Project/Area Number |
22K02978
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石黒 聡尚 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70869049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 嘉一 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90420083)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 3次元モデル / 教育効果 / 内耳 / CT / MRI |
Outline of Research at the Start |
聴覚は人間の重要な五感の一つであるが、蝸牛(うずまき管)を含む内耳とその周囲の構造が巧妙に連携して初めてその役を成しており、その複雑さが初学者の学習における理解を難しくしている。本研究では、まず、CTやMRIの画像データから3Dプリンターを用いて3次元モデルを作成し、次いで、この3次元モデルを「使用する」・「使用しない」の2種類の授業を小学生・中学生・高校生・医学生・初期研修医を対象に行い、3次元モデルの使用が学習効果を向上するか否かを客観的な指標を使って評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、CT、MRIといった医用画像を活用して、人体の解剖学的構造の三次元モデルを作成し、これを医学教育に応用可能かを検討するものである。これまでの報告では、主に血管穿刺などの手技に関連した状況下において三次元モデルが教育に有効であったとするものが多く、画像診断そのものにおける教育効果を検討した報告は限られる。本研究では、題材として、耳小骨、蝸牛、前庭、半器官、顔面神経、蝸牛神経、前庭神経といった複雑な解剖学的構造を含む側頭骨をとりあげ、その三次元モデルを作成し、それを用いることが側頭骨の画像診断の教育効果の向上につながるか否かを検証することにした。 現在のところ、本研究の具体的な実績はない。今年度は光造形3Dプリンタを導入した。また、医用画像ワークステーションおよび三次元CGソフトを用いて、側頭骨のCT画像データから上述の解剖学的構造の抽出と3Dプリントに必要なデータの作成を行い、3Dプリンタで三次元モデルのプロトタイプを作成した。作成された三次元モデルは、解剖学的構造の空間的位置関係が把握しやすいものと思われたものの、その有用性を十分に活かすには、複雑な凹凸がありCT画像のような断層画像からはその立体構造の想像が難しく、手術の際にランドマークや死角となる構造がある鼓室壁の作成が必要と考えられた。 今後は、まず、鼓室壁を含む三次元モデルの作成を試みる。細かい凹凸が多いため、作成されたモデルが実際のものを十分に再現できているか、モデルをCTで撮像して、その精度を検証する。さらに、そのモデルを用いて、まずは医学生や研修医を対象とした側頭骨の画像診断に関するレクチャーを行い、実際のCT画像で重要な解剖学的構造の同定までに要する時間などの定量的評価を含め理解度の向上につながるかを検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光造形3Dプリンター Form3+を購入し、設置した。正常患者の側頭骨CTのDICOMデータを医用画像解析ワークステーション(AZE)に取り込み、耳小骨、内耳(蝸牛、前庭、半器官)および内耳道、顔面神経管を自動、手動の両方で領域抽出し、STLファイルに変換した。次いで、フリーの3DCGソフト(Blender)を用いて、3Dプリントしやすいようにデータを修正した。その後、Form3+を用いた3Dプリントを行い、三次元モデルのプロトタイプを作成した。作成された三次元モデルは比較的良好に解剖学的構造を再現できており、互いの空間的位置関係の理解に役立つものと思われたが、「今後の研究の推進方策」に記す通り、三次元モデルの教育的効果をより発揮させるには、鼓室壁の再現も必要と思われた。 3Dプリンター購入の時期が年度末となってしまった。また、新型コロナウイルス感染症のため学生との対面での接点が限られた。このため、まだ、教育効果の観点からの検討はまだ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、光造形3Dプリンタを用いて、耳小骨(ツチ骨、キヌタ頭、アブミ骨)、内耳(蝸牛、前庭、三半規管)、顔面神経、蝸牛神経、前庭神経の3次元モデルを作成した。これらの解剖学的構造の3次元的な位置関係はわかりやすいものではあったが、解剖学の教科書の図から得られる情報や、CTやMRIから想像される像と比べて、少なくとも放射線科医にとっては大きな差異がないように感じられた。一方、鼓室壁には複雑な凹凸であり、その様子を断層画像から想像することは容易ではない。また、実際に鼓室の手術を行う場合を鑑みると、観察できる視野が限定されるため、鼓室の手術の際にランドマークあるいは死角となる構造が断層画像でどこに相当するのかを理解しておくことは重要であり、その理解に三次元モデルが効力を発揮するものと推測される。そこで、鼓室壁の凹凸を含む三次元モデルの作成を目標とし、作成されたモデルのCTを撮像することでそれが十分に再現されているかを評価する。さらに、筑波大学の医学生、初期研修医、放射線科研修医に対して、手術の際に重要となる構造を中心とした鼓室のCT画像解剖の教育における三次元モデルの有効性を評価することを試みる。理解度などの主観的な評価のみならず、CTでの重要な解剖構造の同定に要する時間などの定量的な評価も行う。 また、画像診断の分野における三次元モデルの活用は血管穿刺などの手技に関わる状況での有用性を報告したものが多く、画像診断そのものに活用した報告はあまりない。現在、当科では医学生を対象としたクリニカルクラークシップにおいて腹部超音波の実習を行っており、3Dプリンターで作成した鋳型、およびゲル剤を用いて、脈管構造を含む肝臓の三次元モデルを作成し、超音波診断への教育効果を、基本断面の描出にかかる時間などの評価を含めて検証することも検討している。
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