Project/Area Number |
22K02281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 規孝 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90313527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 真奈 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90779620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 歯科臨床教育 / 技能教育 / 術者視点 / 歯科臨床技術 / 客観的評価 / バーチャルトレーニング / 歯科臨床 |
Outline of Research at the Start |
狭小な口腔内で行われる歯科治療を直に見学することは困難である。特に歯科治療では鏡視下で行う処置が一般化しており、経験の浅い学生や研修歯科医にとって歯科治療技術を習得する際の大きな障壁なっている。本研究では経験のある歯科医師が鏡視下で行う処置を術者の目線で録画した動画をVRグラスを使って学習者に疑似体験させることにより、言葉や図では説明がつかない鏡視下治療技術のエッセンスを直感的に伝えるシステムの構築を試み、このシステムが鏡視下歯科治療技術の習得に与える有効性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
縫合は基本的な歯科処置に含まれ、抜歯など一般歯科診療においても必要とされる場面は珍しくない。また、文部科学省がすべての歯科大学・歯学部の学生に習得させるべき必要最低限の項目としてまとめた平成28年度版歯学教育モデルコアカリキュラムの臨床実習の分類のなかに「指導者のもとでの実践が望まれる」項目として掲載されている。しかし、実際の現場においては、縫合を苦手とする臨床経験の浅い歯科医師は少なくない。特に針と糸が一体化された縫合糸付の円針と持針器を用いて行う縫合・器械結びは、手首をやわらかく使うこと、円針の中心をイメージして無理のない方向に回転させる(運針する)こと、一本の糸を無駄なく使用することを念頭におき、結紮部と縫合糸の断端を調節すること等、一連の操作のなかに同時進行的に注意点が存在することが理由として考えられる。また、結び目がほどけないように結紮の度に方向を反対にする外科結びを行うことや創面を寄せて維持することができる張力を与えることも縫合の難易度を上げる一因であると考えられる。さらには、狭小な口腔内で行う歯科治療にはたとえ介助者として近傍で見学していても見えないことが多く、最も重要な視野は術者のためのみに確保される。以上のことから、経験の浅い術者にとって、口腔内で縫合を行うことは決して容易ではないことは想像に難くない。そこで、器械結びを行う縫合について術者および介助者視点の動画を作成し、それぞれの教育効果を比較した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は以下の調査を行うことができたため、進捗状況は概ね順調と考えている。対象は令和5年度新潟大学病院単独型プログラム研修歯科医24名とし、縫合時間、間隔、結紮力などの6項目を定量的に評価する縫合手技評価シミュレータ(京都科学)を用いて器械結びによる縫合に関するデータを収集した。器材にはヘガール型持針器(YDM)とアドソン型ピンセット(YDM)を用いた。はじめにすべての被験者に対して、シミュレータ付属の縫合解説動画を視聴し、縫合実習キットオペガム(ニッシン)で1回練習した後にシミュレータによる評価を行った。次に、この評価をもとに被験者を均等な2群に分け、それぞれの群にラバーチーク(モリタ)を装着したシミュレータに対して行った縫合を術者(A群)と介助者(B群)の視点で録画した動画の視聴を指示した。その後、各被験者の手技をシミュレータで評価し、得られた結果を統計学的に処理した。また、縫合に関する学習経験の有無やその必要性、難しいと感じていること、この研究に参加して気づいた学習のポイントなどに関するアンケート調査も行った。シミュレータによって得られた結果を比較したところ、各群の比較では結紮力や縫合間隔に有意差が認められた。アンケートの結果では縫合の学習や見学、実践の経験は一様ではないことが示されたが、研修開始前に習得しておくべきという意見や外科結びを難しいとする回答が比較的多かった。また、動画から学んだことについてA群では運針方法や器具の扱い方、B群では器具の扱い方や手の動かし方が多くあげられていた。以上のことから、術者視点、介助者視点のいずれの動画にも、それぞれに器械結びによる縫合の教育に効果があることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、特に狭い口腔内で行う繊細な歯科治療においては、見学によって学修者が得る情報は限られている。また、様々な治療器具や材料を用いて行うという歯科治療の特性上、それぞれの器材を適切に使用することも治療の技術に含まれるという特徴がある。さらには、最後方にある歯の裏側(遠心)や上顎の前歯の裏側(口蓋側)など直接的に見て確認することが難しい部位があるため、小型の鏡(歯科用ミラー)に用いて治療を行う場合がある。しかし、鏡像は左右が逆転するため、器具の操作方向やコントロールは容易ではなく、縫合同様に最も教育効果が高い視野は術者のみに許される。これらの理由により、鏡視下で行う治療も経験の浅い術者が苦手とする操作の代表格であるといえる。一方、近年は技術の進歩によりカメラの小型化が進み、歯科領域においても口腔内を撮影することができる小型のカメラが市販されている。また、これらはデジタルデバイスとして開発されており、専用ソフトを操作することによって容易に撮影した画面を左右反転することができる。そこで、令和6年度は小型カメラを歯科用ミラーの代替手段として用いることの有用性を確認する。鏡像下で処置を行うには慣れが必要であり、経験のある術者は頭の中で無意識に像を反転させていると予想される、このため、彼らを被験者とした場合にはカメラの映像はむしろ混乱のもとになる可能性がある。一方、経験の浅い術者はデジタル機器の扱いに対する抵抗感が少なく、見たままの視野で操作を行う方が容易になると考えることもできる。そのため、被験者の臨床経験の有無が新しい機器の扱いに与える影響を検証し、令和5年度の成果と今年度の結果を基に、従来は経験によってのみ得られた技能の習得期間を短縮する教育方法を模索する。
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