高卒就職における就職慣行の変容とその影響に関する研究
Project/Area Number |
22K02336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
大島 真夫 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (60407749)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 高卒就職 / 学校から職業への移行 / 進路指導 / キャリア教育 / 職業安定行政 / 福祉国家論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、高校を卒業して就職する人が、学校においてどのような指導や支援を受け、その指導や支援が卒業後のキャリアにおいてどのように役立っているのかを明らかにするものです。これまでは、高校生という年齢や社会経験の少なさを考慮して、たとえば1回に応募できる会社は一社に限らせ丁寧に就職活動を行わせるなど、大学生や一般社会人などの就職活動とは異なるルールでやってきました。成人年齢が18歳になり、高校生にも自由な就職活動が求められる中で、本研究ではこれまでの指導の在り方を総括し、今後求められる指導方法について明らかにすることをを目的とします。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,一人一社制に特徴付けられたいわゆる「日本的高卒就職システム」像を克服し,高卒就職を理解するための新しいモデルを構築することを目的とする。高卒就職は,一人一社制などの慣行見直しや民間職業紹介の参入が行われつつあり,変容を遂げようとしている。その影響の程度や範囲を知るために,量的および質的調査を組み合わせて,実態の解明を行う。研究期間1年目の2022年度は,本研究で予定している「高等学校インタビュー調査」と「高卒就職者対象インターネット調査」の実施に向けた準備として,先行研究および高卒就職をめぐる現在の状況に関する情報の整理等を中心に研究を遂行した。現在起きている変化は単なる雇用慣行の再調整にとどまらない多様な問題を含みこんでいて,学際的なアプローチが欠かせない。高卒就職を支えているアクターとしては高校,企業,職安があり,それぞれの目的があって進路指導や採用活動,職業斡旋を行っているが,時代の流れの中でそれぞれの活動を支えてきた前提条件が変化しつつあり,丁寧に読み解くことが必要である。具体的には,成人年齢引き下げにより生徒が未成年ではなくなったこと,高校教員の業務見直しや労働条件改善への動き,これまで原則無料としてきた新規高卒への職業紹介に有料職業紹介が参入しようとしていることなどがあげられる。これらは,公教育としての高校の在り方や,社会保障を支える職業安定行政の在り方が問われているという意味で古典的な福祉国家論につながる問題群ととらえることができるし,成人年齢引き下げはとりもなおさず大人とは何か(子どもとは何か)という社会学等の社会科学で広くみられる古典的な議論にも通底している。従来モデルの限界を見極めるためにもこうした過去からの議論を踏まえることは大切であり,最新の状況に関する情報収集とあわせて作業を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間1年目の2022年度は,研究実績の概要でも述べた通り,本研究で予定している「高等学校インタビュー調査」と「高卒就職者対象インターネット調査」の実施に向けた準備として,先行研究および高卒就職をめぐる現在の状況に関する情報の整理等を中心に研究を遂行した。高卒就職に起こっている変化の背景には多様な問題が含みこまれていて,研究遂行のために確認すべき事項は多岐にわたる一方で,インタビュー調査やインターネット調査において現実的に調査可能な項目数は時間的制約などもあって限られることとなる。このギャップを埋めるためには調査項目を精選して絞り込むことが必要であって,その精選のためには問題状況の理論的整理が不可欠である。こうしたことから,当初研究計画では研究期間1年目から「高等学校インタビュー調査」を行う予定であったが,これを研究期間2年目からの実施とし,研究計画1年目は先行研究及び現在の状況に関する情報の整理等に集中して取り組むこととしたところである。高卒就職にかかわる研究について教育社会学を中心に社会科学領域の研究を幅広く再確認するのと同時に,本研究においてとりわけ問題となるのは公教育としての高校教育や社会保障を支える職業安定行政といった福祉国家の在り方と大きくかかわる事柄であることから,そうした領域での研究成果についても情報収集に努めた。結果として,「高等学校インタビュー調査」と「高卒就職者対象インターネット調査」の調査設計に必要な情報を得ることができたことから,研究期間1年目の進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間2年目の2023年度は,前年度の準備を踏まえて,「高等学校インタビュー調査」の実施と「高卒就職者対象インターネット調査」の調査設計に取り組む。また,前年度に引き続き,先行研究および高卒就職をめぐる現在の状況に関する情報の整理等は継続して実施する。とりわけ,2023年度以降はいわゆる給特法の見直しの議論が進展することが見込まれており,教員業務の整理(棚卸)の議論が再度活発になる可能性がある。以前の議論では,進路指導については必ずしも教員が行わなくても構わないという議論も見受けられたことから,進路指導の一部をなす職業紹介についても職安との連携の在り方や有料職業紹介の活用などともあわせて見直される可能性もある。状況を注視し,最新情報の収集に努め,「高等学校インタビュー調査」および「高卒就職者対象インターネット調査」の調査項目に適切に反映させていきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)