Project/Area Number |
22K02471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
後藤 めぐみ (赤塚メグミ) 常葉大学, 保育学部, 准教授 (30709217)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 被虐待児 / 漢字の読み書き学習 / 記憶 / 学習効果の持続要因 / 学習方略 |
Outline of Research at the Start |
被虐待児では読み書き困難を示す事例が多く存在していることが報告されており、彼らに対する読み書き支援法の開発が求められている。これまでの研究により、認知特性に応じた読み書き支援を行うことで、学習直後の読み書き成績の向上が認められた一方で、被虐待児では学習効果の持続性が不安定であることが指摘されている。本研究では、被虐待児の示す読み書きに関する学習効果の持続促進要因をリマインド学習の実施条件(頻度や期間)と認知特性との関連より検討を行い、最適な学習条件を明らかにする。得られた知見に基づき、被虐待児の認知特性に応じて学習効果の持続が最大となる読み書き支援教材を開発し、その有効性について検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に作成した質問紙と評価課題を用いて、公立小学校の低学年通常学級に在籍する210名を対象に調査を行った。その結果、ワーキングメモリ特性とリマインド方略に一定の傾向は認められなかった。一方、担任からの聞き取り調査において、「学習への取り掛かりに時間を要する」や「読み書きを嫌がる」と回答された事例では、漢字の読み書きのほかに、特殊音節を含む単語の読み課題において低成績を示した。これらの事例では、聴覚記憶の弱さが認められたが、反復方略以外のリマインド方略を有していなかった。 被虐待児については、児童心理治療施設に入所する低学年児童を対象に学習支援を行った。年度初めに、施設の心理担当者と学習担当者に対して、対象児らの漢字の読み書きと学習基礎スキルの習得度に関する特徴を共有した。対象児らの読み書き習得状況は、書きのみに困難を示すタイプと読み書き共に困難を示すタイプに分けられた。書き困難事例は、聴覚記憶が弱かったが、筆順に基づく学習方略を好んで用いた。誤字の様相として、細部の欠損や形態的に類似した他字の部品の混入などが認められた。このため、漢字を構成する部品のまとまりを色別に提示したブロック漢字方略を導入した。ブロックのリマインドに筆順方略を用い、2つから3つ程度の部品を組み合わせて漢字を構成する学習法を繰り返した。その結果、「足」と「走」のような類似した漢字の書き誤りが減少した。読み書き共に困難を示す事例では、本人の興味関心に即したエピソードを用いた単文作成に基づく学習方略を用いた。しかしながら、興味関心の対象が一貫しないことやエピソードが飛躍しやすいことなどから、リマインド再学習を統制することが困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、漢字の読み書き学習における定型発達児のリマインド条件の発達的変化に基づき、被虐待児にとって最適なリマインド条件を検討することを目的のひとつとしている。本年度は、このうち、小学校1年生から6年生を対象に漢字の読み書き学習のリマインド条件の発達的変化を調査し、分析をする予定であった。しかしながら、低学年を対象にした調査の実施と分析に留まり、高学年を対象としたデータ収集には至らなかった。その理由として、高学年を対象とした予備的検討において、漢字の読み書き学習に関する方略は自動化されており、タイプ別による検討が困難であった。本研究における課題解決を達成するためには、調査項目の修正が必要であり、2023年度は本調査の実施を延期した。今後、調査項目の再整理を行い、2024年度に高学年を対象とした本調査を実施する。 一方、被虐待児のデータ収集に関して、2023年度は心理治療計画との兼ね合いから、学習支援の中断期間が複数発生した。したがって、リマインド条件に基づく学習効果の持続要因に関して、十分なデータが得られなかった。これについては、2024年度に更なるデータ収集を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
小学校高学年を対象としたリマインド学習の基準値測定に関しては、既に静岡県内3市町の教育委員会と研究協力関係にあるため、7月から9月にかけて調査を実施する。 一方、被虐待児の漢字の読み書きに関するリマインド学習の効果検証については、施設内に設置された公立小学校分教室との協力関係を活用し、短期間に必要なデータを最大限に得られる研究体制を再構築する。また、児童養護施設にも研究協力を依頼し、既に了承が得られたので、対象事例を増やして検討を行う。これにより、リマインド方略と認知特性との関連から個別最適な漢字の読み書き学習支援法の解析が可能となる。
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