Project/Area Number |
22K02533
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
渡辺 ユリナ 愛知学泉大学, 家政学部, 助教 (80911320)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 領域表現 / 音楽科 / 音楽表現教育 / 多声的エスノグラフィー / 幼小連携 / 幼小接続 / 音楽 / 表現 / 幼保小連携 / 音楽表現教育の接続 |
Outline of Research at the Start |
幼保と小学校が円滑な接続を果たせるような、連続性、一貫性をもった音楽表現プログラムの創出を目指す理論的な枠組みを得るために、音楽表現教育観について、「領域表現」のねらい、「音楽科」の目標に共通して用いられる言葉「豊か」を観点として、それぞれの職員がもつ価値観、発達観を捉え、幼保小をつなぐ音楽活動の可能性を探る。具体的には、①音楽表現教育における「豊か」の概念の具体化②独自に作成する映像を用いたフォーカスミーティングを実施し、多声的エスノグラフィーによる分析から双方の共通点・相違点を検討し、学びの本質への双方の理解の共有を促す。
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Outline of Annual Research Achievements |
幼小をつなぐ音楽活動の可能性を探ることを目指した研究の第二段階として,音楽表現に対する保育者と小学校教諭のもつ視点とそれに基づく潜在的な価値観の相違点,共通点を分析し,円滑な接続のための要素を探った。 本研究は,多声的エスノグラフィーの手法に依拠している。調査の手順は,まず,昨年度収集したデータ(幼児教育施設と小学校双方で参与観察を行い,あらゆる活動場面を撮影した)をもとに,音楽表現実践場面の標本動画を作成した。次に,保育者と小学校教員がそれぞれ,同じ動画(動画A・B:保育の場面,動画C・D:小学校の場面)に対してどのような「豊か」を捉えるかを見る集団討議を行った。なお刺激媒体は,文字としての事例を読み上げる形式から参加者が動画を視聴する形式に変更したことで,着目する場面,人物,言葉,音などを限定することなく,参加者によって異なる視点を引き出すことができた。分析方法は,語りを逐語化し,質的コーディングの手法に基づいて「豊か」の捉え方のカテゴリーを抽出し,保育者と小学校教諭の相違点,共通点を考察した。 その結果,保育者,小学校教員共に,「所属機関の中で培われた独自の視点・価値観との違いがそれぞれ強調された語り」や,「共通性をもたせたり同一視したりするような語り」がみられた。さらに,「音楽観」が豊かの判断基準の一つとなっていることに着目して語りの分析を行ったところ,「音楽観」の共通点として保育か授業かの枠組みの違いに左右される音楽観をもつこと,音楽の構成要素(メロディーやリズムなど)を必要条件とする音楽観をもつことが分かり,相違点として,音楽の構成要素(メロディーやリズムなど)を必要条件とする音楽観をもつこと,小学校教諭は,音楽の複雑な条件をつけた狭義の音楽観をもつことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究3年間の研究計画の通り,2年目の研究「研究②豊かの観点から見た音楽観と発達観」(令和4年度後期以降~令和6年度前半)を進めるため,分析のツールとしてのビデオ映像の作成(令和4年度後期以降~令和5年度),そして映像を用いたフォーカス・グループ・ミーティングによる多声的エスノグラフィー分析(令和5年度~令和6年度前半)を実施した。音楽表現に対する保育者と小学校教諭のもつ視点とそれに基づく潜在的な価値観の相違点,共通点を分析し,円滑な接続のための要素を探ることができた。 この結果は,令和5年度に,「Pacific Early Childhood Education Research Association 23th Annual Conference」,「European Educational Research Association 31th Annual Conference」,「日本音楽教育学会第54回大会」,「日本乳幼児教育学会第33回大会」にて発表し,「愛知学泉大学紀要」に投稿した。さらに,「豊か」の構成要素となる「音楽観」と「発達観」に着目して調査,分析を進め,令和6年度には,「European Educational Research Association」,「Pacific Early Childhood Education Research Association」,「日本音楽教育学会」などでの発表する予定となっている。また,学会誌への投稿も準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には,「研究②「豊か」の観点から見た音楽観と発達観」を完了し,幼小の音楽表現教育における接続プログラムを提案する。 研究②-2(令和5年度~令和6年度前半):保育者と小学校教員が,同じ映像を視聴することで批判的省察を刺激させ,「豊か」を観点とした対話を促す。令和5年度の研究②-2では,複数の動画視聴の際に,保育者と小学校教諭で着目する場面,人物,言葉,音が異なっていたり,同じ場面を観ていても捉え方違ったりするなど,両者の視点や価値観の違いが明確に表れた。令和6年度の研究②-2では,視点や価値観の違いを表出することにとどまらず,表出された,所属機関の異なる教員のもつ価値観に対する批判的,賛同的な深い語りを引き出すことで,音楽表現教育の接続のみならず,幼小接続に対する双方の意識の変化を促すことにも寄与できると考える。 方法:令和5年度に実施した研究②-2の参加者であるA県内公立幼稚園の保育士7名と,A県内公立小学校の小学校教諭9名を対象とする。まず,令和5年度に実施した研究②-2において,保育者,小学校教諭が着目し,特徴的に語った場面,つまり,視点と価値観が明確に表れた場面を厳選し,動画を編集し直す。そして,所属機関の異なる教員の(保育者は小学校教員の,小学校教員は保育者の)同じ場面に対する語りを読み,共通点・相違点を検討する中で,学びの本質への双方の理解の共有を促す。
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