Project/Area Number |
22K02506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
高見 仁志 佛教大学, 教育学部, 教授 (40413439)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 実践知 / 新人教師 / 熟練教師 / VRオンゴーイング法 / ウェルビーイング / 知覚・感受 / 新時代の音楽教育 / オンライン授業研究 / ウェルビーング / 教師の実践知 / 音楽科授業 / 再生刺激法 / 新人教師教育プログラム |
Outline of Research at the Start |
本研究は,以下の3段階で取り組みを進める。 Phase1:新人教師と優秀さを認められた熟練教師の,音楽科授業映像視聴時の実践知を顕在化し,両者を比較検討しその差異を明らかにする。 Phase2:Phase1で顕在化された新人教師と熟練教師の実践知の特徴を,「外在化」と「授業状況と教授行為の相互作用」の観点から解明する。 Phase3:Phase1,2で得られた新人教師と熟練教師の実践知の特徴を,現在編成中の音楽科新人教師教育プログラムに反映させ,さらに効果的なものとして再編する。
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Outline of Annual Research Achievements |
音楽科における教師の実践知モデルに関連させて,ウェルビーイングを基盤とした教師の実践知について論考した。音楽科においても「個人と場(集団)の学びのバランス」「こころの充足と納得解」に配慮した音楽活動について検討することは意義深いと考えられた。「個人」「集団」「こころの充足」「納得解」を切り口に,近年,中央教育審議会が強調する「日本型ウェルビーイング」も視野に入れ,今後のわが国の音楽科授業デザインを展望した。 「つまらない」,「よくない」,「美しくない」は,学校音楽から排除されるべき感受なのか,という視点から,知覚・感受について再考し,音楽科における教師の実践知の向上をめざした。ネガティブな感受を教師が認めない可能性があるとすれば,その理由は何かについて考察を試みた。五つの理由が推測された。①「つまらない」等の背景を教師が見極める実践知の不足。②国の指針による影響のため。③学校音楽における「納得解」を基盤とした実践知の不足。④教員養成課程において,学生に自己決定させる指導が不充分。⑤「ウェルビーイング」を標榜する音楽教育が未成熟。こうした推測理由を援用して,「多様性」「柔軟性」「創造性」をキーワードとした教師の実践知の重要性を提言した。 また今後の調査のためにも,コロナ禍において経験した音楽科授業研究会を,タイプ別に整理した。その中から,「授業録画型双方向オンライン授業研究会」と「メンタリング型個別オンライン授業研究会」の2事例をとりあげ,それぞれの展開を報告した。さらには,2事例における授業者・参観者の自由記述やインタビューを分析することで,音楽科オンライン授業研究会の今後を展望した。その結果,教師には「柔軟性とマネジメント力」「ICTの技術力」がさらに求められ,「価値観の改革」や「自身の気づきを高める遠隔メンタリング」の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
音楽科授業における教師の実践知モデルを再検討し本研究の基盤となる理論的枠組みを構築するとともに,実践知の顕在化に採用する「VRオンゴーイング法」(生田,2018)の妥当性と有効性を検証し,手続きの詳細を決定することはできた。しかし,これまでの申請者の研究(高見,2014改変)の積み上げを想定し,熟練教師と新人教師の比較を通して,とりわけ両者に大きくズレが生じる事象および認知の質的な差異に関して,「外在化」と「授業状況と教授行為の相互作用」の観点から分析ができなかった点で,やや遅れていると判断している。録画させて頂ける音楽科授業が少なくなってきたこと,および,コロナ禍の産物として,対面での授業録画等が制限されていることも,理由の一つである。
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Strategy for Future Research Activity |
録画可能な音楽科授業をさらに探究しながら,360°からのVR映像を作成する。撮影動画を,360°パノラマ映像として出力する。授業過程に沿って,新人教師と熟練教師のオンゴーイング発話と授業映像を同期させる。さらには,授業場面の詳細,オンゴーイング発話,発話の意味づけを全て文字化し,それらを同期させたデータ一覧に整理する。この一覧に基づいた調査対象者自身の解釈を分析し,実践知を顕在化する。 他方,上記のような調査方法を実現することに併せて,視聴する対象授業がどのようなコンセプトで構想されたものかを検討していく重要性に気づいている。すなわち,新時代の音楽教育,柔軟で多様な側面を包含し,創造的な音楽科授業であるかどうかという点である。例えば,個人の中に存在する対立軸と音楽科教師の実践知について論考を深めること,納得解を重視した音楽科授業づくりの検討(A or Bといった短絡的な構図では説明できない複雑なグラデーションを浮かび上がらせるような授業)等,対象授業の模索が先ではないかとも考えている。こうした,納得解を導く意思決定の視点から,音楽科授業における教師の実践知研究に取り組む方向性も併せて模索している。
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