2については、明治期に限定して資料の確認と整理の途上となっており、今後、大正期・昭和前期とデータベース化と公開に向けての確認作業は今後に実施すべき課題になっている。3、4については、データベース化に向けての準備を行っている。 こうした研究実績により、本年度はいくつかの研究成果を公表するに至っている。その概要は、1単著(講談社現代新書)の発刊、2研究論文3編(全国誌2編、学内紀要1編)である。その詳細については、研究業績一覧に譲ることにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、おおむね順調に進展していると判断している。それは、以下の三つの理由による。 第一の理由は、これまで関連する先行研究などにおいても触れられることが決して多くはないにもかかわらず、天皇制公教育の関係史研究にとって重要と思われる史資料を順調に収集できたことにある。特に、教育関係雑誌などに掲載された、教育勅語をはじめ、戊申詔書、国民精神作興ニ関スル詔書など教育関係詔勅を修身科などの教材としての取り扱いや教授上の要点など論考、実際の授業実践の報告、学校儀式(三大節学校儀式、その他教育関係詔勅の奉読式)における校長訓話の内容などを調査・収集することができた。これにより、教育実践上の教育関係詔勅の扱いや位置づけをより明確にすることができると考えられる。 第二の理由は、調査・収集した史資料の整理とデータベース化が比較的順調に進んでいることにある。研究協力者(大学院学生)の協力を得て、主要な教育関係雑誌の修身科教材、あるいは学校儀式に使用する場合の教育関係詔勅の取り扱いの要点に関する記事を1890年代から1940年代に至る迄体系的に収集し、これをデータベース化の試みであるが、主要教育関係雑誌については、およそ1920年代迄までに進めるとともに、明治期に限定しているものの、その公開の準備がほぼ完了することができた。 第三の理由は、研究成果の一部を著書・論文として公表できたことである。本研究の大きな目的のひとつである、教育実践における教育勅語など教育関係詔勅の通史的検討の素描をその著書によって提示することができた。また、戊申詔書・国民精神作興ニ関スル詔書、青少年学徒ニ賜ハリタル勅語の現代語訳も明らかにすることができた。一部次年度に持ち越すことになった課題もあるが、本年度はほぼ順調に研究が進展できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、本研究の最終年度になる。そのため、今後の研究は、1.残されている課題の推進、および、2.研究課題の最終年度としての研究のまとめの二つを中心に進めたいと考えているが、以下でその要点を示したい。 第一は、本年度迄に達成するはずであった諸課題中未達成の部分の推進である。上述の通り2023年度は、おおむね順調に達成しているので、然程多くの課題が残っているわけではないが、主要教育関係雑誌における教育関係詔勅の修身科授業や学校行事における取扱いに関する記事のデータベースの大正・昭和期の公開作業の完成を最初に進めたい。この件については、早急に進める必要があるので、研究協力者(大学院学生)を1名増員し、これに対応したい。 第二は、2024年度の研究計画の円滑な推進である。とくに、旧開智学校所蔵資料、および上諏訪小学校所蔵の関連資料の調査・収集と資料整理を進め、これに関するデータベースを作成し、広く公開するための準備を進めたい。教育関係詔勅に関する研究は、趣旨徹底策や「奉体」の厳格化など教育政策史の側面からの研究や国定教科書の記述、国定教科書編纂趣意書などの分析による教材化の意図を明らかにする研究はあるが、これらの教材としての使用状況や授業における取扱いなど、教育実践における教育勅語他、教育関連詔勅の具体像を明らかにする研究が著しく遅れているのが現状である。本研究によるデータベースを今後の研究を進めるうえの基本的資料としたい。 第三は、上述二件と研究論文を含む研究報告書の編集と発行である。本研究課題の成果を広く知らしめるため、教育史を専攻する研究者、主要大学の図書館、都道府県立図書館などに配布し、本研究成果の利用をするための「手引き」とする予定でいる。
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