Project/Area Number |
22K02737
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
澤 隆史 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80272623)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 聴覚障害児 / 推論 / 数量推定 / 偶発学習 / 視覚的刺激 / 日常性 / 聴覚障害 / 認知 / バイアス |
Outline of Research at the Start |
日常生活の中では、必要な情報を自ら取得しその情報に基づく推論や思考によって状況を理解し、行動を選択することが求められるが、聴覚障害児が得られた情報から「何を、どのように」認知し、推論を行っているのかという問いに対する明確な結論は得られていない。聴覚障害児の認知に関しては、言語理解や論理的思考場面での推論において誤りや偏りが生じやすいが、日常的な場面や状況あるいは頻用される言葉からどのような推論を行っているのか、という点は十分に検討されていない。本研究では、日常生活の中で遭遇することが多い場面やことばに対して、聴覚障害児が行う推論の特徴や認知バイアスを実証的検討することを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、聴覚障害児が行う推論の特徴や認知バイアスを実証的に検討することを目的としており、令和5年度(2023年度)は以下の3点について研究を行った。 (1)令和4年度の2つの研究成果について、それぞれ日本特殊教育学会第61回大会での発表、および東京学芸大学紀要に研究論文として公表した。 (2)令和4年度の研究成果を踏まえて、視覚的情報に基づく量的推論の特徴について検討を行った。容器に入れる事物(立方体)を限定し、容器の形状、事物の量、事物の見え方を変数とした統制を行い、聴覚特別支援学校および通常小学校の児童計94名に対して数量推定課題を実施した。その結果、聴覚障害児においては容器の形状による数量推定の困難が示唆されたが、事物の見え方による対象児群間の成績の差は示されなかった。立方体のような客観的・実写的な刺激を用いた場合、推定に直接的に影響する個数要因を除くと呈示方法の影響は部分的であり、聴覚障害児の数量推定には生活場面での経験が大きく影響することが考えられた。 (3)聴覚障害児の数量推定における偶発性の影響について検討した。聴覚特別支援学校小学部および通常小学校の児童計86名を対象に、事物の長さ・高さと活動に要する時間を推定する数量推定課題とともに、数量に関する論理課題を実施して両課題の成績の関連を分析した。その結果、聴覚障害児の数量推定の成績は聴児と比較して顕著に低いこと、児童が経験しやすい生活場面の方が経験しにくい偶発場面よりも成績が高いこと、数量推定と論理課題の成績は強く関連しないことなどが示された。 (3)の研究結果については、学会誌に投稿、採択済みであり、現在、印刷中である。また(2)については令和6年度に開催予定の日本特殊教育学会第62回大会で発表するとともに、研究紀要等にて論文として公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した(2)の研究については、公表あるいは公表の準備が完了しており、令和5年度に予定した研究計画をおおむね遂行することができた。令和6年度は、4年度・5年度の研究成果を集約し、聴覚障害児の推論に関する展望論文を執筆・公表するとともに、最終的な研究報告書にまとめる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点で、本研究開始時に予定していた研究内容をほぼ遂行することができ、令和6年度は主に研究成果のまとめにエフォートを費やす予定である。一方、視角情報と聴覚情報との相互関連については、未だ十分に明らかにできなかった点も残されているため、ここまでに実施した実験課題の改良等を行い、補足的な研究を行うことを予定している。
|