超早期認知症ステージング診断と鑑別のための新たな神経心理検査バッテリー開発
Project/Area Number |
22K03164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小久保 奈緒美 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員 (40392451)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 認知症 / 神経心理 / 神経イメージング / バイオマーカー / 早期診断 / 機械学習 / プラットフォーム / 早期ステージング診断 / 神経心理検査 |
Outline of Research at the Start |
認知症の原因疾患は多様で初期ほど鑑別が難しく、背景病理が異なっても臨床症状はオーバーラップすることがある。近年、神経イメージングの著しい発展は生前病理診断を可能にしたが、直接PET診断が可能な施設は少ない。 本研究では、量研機構(QST)が独自に開発したイメージング剤18F-PM-PBB3による各種認知症のタウ病変PETとAβ病変PET等の組み合わせで層別化された被験者を対象に包括的神経心理検査データを取得し、機械学習を用いて神経心理検査での認知症ステージング診断法を開発する。本研究により、広く一般診療にも応用可能な神経心理検査バッテリーを確立し、超早期診断と支援の実現に繋げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでに収集したデータから認知症のある患者群および年齢マッチングさせた健常群の神経イメージングおよび神経心理データを集約し、構造化を行った。はじめに、Tau-PET生前病理診断に基づき背景病理別に群分けした。次に、認知および生活機能から重症度分類を行ない、群および重症度別に神経心理学的特徴と縦断変化を検討した。その結果、タウやアミロイドβ(Aβ)等の異常タンパク集積部位や脳萎縮部位によって最初期に顕在化する機能障害は多様であり、早期診断には主訴と背景病理に併せた簡易検査バッテリーが有用であることが示唆された。 申請者は現在、新たな認知症診断アルゴリズム開発のための神経心理学検査プラットフォーム構築に向けて、神経イメージングのみならず血液バイオマーカーを含む多施設縦断データを収集し、構造化と解析を進めている。これは、機械学習を用いた超早期診断のための新たな神経心理検査バッテリー開発に向けた第一段階である。また、認知症早期診断に関連し、高齢者不安尺度(Geriatric Anxiety Scale)日本語版および短縮版(GAS-J/GAS-10-J)を開発した(Kahimura et al., 2023)。先行研究では、認知機能正常な中年以降において不安と脳内Aβに正の相関があったと報告されている(Pink et al., 2021)。また、認知機能正常なパーキンソン病患者では、不安が軽度認知障害(PD-MCI)のリスク因子であったと報告されている(Toloraia et al., 2022)。今後、GAS-Jを早期スクリーニングに活用し背景病理との関連を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、(1)QST独自の次世代タウリガンドを用いた生前PET診断がついた症例および健常成人のデータを用いて新たな認知症診断アルゴリズム開発のための神経心理学検査プラットフォームを構築すること、(2)機械学習を用いてマルチモダル特徴量から認知症疾患における疾患特異的心理・行動指標を同定し、神経心理学検査による超早期認知症診断および鑑別法を開発することである。方略として、本計画では1年目にPET生前病理診断がついた患者群と健常群のデータを集約し構造化、解析を行うとしている。 本年度は、その計画に沿ってこれまで国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)で蓄積してきたアルツハーマー病(AD)を含む多様な背景病理を持つ認知症患者群と健常群の神経画像および神経心理データを集約し、構造化と解析を行なった。また、継続して新規症例のリクルートと評価、および縦断評価を行なった他、新たに血液バイオマーカーおよび多施設データの収集を進めた。 現在、本年度予定症例数のデータ収集が概ね完了し、神経心理学検査プラットフォーム構築に向けて多施設データの集約と構造化を進めている。また、本年度は包括的神経心理検査データの解析とデジタル神経心理指標の活用により、従来スクリーニング検査では鑑別が困難だった非典型AD疾患のごく初期における心理行動学的特徴を抽出した。さらに、新規PETリガンドを用いたαシヌクレイン画像や血液データ収集も併行して進めており、マルチモダル特徴量の解析に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画における2,3年目の目標は、神経心理学検査プラットフォームを構築し、新規・縦断データを継続的に蓄積、適切な管理体制のもと運用していくことである。今年度は、多様な認知症疾患患者群と健常成人群について神経イメージングや血液等の各種バイオマーカー、包括的神経心理検査データを予定症例数に準じて収集し、概ね順調に計画を進めることが出来た。一方、本年度中のデータ解析は申請者所属機関(QST)のデータが主体であり、今後は多施設データの解析が課題である。 本研究の多施設データ収集の基盤は、QSTを中心に構築した多施設連携プラットフォーム(Multicenter Alliance for Brain Biomarkers: MABB)である。神経心理検査に係る多施設連携では、各施設の実臨床や臨床研究を尊重した上で評価尺度の選定や実施・採点方法の統一を図り、データ収集と記録における評価者間一致を確保することが重要であった。そのため、申請者は頻繁に共同研究施設と意見交換を行い、特に入念な研究計画立案と準備のもと研究を開始した。本研究推進の方策として、引き続き多施設間連携を図り、高精度な神経画像データと血液バイオマーカー、神経心理データおよびデジタル心理行動指標を統合したデータベースを作成する。また、高精度な包括的バイオマーカーに基づく生前病理診断を本研究の強みとして神経心理学検査プラットフォームを構築する。さらに、機械学習を用いて超早期診断のための新たなスクリーニングバッテリーを開発し、継続的データ収集を通して実施可能性や判別性能の検討を行なっていく。
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Report
(1 results)
Research Products
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