明治期における初等実業教育の台頭と小学校理科の誕生
Project/Area Number |
22K02237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 稔明 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40295572)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 理科教育史 / 教育令 / 小学校令 / 実業教育 / 小学校条例取調委員 / 小学校理科 / 小学校ノ学科及其程度 / 小学校教則綱領 / 小学校及小学教場教則綱領 / 小学校理科誕生 / 小学科課程表 |
Outline of Research at the Start |
この研究の全体構想は、資本主義発展を第一義的課題として国家建設をすすめた明治国家、小学校教育において志向した科学教育思想と、その科学教育思想のもとで起きた初等科学教育の変遷要因を解明することである。この全体構想のなかで本研究の目的は、明治10年代の中等実業教育の推移に着目することで、小学校理科誕生の端緒となった「小学校及小学教場教則綱領」作成過程と、その後、新教科理科を誕生させた「小学科課程表」作成への経緯を明らかにすることである。本研究は、これまでの研究を統合的に発展させることで、明治期における小学校理科誕生の全容の解明を目指すものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、5月に浜田市と益田市と茨木市へ、6月に福井市と富山市へ、9月に福島市と仙台市と青森市と盛岡市と秋田市と山形市へ、10月に仙台市と水戸市へ、2月に高知市と松山市と高松市と徳島市へ、3月に鳥取市と松江市と浜田市と岡山市へ、それぞれ出張し、各地の明治前期から中期の実業教育と、小学校教則に関わる史料を調査した。なかでも、9月の東北への出張では、1885(明治18)年に小学校条例取調委員の一人でもある文部少書記官西村貞の学事巡視を追うことが出来た。小学校条例取調委員とは、森有礼御用掛の提案で文部卿大木喬任が省内に設置した作業部会で、中学校条例取調委員と師範学校条例取調委員とともに設置されたものである。小学校条例取調委員には、権大書記官久保田譲、少書記官手島精一、権少書記官野村綱、権少書記官中川元、御用掛西村貞、一等属山田行元、一等属大窪実の7名が1885年7月25日に任命を受け、さらに年が明けた1886年1月21日には、権大書記官折田彦市、東京大学幹事服部一三の2名が補充された。小学校条例取調委員に任命された当時、西村は御用掛であったけれども、この年の8月22日に少書記官に昇進している。当時、西村は理学教育の第一人者として認められていたので、彼の言動は、本課題研究の遂行上、極めて興味深いものとなる。その西村が東北各地で演説した内容を第一次資料として押さえることが出来た。この内容は所属学部の紀要論文として発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1885(明治18)年の西村貞の東北学事巡視は以前から認識していたものではあったけれども、その詳細を第一次資料として押さえることができ、さらに、論文としても結実できたことで、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今回発表した論文にも記載したように、小学校条例取調委員の一人である西村貞の東北学事巡視での演説の多くは、再改正された教育令についてのものであった。再改正教育の説明では以前から『大日本教育会雑誌』に掲載された野村綱によるものが広く知られていた。野村もまた小学校条例取調委員の一人である。今後は、西村と野村の解説の共通点や相違点について研究を深めたい。もちろん、全国悉皆の調査も計画的に進めていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)