加齢に伴う失敗の認知と時間的展望との関係の変化に関する心理学的研究
Project/Area Number |
22K03093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10020:Educational psychology-related
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 英利子 神戸学院大学, 心理学部, 研究員 (80440866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富高 智成 京都医療科学大学, 医療科学部, 講師 (70636597)
向居 暁 県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (80412419)
清水 寛之 神戸学院大学, 心理学部, 教授 (30202112)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 失敗 / 失敗の意味 / 失敗エピソード / 加齢 / 時間的展望 / 自伝的推論 / テキストマイニング / 認知 / 記憶 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、失敗の概括的な意味と、過去・現在・未来という時間枠のいずれを重視するかという時間的展望との加齢に伴う変化について解明することである。若齢期における失敗の意味や失敗エピソードの記憶を解明するために、自由記述データを収集してテキストマイニングにより解析する。さらに、若齢期以降を対象に、失敗の意味に関する自由記述と時間的展望の質問紙などを用いて、両者の関係の加齢変化を解明する。本研究の知見は、若齢期以降における失敗の学びや失敗を恐れずに挑戦することを促し、より豊かな日本社会の実現に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、若齢期以降を対象に、加齢に伴う失敗の意味と時間的展望との関係の変化を解明することである。前年度までに実施したデータ収集と同様の調査方法を用いて、失敗の意味及び失敗エピソードそれぞれに関する自由記述データを追加収集し、テキストマイニングの手法を用いて質的・計量的に解析する。(1)若齢期に該当する大学生を対象に、失敗の意味に関する自由記述データを追加収集する。社会から求められる性役割期待と発達過程の経験が、自伝的推論及び失敗の意味の形成に及ぼす影響を把握する。(2)大学生を対象に、失敗エピソードに関する自由記述データを追加収集し、失敗の意味を形成している失敗エピソードの内容、失敗の生起時期等を把握する。(3)若齢期から高齢期を対象に、失敗の意味に関する自由記述及び時間的展望を測定できる質問紙への回答を求めて、加齢に伴う失敗の意味と時間的展望との関係の変化を把握する。以上3点に関する基礎的データを収集するため、2022年度は下記4つの研究活動を行った。 1.調査実施に向けた準備:当初の計画にはなかったが、高齢者が登録されている学外施設にて、失敗エピソードに関する対面調査の機会を得た。当初の計画も含めて、所属大学及び共同研究機関の研究倫理委員会に申請を行い、承認を受けた。 2.調査の実施:主な先行研究文献を入手し、自伝的推論等に関するこれまでの重要な研究知見を整理した。それとともに、前年度までに実施したデータ収集と同様の調査方法を用いて、失敗の意味に関する調査は大学生91名、失敗エピソードに関する調査は大学生57名に実施し、自由記述データを追加収取した。 3.調査データの分析:テキストマイニングの解析手法を用いて、調査から得られたデータを分析した。 4.調査データの公表:本研究テーマと関連して、これまで蓄積してきた調査データを分析し、関連事項の論考も含めて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では2022~2024年度の3か年を研究期間に設定し、遅滞なく以下の研究活動を行った。(1)調査の実施(既有データに追加するために、大学生を対象に失敗の意味及び失敗エピソードそれぞれに関する調査の実施)、(2)調査データの分析((1)によって得られた調査データをそれぞれの既有データに追加して分析)、(3)失敗エピソードに関する調査データの公表(学会発表)、(4)失敗の意味に関する調査データの論文化に向けて準備、(5)加齢に伴う失敗の意味と時間的展望との関連の変化に関する調査実施に向けて準備。 調査実施のため、学内及び共同研究機関の研究倫理審査委員会に申請したが、共同研究者の所属が複数の教育研究機関にわたることから、各所属先での研究倫理審査の承認が予定よりもやや遅れ、当初の計画よりも調査全体の開始にわずかな遅滞が生じた。当初の計画にはなかったが、高齢者が登録されている外部施設にて対面調査の機会を得た。すでに収集した大学生における失敗エピソードと、高齢者におけるそれとの比較検討を計画し、高齢者を対象とした対面調査の実施について、外部施設と調整した。この研究計画についても、学内及び共同研究機関の研究倫理審査委員会に申請を行い、承認を受けた。(2)のうち、失敗の意味に関する調査データは目標数に達したため、データを分析したり、自伝的推論等に関するこれまでの重要な研究知見を整理したりして、論文化に向けて準備した。失敗エピソードに関する調査データは目標数には達しなかった。そのため、調査データの一部を関連する学会等で公表し、専門家から意見を求めながらも、2023年度も引き続き失敗エピソードに関するデータを追加収集することにした。2023年度に(5)を実施するために、当初の計画にはなかったが、これまでの暫定的な調査結果を踏まえて、予備調査を慎重に計画し、Web調査会社と調整した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでにデータの追加収集が完了した、失敗の意味に関する調査データについては論文化を行い、学会誌に投稿する。当初の計画にある調査方法に従って、大学生における失敗エピソードに関する調査の継続実施を行い、データ収集を完了させる。そして、論文化を行い、学会誌に投稿する。当初の計画にはなかったが、高齢者が多数登録されている外部施設にて、失敗エピソードに関する対面調査を実施して、データを蓄積していく。また、中年期における失敗エピソードに関する調査実施についての計画を立てて、知人等を介して調整を試みる。中年期の者を対象とした失敗エピソードに関する調査が実施可能となった場合には、学内及び共同研究機関の研究倫理審査委員会に申請を行う。当初の計画どおり、加齢に伴う失敗の意味と時間的展望との関係の変化に関する予備調査及び本調査をWeb上にて実施する。失敗エピソードの想起を求めることで、過度の心理的負担やストレスを与えないように十分に配慮して、研究を進める。この他、これまでと同様に、後の研究計画の実行に支障のない範囲で、研究データの一部を関連する学会等で公表し、専門家から意見を求めて、論文化に役立てる。他の研究者による最新の研究成果を本研究に活用できるか否かについて検討しながらも、研究内容及び調査方法に関しては、当初の計画から大幅な変更は行わず、研究データの収集と蓄積を図る。また、特に失敗に関する自由記述データは、きわめて個人的な内容を含んでいる可能性もある。そのため、外部に情報漏洩することのないよう、引き続き、個人情報の管理を厳重に行う。新型コロナウイルス感染症対策に関連した状況変化、政府・自治体・所属機関等の諸施策に迅速に対応し、研究倫理等の規準に従って、倫理的配慮を十分に維持しながらも研究を着実に推進する。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)