Project/Area Number |
22K02286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
児玉 奈々 滋賀大学, 教育学系, 教授 (10389603)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 多文化教師教育 / 北米の教師教育 / 批判的人種理論 / 教員研修 / 教員養成 / 文化に関連する教育 |
Outline of Research at the Start |
外国にルーツを持つ子どもが増加し、教育的ニーズも変化している昨今、「内容」、「担当者」、「対象」において限定を伴う現状の日本の外国人児童生徒教育では対応が難しく、限定の枠を越える多文化共生教育が求められている。その主な担い手として期待される一般教員には、多様性や多文化共生に対する意識の向上と教育を実践する力の獲得が必要である。 本研究では、移民社会の北米の人種や文化に対する教員の意識改革を促す教師教育を参考に、日本の一般教員の文化的多様性についての意識改革を促す教師教育モデルプログラムを開発する。モデルプログラムは試行と検証によって改良し、国内の大学教職課程や現職研修への供用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまで限られた枠内で行われてきた日本の外国人児童生徒教育を発展させ、多文化共生教育の担い手となる一般教員を育成する教師教育プログラムを提案することである。北米における人種や文化に対する教員の意識改革の内容を含んだ教師教育実践を参考に、教員養成段階及び現職研修の2種類の教師教育モデルプログラムを開発し、提案する。 当該年度は4年計画の1年目であり、教師教育や異文化理解研究の理論と実践に関する国内外の先行研究を考察し、本研究で用いる分析の枠組みを検討した。具体的には、アメリカの教師教育研究者による人種や文化に対する教員の意識改革を促す多文化教師教育の理論研究や北米の大学教育学部の多文化教師教育関連の授業実践を扱った研究論文を収集・整理し、批判的読解を進めた。 その過程で、多くの研究が批判的人種理論(Critical Race Theory)に依拠して議論を展開していることがわかった。一方、批判的人種理論は昨今の北米の学校教育現場において問題視されている理論であり、アメリカでは批判的人種理論に基づく学校教育活動の禁止に踏み切る州や、カナダでも批判的人種理論に依る多文化教師教育の採用には慎重な姿勢をとるべきとの意見が学識者から表明されていることも判明した。 このことから、批判的人種理論についての理解を深めておくことが本研究課題を進める上では必須の作業であるという考えに至り、人種差別や偏見を扱った社会心理学の文献や批判的人種理論に関わる社会学の知見を広く活用しながら、賛否両論の立場から批判的人種理論を考察することに取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が目的とする日本における多文化教師教育モデルプログラムの開発のためには、参考にする北米の多文化教師教育について理論と実践の両面から理解を深めた上で、多文化教師教育のあり方を提示していくことが必要であると考えている。北米の多文化教師教育に関わる先行研究の文献収集と批判的読解の作業は順調に進展しており、これらの文献の批判的読解の過程で新たに必要となった批判的人種理論の考察作業についても先行研究や関連文献を参考に少しずつ進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
北米の多文化教師教育が批判的人種理論に依拠していることを踏まえて、主に先行研究を用いて、賛否両論の立場から批判的人種理論を広く客観的に考察していき、多文化教師教育のあり方を検討していく。 今年度は、アメリカ同様に批判的人種理論の多文化教師教育への導入に関わる論争が起こっているカナダの事例を用いて、学会で研究報告を行い、教育現場における批判的人種理論の課題を整理し、批判的人種理論に依る多文化教師教育の今後の可能性について考えていきたい。また、北米の大学における多文化教師教育の実践についての海外調査の準備を進め、実施する計画である。
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