幼児教育における遊具(玩具・絵本等)の活用と保育者の導きによる科学教育環境の開発
Project/Area Number |
22K02391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
千田 隆弘 中部大学, 現代教育学部, 講師 (90635145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 徳之 中部大学, 超伝導・持続可能エネルギー研究センター, 教授 (20249965)
濱田 知美 中部大学, 経営情報学部, 講師 (50760047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 幼児教育 / 遊具・玩具・絵本 / 保育者 / 科学教育 / 教育環境 |
Outline of Research at the Start |
「物的環境」として、科学的特徴で複合した「遊具キット」と、幼児の主体性を重視した「人的環境」として、保育者のコミュニケーション能力向上を図る「導きガイド」を開発する。 これらを「科学パッケージ」化して保育現場(幼稚園等)で使用し、対象の幼児、パッケージ、保育者を拡大しつつ、データを蓄積する。 物的環境と人的環境の「評価」では、幼児や保育者を対象とした実験・調査を通じて、物的・人的環境による幼児や保育者の科学的態度の変化を数値化し、その結果を開発にフィードバックする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は幼児期における科学的態度の育成に効果的な物的環境と人的環境を多変量解析で評価して開発することであり、2022年度は予備研究を踏まえて実施した。 まず、幼児の科学的学びに有効な人的環境を検討するため、保育者介入の影響の調査手法を開発した。科学遊具(科学的学びを誘発できる遊具)で幼児のみで遊ぶ場合と、保育者が介入する場合を記録・分析することで、科学的学びの「4つの発展段階」を確認できた。保育者介入前より後の方が遊び時間やチェックポイントが増加することが分かった。 次に、物的環境(遊具キット、コーナー)開発では、国内外の科学遊具(玩具・絵本)の収集・整理を行い「科学絵本」を重視した。さらに科学絵本の活用可能性を見出すため、「保育現場での絵本活用」の把握が重要と考え、保育者による絵本選択と子供への読み聞かせ状況を調査した。絵本選択と科学絵本の活用促進で保育者がキーパーソンと考えられる。STEAM教育では子供が新たな理解へ挑戦し科学と出会う機会を重視するが、現状では易しい絵本を選ぶ傾向が見られた。科学絵本の内、ハーレン&リプキンの13の科学分野に該当しないものも見られ「分類方法の工夫」が課題となった。 さらに、絵本活用データを統計的に解析し、子供の興味を深める「絵本の特徴」を見出した。その結果、保育者が科学絵本は「子供には難しい」と考えながら、「興味を深める効果」を実感していることがわかった。幼児期のSTEAM教育環境として、保育現場での科学絵本の活用効果が期待できるが、そのためには保育者の意識への工夫が求められる。 そして、保育現場に少ない「簡単な機械」分野の科学遊具「はぐるまつみき」を産学連携で共同開発した(意匠登録済み)。その特徴や遊び方、学び方を「科学的学びの発展段階」とSTEAM教育の視点で整理し、今後の幼児教育における科学教育環境のあり方について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼児が遊具との関わりの中で科学的気付きや遊びの深まりを促すための「物的環境」開発のため、国内外の科学遊具(玩具・絵本など)の収集・整理を推進できた。科学絵本については1000冊収集でき、ハーレン&リプキンの13の科学分野で分類できた。そして玩具と共に各科学分野の「遊具キット」づくりに着手できた。しかし、単独や複合した遊具をチェックポイントで数値化して評価しながら開発する計画はやや遅れている。 幼児の主体性を尊重しながら科学的気付きを促し、科学的態度を導く保育者の役割である「人的環境」開発を検討している。そして、保育者の導きの影響の調査手法を開発しポスター発表ができた。また、対話促進に活用するための「整理ラベル」の作成を科学絵本の分類を手がかりに進行できている。保育者向けの「導きガイド」の作成は、開発した「はぐるまつみき」用の物が試作できた。 保育室を模した教室「模擬保育室」では、保育環境評価スケール(Harms et al. 2020)や幼保連携型認定こども園教育・保育要領(内閣府. 2018)にあるように、一人一人が遊べる広さや動線の確保、多様な遊具によって複数のコーナーづくりができる環境を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
保育現場における科学絵本の活用可能性の調査を実施したが、対象が限定的だったため、サンプル数を増やした本格調査で統計的な精度を高めるとともに、国公私立や幼保、保育形態(自由保育・誘導保育、一斉保育等)などの園の特性を比較し、科学絵本の効果を評価する計画である。 ハーレン&リプキンの13の科学分野では、すでに存在している科学絵本や玩具の分類に限界があるため、本研究において、これからの幼児教育に適した科学分類を提案したい。 さらに、2022年度に開発できた「簡単な機械」分野の「はぐるまつみき」のみならず、様々な「遊具キット」と「導きガイド」を開発する。「導きガイド」では、身近な環境を探求する際に重要なサイエンス・プロセス・スキル(観察、分類、測定へ段階的に進める)を加え、科学コミュニケーションを促進できるように発展させる予定である。さらにこの「導きガイド」を保育学生や保育者の研修に使用し、幼児人数を個人・グループ・クラスへと拡大しながらデータ収集・評価・改善して、人的環境を開発する計画である。 そして、物的環境の「遊具キット」と、人的環境の「導きガイド」、さらに組み合わせた「科学パッケージ」の妥当性を、開発の各段階において、評価し、各環境の修正・改善へフィードバックする計画である。具体的には、ビデオ等で幼児が物的環境や人的環境と関わる行動の観察・記録を行い、多変量解析で評価する。 また、保育者と幼児を招き、学生の幼児理解や地域貢献・連携の場としても活用してきた「模擬保育室」の活用をし、幼児の行動調査や、保育者への質問紙調査を実施する計画である。そして、複数の保育現場で実験の内諾を得ているため、物的環境と人的環境によって「科学教育環境」を構成し、評価しながら開発する計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)