Project/Area Number |
22K03036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
真島 理恵 北海道医療大学, 心理科学部, 講師 (30509162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 協力 / 評判 / 間接互恵性 / 情報伝達 / 進化モデル |
Outline of Research at the Start |
集団内での相互協力の達成は人間社会の基盤である。近年、血縁関係を超えた大規模な集団内での相互協力を可能とする仕組みとして評判が注目され、人々がどのように評判情報を使うことで相互協力達成が可能となるのかについて理論的解明が進んできた。しかし、そもそも「集団内で評判情報を共有しあう状態」がいかにして実現可能か、という根本的な問いは未解明のまま残されている。本研究では、評判の基礎となる情報伝達のプロセスに注目する。実証データから特定した人間の情報伝達に影響する心理・状況要因をモデルに組み込み、集団内での情報共有と相互協力がいかにして実現可能かを特定し、ヒト社会における協力の適応的基盤の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
非協力者を排除し集団内で相互協力を達成することは、人間社会の基盤である。特に近年、血縁関係を超えた大規模な集団内での相互協力を可能とする仕組みとして評判に基づき成り立つ間接互恵性の原理が注目され、人々がどのように評判情報を使うことで間接互恵性、ひいては大規模な集団における相互協力達成が可能となるのかについて理論的解明が進んできた。しかし、そもそも「集団内で評判情報を共有しあう状態」がいかにして実現可能か、という根本的な前提にかかわる問いは未解明のまま残されている。本研究では、評判の基礎となる集団内での情報伝達のプロセスに注目し、実証データから特定した人間の情報伝達に影響する心理・状況要因をモデルに組み込み、集団内での情報共有と相互協力がいかにして実現可能かを特定し、ヒト社会における協力の適応的基盤の解明を目指す。評判が機能するためには、評判のもととなる「誰がどのように行動したか」の履歴情報が集団内で正しく共有されている必要があるはずであり、人間社会ではこうした情報共有は、誰かの行動を目撃した人が他の人に話し、それを聞いた人がまた別の人に話す、といった伝達行動を人々がとりあうことで行われていると考えられるが、人間が行う情報伝達は、同調や対比効果など様々な要因によって歪む可能性が考えられる。そこで2023年度は、間接互恵性場面における情報伝達を測定した場面想定法を用いた調査を、情報伝達行動に影響する可能性のある要因を操作して実施し、間接互恵性状況における情報伝達におけるバイアスの有無とその内容について探索的に検討を行った。ただし同時に、このような情報伝達バイアスがみられるのは、パブリックな状況での行動においてのみであり、現実のゴシップ伝達が多く行われると考えられるプライベートな状況での伝達ではそのようなバイアスがみられない可能性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
間接互恵性状況における情報伝達に影響する要因を特定することを焦点とした調査を実施した。具体的には、「間接互恵性場面での渡し手の行動を見聞きした」状況を記述したシナリオを提示し、知り得た情報を周囲に伝達する程度を測定する場面想定法の調査を実施した。調査では、シナリオで提示する「渡し手の事前評判(Good/Bad)」「渡し手の行動(提供/非提供)」「受け手の評判(Good/Bad)」「情報の信頼性(高/低)」を参加者間要因として操作した。なお、情報の信頼性の高さを要因として操作したのは、これまでに実施した予備調査においてみられた、「事前評判の良い渡し手によって行われた行動」及び「非提供行動(資源を渡さなかった)」が他者に伝達されにくいという情報伝達バイアスが、予備調査で提示されたシナリオにおける、情報の信頼性の低さに由来している可能性が考えられたためである。本調査の結果、情報の信頼性の高さにかかわらず、「事前評判の良い渡し手によって行われた行動」及び「非提供行動(資源を渡さなかった)」が他者に伝達されにくいという情報伝達バイアスがみられたことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった知見に基づき、まず、間接互恵性状況における情報伝達に影響する要因が、パブリックな情報伝達状況とプライベートな情報伝達状況で異なるかについて検討を行う。「間接互恵性場面での渡し手の行動を見聞きした」状況を記述したシナリオを提示し、知り得た情報を周囲に伝達する程度を測定する場面想定法の調査を、「渡し手の事前評判」「渡し手の行動」「受け手の評判」「情報の信頼性」を操作して実施し、各場面における情報伝達行動を測定する。その際、「集団内の人々の前で目撃した行動を伝える」パブリックな状況での情報伝達行動に加え、「特定の集団メンバーに対して個人的に、目撃した行動を伝える」プライベートな状況での情報伝達行動を測定し、各状況での情報伝達パターンを明らかにする。調査では同時に、回答者の同調傾向などの心理特性も測定する。これらの調査により、間接互恵性状況における人々の情報伝達パターン、及び情報伝達バイアスを生み出す至近因の候補を絞り込んだ後、情報伝達に影響する状況要因を操作した実験室実験を行い、情報伝達に影響する要因を特定し、モデルに組み込むべき人間の情報伝達プロセスの特徴を明らかにする。その後、それらの情報伝達プロセスの特徴、及び情報伝達に影響を与える要因を組み込んだ上で、間接互恵性状況に置ける相互協力が実現可能となる条件を特定することを目的とした理論モデルの作成、及びモデルの実証的検討を行う。
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