わざの稽古場面における創造的体験を通じた学びのプロセスの解明
Project/Area Number |
22K02298
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
奥井 遼 同志社大学, 社会学部, 准教授 (10636054)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | わざ / 現象学的教育学 / 現代サーカス / 現代人形劇 / 創造的体験 / 人形劇 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、身体表現をめぐる「わざ」の稽古場面の観察・分析を通して、教え手と学び手が一緒になって新たな作品を生み出す過程を考察するものである。伝統を重んじる芸能であれ、創意工夫を目指す現代パフォーミングアートであれ、わざの稽古場面において、教え手と学び手との間(熟練アーティスト同士、熟練と初心者、アーティストと一般市民・子どもたち等)には、言葉と身振りとが一体となったやり取りが織りなされており、一方向的な知識伝達には還元できない双方向性を有している。そこで生まれる「創造的体験」を通じた学びのプロセスを記述することで、教え手と学び手の相互変容を通じた共同的な学びのありようが明らかになるだろう。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、パフォーミングアートの実践活動をフィールドとして、身体を使った「わざ」の稽古場面における参与観察を行い、その創造的体験を通じた学びのプロセスを記述・考察することを目的としている。2022年度の成果は以下の二つの通りである。 (1) フィールド調査 身体を使った「わざ」の先駆的事例の調査を目的として、フランスでのフィールドワークを実施した(2023年3月)。現代人形劇の劇場・学校、また文化芸術施設などを訪れ、関係者へのインタビューを行った。パリ大学でのミーティングにも参加し、フランス現代哲学や芸術学分野の研究者とのネットワークを形成することができた。また、日本国内における伝統芸能・現代芸術についての調査も引き続き実施した。具体的には、京都を拠点とする現代人形劇の劇団と関係を結び、稽古場面の観察を開始した。 (2) 論文掲載・国内外学会発表 以下の通り、国際学会を含めた複数の学会発表を行うとともに、国際共著論文が刊行された。ニューヨークで開催された人間科学国際会議に出席し、フランス国立サーカス学校の稽古の事例を考察した研究発表を行った(2022年6月)。質的心理学会で現象学的人間科学に関するシンポジウムに登壇し、現象学的教育学の思想について論じた(2022年10月)。日本教育学会(近畿地区理事会)主催のシンポジウムに登壇し、現代人形劇の「わざ」に関する臨床現象学的研究を発表した(2023年3月)。また、フランス身体教育学の学術雑誌『STAPS』に、東洋的な「わざ」を哲学的に探求した共著論文が掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の状況のため懸念されていた海外フィールドワークを実施することができ、フランスを中心としたパフォーミングアートや芸術教育に関する調査を行うことができた。また、国内の調査にも着手し始め、海外調査で得たフィールドデータの分析と組み合わせながら研究が蓄積しつつある。また、論文掲載(国際共著含む)の発表や国際学会での発表を行うこともでき、研究成果の面から見ても進捗状況は順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きフィールド調査を進め、身体を使った「わざ」の稽古場面における事例の分析・考察を進めていく。具体的な方策は下記の通りである。 (1)フィールド調査:現代芸術におけるわざの創発プロセスを明らかにするために、日本国内における先端事例(大阪、京都、淡路島、飯田等)におけるフィールド調査を充実させ、各種劇場などを中心に、そのわざの継承・発展のプロセスを記述する。また劇場のみならず、街の子育て施設や図書館といった場所の事例も調査する予定である。 (2)成果の発表:フィールド調査の成果を学会・研究会で発表する予定である。とりわけ国際学会(IHSRC)の開催・運営(2023年8月予定)を通じて、現象学を方法論とした教育学・心理学・看護学といった人間科学領域の国内外の人的・知的ネットワークを拡大していく(現在、大会準備委員として活動中)。また、引き続きフランスとの共同研究も継続し、国際共著論文などの発表にも取り組む予定である。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)