Influences of traditional values, authoritarianism, and system justifying motive on impressions of ability and status.
Project/Area Number |
22K03024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北村 英哉 東洋大学, 社会学部, 教授 (70234284)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 権威主義 / 地位 / システム正当化 / ステレオタイプ / 事なかれ主義 / 社会的地位 / 能力 / 印象形成 |
Outline of Research at the Start |
これまで明確に分離されていなかった印象形成上の「能力」と「社会的地位」の効果を分けて、独立した操作を行い、伝統的価値観、権威主義、システム正当化志向などの個人差要因がこれらの印象に与える影響を国際比較によって検討する。日本においては、ジョブ型雇用が標準である欧米に比べて、専門性の重視が十分強くなく、伝統的価値観である空気信仰などが強く、それらがひとつには権威主義傾向を媒介して、さらに、もうひとつ、システム正当化(現状維持志向)を媒介しつつ、社会的地位への重視、地位の高い者への好印象などを導くことを調査研究によって検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
計画では社会的地位と能力が独立に認識された場合、いずれを尊重するかにおいて、権威主義的な個人差が影響を有し、権威主義的な個人は、能力よりも他者の社会的地位を尊重するのではないかと考えられた。そこで、まず、予備調査として組織で権限を持つ者の不正について、いかに対処するかということを通して、権威主義的従属について検討した。その結果、権威主義の個人差測定による得点が高いほど、主張性が低く、不正を容認する傾向が確認された。 さらに精度を高めるために、権威主義尺度を構成して、8000名のデータをとり、因子構造を検討した。その結果、組織において上の立場の者に従属する従属因子と、一般に社会で正当で権威があるとみなされるものに従う権威尊重因子を見出すことができた。権威尊重の高さは保守主義やシステム正当化と正相関を有し、新たに構成した「事なかれ主義」とも正相関を有することが示された。 また権威に対する従属を規定し、関連する要因として、伝統的価値観をとりあげ、その整理を行った。伝統的価値観の尺度を構成し、因子分析の結果、「自然崇拝」「死生観」「たたりとばち」「習俗」の4因子を見出した。再テスト信頼を確認し、一定の安定性を確認した。これらが権威主義と有意な相関を有することをさらなる予備調査によって確認できた。 また、これら宗教心に近い伝統的価値観とは別に空気信仰を調べ、空気信仰と上記の伝統的価値観が正相関することも見出された。さまざまな伝統主義的な考え方の表れが、権威主義とも相関し、それが社会的地位への従属と尊重につながるであろうことが示唆された。 各尺度が準備され、それによる相互関係が想定されたものであることを相関分析によって確認し、2023年1-3月には、翌年度実験をするために、刺激の作成の作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人々の社会的地位と能力は独立して認識された場合には、いずれを重視するかについて人々の間に差異があるものと考えられる。比較的権威主義志向の高い者たちにおいては、個人の能力よりもすでに個人が手にしている社会的地位に服従し、現にある権威に追随する心性のあることが予測される。そうであるならば、場合によっては、現にある重要な問題を解決する能力の欠けたリーダーを、すでにある「権威」というだけの理由から、引き続き敬い、リーダーに従うということにもなり、社会の健全な発展、あるいは現代的なスピード感のある発展には、もしかしたら負の影響が現れる可能性が考えられる。 これらを検討するためには、「権威主義的パーソナリティ」を測定する尺度の確立が必要である。今回の1年の取り組みによって、整理を行うことができ、信頼性のある権威主義尺度とさらにこれに関連する「事なかれ主義尺度」の構成を行うことができた。妥当性検証のため、いくらかの尺度と相関を確認することができた。 権威主義を規定する要因として、伝統主義的価値観がある。伝統的価値観の尺度構成を行い、4つの因子を見出した。自然崇拝、タタリとバチ、習俗、信心である。これらが権威主義や空気信仰とも正相関し、想定した関連があることを、調査会社に委託した大規模調査によって確認することができた。次年度の実験に向けて、用いるべきツールの準備が整いつつある。現在は、実験のシナリオ構成の準備に入っている。したがって、計画としては2年目の実験への前段階として、尺度の準備など、想定通りに順調な進展をしてきたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
社会的地位と能力が独立で認識される状況において、いずれに比重を置くかには重要な個人差、個人による価値観の違いなどが反映されると考えられる。これまで、その個人差に関わる、「権威主義的パーソナリティ」「事なかれ主義」を測定する尺度を開発してきた。 今後、実験実施に向けてシナリオを構成し、地位と能力をクロスさせた条件、すなわち地位が高く、能力が低い場合や、地位は低いが能力が高い場合も含むようなターゲット人物の提示によって、権威主義や事なかれ主義の高い傾向にある者たちが、それらに対して能力を相対的に重視せず、地位に従属的に影響されるかどうかを確認していく。 実験の構成を行い、7-8月には実験を実施し、データ分析を行い、成果を2024年開催のThe Society for Pesonality and Social Psychology(SPSP)の大会(サンディエゴ)で発表を行う予定である。データ収集はクラウドソーシングあるいは調査会社に委託する。その他、関連をもつ個人差変数について調査に組み入れる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)