自身の視覚的ニーズを説明できない子どもに対する主観的文字サイズ評価法の開発
Project/Area Number |
22K02757
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
永井 伸幸 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 准教授 (50369310)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 文字サイズ / タブレット端末 / 表示方法 / 主観的評価 |
Outline of Research at the Start |
文字サイズの評価に基づく読書環境の整備に関する研究は、視覚障害領域で長い間取り組まれてきており、様々な成果を上げている。本研究は、これまでの成果である文字サイズの客観的評価法を踏まえ、文字サイズについての「主観的評価」の特徴を、「客観的評価」の結果の関係から検討し、「主観的評価を用いた文字サイズ評価法」を確立し、知的障害児等の「自分で視覚的ニーズを説明できない子ども」に対する最適文字サイズ評価法を確立させることを目指すものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、タブレット端末(Apple社製、iPad)を用いたピンチアウト/ピンチイン操作による選好文字サイズ測定方法について検討を進めた。 文字の提示アプリには拡大しても画質が低下しないことが求められるため、読材料をワープロソフトウェアで作成し、PDF閲覧アプリで提示することとした。まずいくつかのPDFを閲覧するアプリを用いて、PDFファイルを「小さすぎる文字サイズ」、「大きすぎる文字サイズ」でデフォルト表示する方法について検討した。その結果、「小さすぎる文字サイズ」で表示するには、読材料作成時に小さい文字サイズを用いることで対応できたが、「大きすぎる文字サイズ」で表示するには、読材料作成時に大きい文字サイズで作成してピンチインしてもすぐに元の大きさに戻ってしまうため、デフォルトで200%等の拡大表示をする必要があるが、それに対応したPDFアプリが無かった。そのため、測定手法を「文字サイズを縮小させて測定」「文字サイズを拡大させて測定」を繰り返す方法ではなく「文字サイズを拡大させて測定」のみを実施し、その際に「大きすぎる文字サイズ」で表示することも含ませる方法で進めることとした。 また、使用するPDF閲覧アプリについても検討し、測定に求められる要件である、「ページを移動したら倍率が元に戻る(拡大縮小したものが維持されない)」という要件を満たすアプリとして「ブック」を用いることとした。 さらに、「ブック」アプリを用いて「文字サイズを拡大させて測定」という操作を行っている様子をタブレット端末の「画面収録機能」を用いて動画を記録して分析方法を検討した。その結果、物理的に画面上の文字サイズを測定する必要があるが、一定程度の精度で倍率を簡便に求めるための工夫として、PDFファイルの各ページの端に目盛りを入れ、それをタブレット端末の縁に記した目盛りと比較することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れていると判断した理由は以下のとおりである。 コロナ禍も完全に収束していない状況であったため、対象を研究者自身として検討を進めるに留まった。そのため、測定方法の手順を確立するところまでは進めることができなかった。 また、「拡大させる」「縮小させる」という操作を繰り返すことを想定していたが、タブレット端末の画面表示の特性では、「縮小させる」ということが難しいことは判明したため、手法の再検討をする必要が生じ、そのことに対応した測定手法の基本的方針を定めるところまでしか進めることができなかった。 しかしながら、この後に取り組むべき事は明らかとなっているため、取り戻せる程度の遅れであると考えられる。 一方で、理論的背景を整理するため、特別支援教育に関する学術誌に掲載されている弱視児者の視覚研究について、系統的に論文を収集しレビュー論文を執筆し投稿したこと、および、今後測定方法が確定した後に実験を実施するための準備として、知的障害特別支援学校1校に研究協力の説明と依頼を行い、協力の了解を得た点は、予定よりも進んでいる点と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
測定方法とその手順について確定作業を進める。その後、予備調査として、インフォームドコンセントを経た大学生に対して選好文字サイズの測定を行う。それと合わせてMEREAD-Jを用いた客観的評価を実施することで、選好文字サイズと客観的評価のデータの分析を行う。MEREAD-Jを用いた測定においては、臨界文字サイズだけでなく、「実際に読みたい文字サイズ」についても質問し、臨界文字サイズと好みの文字サイズの関係についてもデータを得る。分析の主な観点は、客観的評価から推測される臨界文字サイズと比べ、1)アプリでの測定とMNREAD-Jでの測定結果のズレが甚だしい(0 .2logMAR以上の差)ことになっていないか、2)測定に時間がかかりすぎていないか(客観的評価より時間がかかっているかどうか)である。予備調査を完了した後、知的障害児を対象とした選好文字サイズの測定方法の検証を行う。知的障害特別支援学校に在籍し、文字を読むことは可能であるが、 文字サイズの客観的評価は困難である児童生徒を対象とする。選好文字サイズを測定後、各児童生徒の選好文字サイズに合わせた教材等を作成する。それらを用いた場合の意欲や態度、理解度について、担任への質問紙調査を用いて評価を行い、選好文字サイズに設定することの有効性について検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)