Project/Area Number |
22K02511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
飯田 伸二 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 教授 (60289650)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | コレージュ / 前期中等教育 / 文学教育 / 道徳市民教育 / イメージの教育 / フランス / 前期中等教育修了認定証 / 前期中等教育修了認定試験 / 母国語教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究の特色はフランス語という科目をあえて言語,文学からなる1つの閉じた領域と捉えずに,他の科目に開かれた科目横断的コンピテンシー養成の場・手段として理解・考察しようとする。他の科目との連携という視点から科目教育を分析・考察することにより,単にフランス語という科目の輪郭だけでなく,大きく変容しつつある前期中等教育のダイナミズムそのものが理解可能となる。 本研究のもう一つの特色は最新の文学理論を援用することにある。本研究はカリキュラムを社会的要請という視点と同時に,近年の文学理論の潮流との関連という視点から考察することにより,フランス語教育の変遷の論理を総合的に理解する視座を提供しうる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,海外出張が叶わなかった。それゆえ,フランス現地でのコレージュ見学,現職教員へのインタビュー等の調査が展開できなかった。 こうした事情のため,主にインターネットによる文献資料の収集・読解に力を入れた。特に,文学教育を専門とする多くの研究誌の多くが,近年道徳市民教育とフランス語教育の連携・交流に関連する特集・企画を組んでいる。これらの雑誌を集中的に読解することによる最新の研究動向の把握に務めた。特に,以下の特集号からは多くの知見を得ることができた: 『Etude de lettres』の「Les passions en litterature」(2014年), 『Le Francais aujourd'hui』 の「Enseigner la litterature avec et au-dela des programmes」(2018年, 202号)及び「La litterature et valeurs」(2017年, 197号), 『Pratique』の「Questions de morale : education, discours, texte」, 『Recherche et travaux』の特集「Valeur(s) de/dans l'enseignement des textes litteraires」, 『Reperes』の特集「Tournant ethique en didactique de la litterature」(2018年,58号)。 また,行政側も生徒が民主主義, 世俗主義(laicite)を文学テクストの読解を通じ考え,議論することの重要性を意識し,多くの資料を準備し,教員支援サイト(Eduscol)に発行していることが確認できた。これらの資料はまだその一部しか閲覧,分析できていない。今年度はこれらの分析も本格的に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,海外出張が叶わず現地でのコレージュ見学,現職教員へのインタビュー等の調査が展開できなかった。そのため,研究の進捗状況は若干おくれがちである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はフランスでの調査が叶わなかったため,本年度は長期休暇を利用して調査を実施予定である。同時に,昨年度も実施した文献調査を継続する。 特に本年度は昨年度得た知見を活かし,フランス共和国の根幹とも言える,世俗主義(laicite),民主主義,自由等をコレージュで教育・議論する際に,フランス語教育,特に文学教育がどのような貢献を果たしているかを,具体的な教育実践例の紹介・考察を通じ検討したい。また,昨年度は研究論文,学会発表等ができなかった。今年度は積極的に研究成果を発表する予定である。その際には特に,以下の2点に注目する予定である。 1)前期中等教育のフランス語ではイメージの教育の重要性が増している。また,日本の漫画に相当するバンド・デシネの教材化もかなりの勢いで進行している。これらの新しい<メディア>がフランス語教育,道徳市民教育でどのように扱われているかにも注意を払う予定である。一方で,フランス語自体の授業時間は増加していないので,こうした新しい学習テーマの導入は従来の学習事項を何らかの形で犠牲にせざるを得ない。つまり,イメージ教育の導入はフランス語教育の布置全体に大きな変容を強いる可能性を秘めている。こうした点も含め,イメージ教育の導入がフランス語教育に与える影響を精査したい。 2)近年のフランスでは通読(lecture cursive)あるいは作品全体の読解(lecture integrale)といった教育方法が積極的に導入されている。これは,文章のディテールの読み取り,文学技法の分析,登場人物の心理の解釈といった従来の国語教育で重視されてきた教育法とは異なるものである。これらの指導法の紹介・分析を通じ,フランスにおける文学教育の新たな展開とその可能性を吟味したい。
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